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「首都直下」対策へ調査/木密、液状化など課題探る

 急がれる首都直下地震への対策を強力に進める上野和彦は、平成25年8月2日、木造住宅密集地域の不燃化、地盤の液状化対策で、都内や東京湾岸を精力的に調査しました。
 まず江戸川区の北の端に位置するJR総武線・小岩駅の南側に広がる木密地域で、今年5月に都の「不燃化特区」に指定された、南小岩7、8丁目を視察しました。現地は、駅前の商店街から一歩、住宅街へ足を踏み入れると、木造住宅が所狭しとひしめいております。不規則に曲がりくねった狭い道や、車が通れない通路が多く、火災が起きた場合、消防車が入れず、満足に消火活動ができません。震災時には、ここが東京の“一番の弱点”になります。
 細い路地の所々で拡幅されたり、鋭角に曲がる交差点が角切りされるなど、部分的に整備が進められているものの、面的な整備にはまだ時間がかかります。
 木密地域の対策は、延焼を遮断する道路や公園の整備、家屋の耐震化・不燃化などが柱ですが、土地の買収には複雑な権利関係が絡み、住民の高齢化による建て替え意欲の低下や資金不足、転居先の問題など、さまざまな難題が折り重なります。また、対策を進める行政側の人材も不足している状況です。
 調査に同行した須田賢治・区まちづくり推進課長は、住民の移転や住宅の建て替えを促す際、「高齢の親から子どもへ、家屋の所有権が移る時など、生活状況が変わる時期に合わせて説明するなど、住民への配慮が必要だ」と説明。
 震災時に、特に甚大な被害が想定される都内の木密地域は7000ヘクタールで、180万人が居住しております。都は「不燃化10年プロジェクト」で、2020年までに不燃化させる方針です。具体的には、“燃え広がらない街”の実現へ、延焼遮断帯となる主要な都市計画道路を100%整備し、また、“燃えない街”の形成へ、建物の不燃化や道路・公園の整備状況などから算出される「不燃領域率」を、現状の60%未満から、延焼による焼失がほぼゼロとなる70%に向上させるとしています。
 このプロジェクトを推進するため、今回視察した地域を含む11地区が今年度、「不燃化特区」に指定されました。特区に対して都は、
(1)まちづくりコンサルタントや住民の合意形成を促すコーディネーターなどの派遣
(2)建て替え促進へ固定資産税・都市計画税の優遇
(3)公営住宅のあっせん
(4)消防庁と連携した消防水利の整備
(5)公園整備への助成要件の緩和――などで支援します。
 今後は、一つ一つの課題を着実に解決していきながら、その上で、住民が安心して住み続けられるよう新たな取り組みを進めていかないと、とても2020年までに不燃化を実現することは困難であると思われます。そこで、従来の助成だけではなく、民間のノウハウや人材を活用するなどの様々な対策を提案し、木造住宅密集地域の不燃化を強く推進してまいります。 
 この後、東日本大震災で地盤の液状化が市域の86%に及んだ千葉県浦安市へ向かいました。
 市役所では、石井一郎副市長から「昭和40年代以降に埋め立てた地域の、ほぼ全域で液状化が起きた」と、惨状について説明を受けた後、醍醐恵二・市液状化対策推進室長が、地震発生直後の液状化被害を、当時の映像を見せながら解説。スクリーンには、舗装された道路が割れて上下に動いている様子や、地盤が沈下して噴出した泥水に車が埋もれていく場面など、激しい被害の実態が映し出されました。醍醐室長は「液状化による家屋の被害は8700棟に上り、全国の家屋被害の3分の1を占めた」と強調して話されました。
 続いて、液状化被害が激しかった中町、新町地域の住宅地などを視察。道路の至る所に補修した跡が見られ、街全体が液状化した様子が容易に想像できました。市の担当者は「道路の下にできた空洞は528カ所もあった。余震も含めて長時間の揺れが、液状化の被害を大きくした」と語っていました。同市では、地盤を強化するため、戸建て住宅の基礎を囲むように地中に壁を埋め込む「格子状地中壁工法」を採用し、道路と宅地の一体的な液状化対策に乗り出しています。
 一方、同市内の埋め立て地にある東京ディズニーリゾートでは、駐車場など一部を除いて液状化の被害がほとんどなかったと説明されました。すでに地盤改良が施されていたためです。市街地の再開発や区画整理など、大規模な整備が行われる場合には、地盤を面的に強化する液状化対策工法が有効であると改めて認識しました。
 ただ液状化による被害は、直接的には人命に及ばないことから、対策が遅れている面もあります。しかしながら、東日本大震災の直後、都内で液状化の被害に遭った戸建て住宅を訪れたとき、傾いた家では、階段を1、2歩上がったら、後ろに倒れそうになり、住民の方が『頭痛と吐き気で夜も眠れない』と訴えられていたことが今でも鮮明に思い出されます。
 また、そこに住む当時5歳だった子どもの平衡感覚に異変が生じ、幼稚園の廊下では、何もつまずく物がないのに、何回も倒れてしまう様子も聞き、液状化被害の深刻さを痛感いたしました。
 首都直下地震で液状化が予想される地域は、随所で木造住宅密集地域とも重なり、対策には多くの困難が待ち受けます。ようやく国が本年、液状化対策に関する国費助成の方針を打ち出しました。国が動き始めた今こそ、都は、区画整理などの面的なまちづくりに合わせて、対策を講じるべきであります。 今後とも、液状化対策に全力で取り組んでまいります。
 

木密地域(江戸川区南小岩7、8丁目)を視察

東日本大震災で液状化被害が激しかった
地域(千葉県浦安市)を視察

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