■経済・港湾委員会(港湾局)
 平成二十八年十一月十七日/木曜日

上野委員

私からは、防災、減災の視点から、東京港におけるハード、ソフト対策、このことについて質問したいと思います。
 東京港の沿岸部は、低地帯が広範囲に広がっております。過去、幾多の水害にこの沿岸部は見舞われてきました。このため、江戸時代からまちの拡張とともに治水事業が行われるなど、歴史的に見ても治水対策が極めて重要な地域であります。
 この沿岸部の水害はどういうものが想定されるかというと、大きく二つあるといわれていまして、一つはやはり地震による津波、もう一つは台風による高潮、この二つがどういう形で沿岸部を襲ってくるか、これの対策というものを、港湾局さんは東京港の対策としてどのように立てていらっしゃるかというところが非常に大事だと思います。
 その中の津波につきましては、先ほど伊藤副委員長からも話がありました。これについては、多くの都民の方々から津波は大丈夫かという問い合わせも来ます。これは、これまでの過去、東京で大きな津波の高さというのは、ご存じのとおり元禄関東地震であったわけでございます。
 平成二十四年の東京都防災会議などによりまして、この元禄関東地震をモデルとして検証しております。その結果は、先ほど話がありました東京湾沿岸部の津波高は、満潮時で品川区が最大と、こういわれていまして、TPで二・六一メートルと。
 TPというのは東京湾の平均海面で、いわゆる海抜と、このようにいわれているわけでございます。これは識者の方々も、なぜそんなに東京湾は高くないのかというのは、非常に東京湾の地形に守られているといわれていました。入り口が狭いということと、その狭い入り口から入ってきた津波も、湾が中で広いものだから、その分しっかりと津波の高さというのが減衰してくるということで、地形に守られているんですよと、こういわれているわけでございます。この高さというのが津波というのは心配されていますけれども、私は、その津波の破壊力というのを非常に心配しているわけであります。
 東北、あの三・一一の地震の二カ月後に学者の先生と一緒に回ってまいりましたけれども、すさまじい破壊力で、防潮堤なんかも何と剪断破壊していたんですね。土木の方はよくわかると思いますけれども、剪断破壊というのは普通の力では起こらない、ハンマーみたいなものでバーンとたたかない限り割れないという、こういう形状なわけですね。それを目の前で見まして、この津波の破壊力のすさまじさというのを非常に感じたわけでございます。
 東京湾でこういった最大級の地震が起きて津波が入ってきたときに、心配されているのはその津波、これが一度じゃなくて、東京湾の地形の関係で何度も何度も反響してやってくると、あの三・一一のときの検証で出ました。その後もまた新たな津波がやってきたときに、お互いに反響して、すごい力でまた防潮堤、護岸にぶつかってくる。じゃあ、この防潮堤、護岸がそうした津波の破壊力というのを想定されているのかどうかというのが非常に心配なわけですね。この辺について、今の状況をまず教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

原港湾整備部長

津波に対する東京港の安全対策についてでございます。
 先ほどお話がありましたように、津波につきましては、東京港内につきましては、TPでいきますと二・六一、APに換算しますと三・七四ということで、高さ自体はそれほど高い状況にはございません。
 これにつきまして、防御対策といたしましては高潮防潮堤がございまして、津波の高さに対しては十分な高さを確保してございまして、津波に対しても安全なものと考えてございます。

上野委員

非常に答弁しづらかったんだなということで、じゃあ、次は答弁求めませんけれども、防潮堤、護岸の、要するに津波の破壊力というのは想定されていないですね。高潮にしても、静水圧、水圧の力に対して耐えられるかどうかという構造でできているということだと私は聞いておりました。それからすると、そこの部分について、本当に津波の破壊力というものが、東京湾の地形からいったときには反響して何度も何度も来るというふうなことが三・一一で検証されたわけですから、そういったものもやはりぜひ検討していただきたいということを私の方で要望いたしますけれども、よろしいですか。部長、済みませんね。じゃあ、せっかく手を挙げられたから。

原港湾整備部長

現時点で検討してございませんが、委員のご指摘を踏まえまして検討してまいりたいというふうに思います。

上野委員

すばらしいご答弁ありがとうございます。以前の予算特別委員会のときには答弁がなかったので、きょうは、そういった意味では非常にありがたいなと思いますけれども、本当にやっぱり現状に合った対応策というのを考えなきゃならないと思うんですね。
 確かに大事なのは耐震化、地震の揺れに耐えられるかどうか、これはもうすごい破壊力ですから、これに耐えられればもう津波の破壊力には大丈夫ですよと、こういってくれればいいんですけれども、何せ波のすごい、津波の場合は全体の面積が大きいですから、それがどおっとやってくるものですから、物すごい破壊力だそうですね。このあたりも想定した場合に、本当にもつのかというのはやはり検証してもらいたいということで、ぜひ検討していただきたいと思うんです。
 高さということで心配なのは、もう一つはやはり高潮です。三年前の平成二十五年ですね、台風三十号、皆さんも覚えていらっしゃいます、八百九十五ヘクトパスカルという恐ろしいような台風三十号がフィリピンを襲いました。フィリピン沿岸部は、記録によると五メートルから六メートルの高さの高潮が襲ってきたと。ある島なんかは、もう八メートルから十メートル近いのが襲ったんじゃないか、こういわれているわけでございます。その意味では、最も恐れているのは台風による高潮だと、私はこのように思っています。
 なぜかというと、地震よりも台風が襲ってくるリスクというのは確率的には高い、こういうふうにいわれているわけで、毎年本当に心配だと。しかも、日本の近海が地球温暖化の影響で海水温が高まってきているということで、ことしも見ていて、皆さんもおわかりとは思いますが、日本の近海で台風が発生している。海水温が高いもんだから、普通は赤道直下で発生してきたものが北に行くほど海水温が低くなって、エネルギーが消耗していって台風は小さくなっていくけれども、海水温が高いもんだから、発生したものがいきなりぐうっと成長してしまう。どんどんどんどん気圧が下がっていくわけですね。九百十ヘクトパスカルより下がっていくと、もうスーパー台風だといわれているわけですけど、もうそれに近いような状況のものが襲ってくるという、こういう恐ろしい時代に今なってきているんです。
 幸いなことに、東京には今、そういった台風が直撃していないんです。だから、他人事のような思いがあるわけです。しかし、襲ってくる可能性が高まっているんだよ、それに対してきちんと高潮対策というのをとっていかなきゃならないよと。
 ことしは、日本に上陸した台風というのは過去二番目に多かったといわれています。高気圧の位置によって随分コースは変わるわけですけれども、台風の数は少なくなっていくと。しかし、規模がでかくなりますよということを、今、いわれています。スーパー台風というのが現実的に襲ってくる可能性がある。これに対してきちんと対策をとらなきゃならないよと。私は、そうした状況の中で、安全・安心の都市の実現に向けても、着実に高潮対策に取り組むべきである、このように思っているところでございます。
 港湾局の資料によりますと、東京港における高潮対策というのは、昭和初期から本格的に着手したとのことであります。その後、東京下町の地盤沈下への対応、また、キティ台風、伊勢湾台風、こういった台風の高潮を教訓とした整備水準の見直しを行って、東京の安全・安心を確保するために港湾局は、水門、防潮堤の海岸保全施設の整備を積極的に進めてこられました。私は、そのことに対して高く評価しているところでございます。
 そこで、まず、東京港のそういった特徴などを踏まえた高潮対策の重要性について、都の見解を求めます。

原港湾整備部長

東京港に位置いたします東京湾は、開口部が南西方向にあるため、北上する台風が湾の西側を通過する場合、台風の中心に向かいまして反時計回りに吹く風に台風の移動速度による風が加わりまして、強い南風が吹き込むこととなります。
 このため、東京湾の最も奥に位置する東京港は、吹き寄せられた海水の逃げ場がなく、海面上昇が大きくなり、高潮の影響を極めて受けやすいという特徴を有してございます。
 加えまして、東京港の沿岸部に広範囲に広がる地盤の低い地域には多くの都民が生活をするとともに、都市機能が高度に集積しております。そのため、こうした地域が一旦浸水した場合には、その被害は甚大になることが想定されます。
 こうした事態を未然に防ぐためには、水門や防潮堤等の海岸保全施設が重要であり、その整備を鋭意進めているところでございます。

上野委員

東京港は高潮の影響を受けやすい特徴があるということでございます。その意味では、海岸保全施設の重要性ということを先ほどの答弁で再認識いたしました。
 それでは、先ほどのご答弁にありました水門や防潮堤は、東京の沿岸部を第一線で守るとりわけ重要な海岸保全施設でありますので、その整備水準及び整備の進捗状況についてお尋ねします。

原港湾整備部長

高潮から都民の生命、財産を守るためには、海岸保全施設が不可欠でございます。
 都は、過去の幾多の水害を教訓にしまして、台風による海水面の上昇、いわゆる潮位偏差が観測史上最大を記録した伊勢湾台風級の台風が東京を襲った場合におきましても水害が発生することのないよう、防潮堤等の整備を進めてまいりました。
 これまでに、東京港の沿岸部を防御する水門や防潮堤を優先的に整備を進めてきた結果、既に概成をしているところでございます。
 現在は、東日本大震災を教訓として策定いたしました東京港海岸保全施設整備計画に基づき、最大級の地震による津波や高潮からの浸水を防ぐため、施設の耐震化や耐水化等を進めているところでございます。
 今後とも、東京港の沿岸部を第一線で守る水門や防潮堤等の耐震対策などにつきましては、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会までの完成に向けまして積極的に整備を進め、東京の防災力を一層強化してまいります。

上野委員

ただいまのご答弁に、伊勢湾台風級の台風を想定して防潮堤の整備を行っているとのことでありますけれども、想定している高潮の高さに対し、防潮堤の高さはどの程度で整備しているのかお尋ねします。

原港湾整備部長

防潮堤等の整備に当たっての基準となる高さは、潮が引いたときの海面の水位、いわゆる干潮面をAPゼロメートルとあらわしております。
 伊勢湾台風級の台風が東京に襲来した場合に想定される高潮の高さは、地区によって異なりますが、低いところでAP四・一メートル、高いところではAP五・一メートルとなってございます。
 それに合わせて、防潮堤の高さにつきましては、AP四・六メートルからAP八・〇メートルで整備をしておりまして、高潮に対して安全な高さを確保しているところでございます。

上野委員

ご答弁で、防潮堤の高さが高潮高を上回っているということを確認できまして、安心したところでございます。
 次は地震です。東日本大震災を踏まえて行っている耐震対策に関して、詳細に聞いていきたいと思っております。
 まず、先ほどのご答弁で、最大級の地震に対応していくとのことでありましたけれども、どのような地震を想定されているのかお尋ねします。

原港湾整備部長

想定している地震は、東日本大震災の経験を踏まえ、平成二十四年の東京都防災会議等で示されました、東京において将来にわたって考えられる最大級の強さを持つ地震としてございます。
 具体的には、これまで想定した地震を上回るマグニチュード八クラスの海溝型地震や、マグニチュード七クラスの首都直下地震であり、こうした地震に対応できるよう対策を実施しているところでございます。

上野委員

三・一一の地震のときにも、北から南まで約四百キロで液状化したと。東京も液状化いたしました。地震では液状化という現象が発生するということであります。特に東京は、周りは高くて、川でずんずんずんずん持ってきて、低くなったところの平野が東京ということで、そこの部分には砂地盤とかが多いわけで、液状化しやすい地層が多いところだと、こういわれているわけであります。
 私は、東日本大震災後、直ちに被災地を調査した際にも、この液状化によって護岸等が数メートル沈下したなと思われるような状況を目の当たりにいたしました。
 そこで、地震に伴う液状化による防潮堤の沈下にはどう対応しているのかお尋ねします。

原港湾整備部長

液状化とは、地下水位の高い緩い砂地盤が、地震の震動により液体状になり、地上に噴出する現象でございます。
 液状化が発生しますと、沈下や浮き上がりにより構造物に大きな影響を及ぼす場合がございます。このため、防潮堤の整備に際しましては、地盤の調査等により液状化する範囲を特定した上で、セメントを注入して地盤を固めるなどの地盤改良などの対策を実施しております。
 このような対策により、液状化による沈下を抑制しております。

上野委員

液状化の沈下の対策というのもしっかり施していますよ、抑制していますよというお話でありましたけれども、その沈下だけじゃなくて、今度は側方流動といって地盤が水平方向に大きく変位するという、こういう現象も起きているということで、護岸等が動いたという話は三・一一のときにもいろいろ報道されました。
 地震のとき、千葉の浦安の方にも行かせてもらいました。護岸が何となくきれいなんですけれども、護岸より手前の方の、数十メートル手前の方ですか、そこのところで地盤が落ちているんです。七十センチぐらい、がくっと落ちたと。これは側方流動で動いちゃったんですね。だから、護岸そのものは大丈夫のように見えるけれども、全体的に前にずっとずれていると。そのことによって、地盤ががっと沈んでいったという、これが側方流動の怖さということです。
 この側方流動によって防潮堤が水平方向に移動すると、防潮堤そのものの継ぎ目が弱い部分が離れてしまうとか、そういったところが出てくる可能性がある。そうしたときにまた津波とかやってきた、そうした場合にどう対応すればいいのかと。こういった液状化に伴う側方流動に対しては大丈夫なのかどうか、この点についてお話をしてください。

原港湾整備部長

先ほど答弁申し上げました地盤改良につきましては、液状化に伴う側方流動への対策としても有効でございます。
 こうした対策に加えまして、必要に応じて、継ぎ目部の補強として防潮堤の壁を厚くするなどの対策を実施し、側方流動による変位にも対応しているところでございます。

上野委員

とにかくそういった地震後の防潮堤の変位とか、あるいは液状化に伴う沈下とか、両方についてもきちんと対応しているというのを確認させていただきました。ありがとうございます。安心しました。
 首都直下地震は三十年以内の発生確率が七〇%程度だといわれています。いうまでもなく、耐震対策は喫緊の課題であり、ハード対策を万全に行っていただくよう期待しております。
 さて、近年、地球温暖化の影響で雨の降り方も局地的、集中化、また、激甚化しているわけでありますけれども、日本周辺に目を向ければ、いわゆるスーパー台風の発生など、今までに経験したことのないような気象に伴う水害が発生しているわけでございます。
 太田前国交大臣が、世界の地球温暖化の状況の中で、そしてまた三・一一を受けて、想定外を想定した対策が必要だと、このような話の中で、いわゆるハード対策だけではどうしても限界が出てくると。これに対してきちんと備えなきゃならないということで、こうした事態に備えるために、国は昨年、水防法の改正に取り組んだ。減災に向けましても、ソフト対策を強化するということになったわけでございます。
 近年の東京では、幸いなことに、先ほど話しましたけれども、台風が直撃するような事態に遭っていないということで、高潮による大規模な水害が発生しておりませんから、一たび水害が発生した場合にどうすればいいかというのが、非常に意識が弱くなっているんですね。
 災害が起きてからでは遅いわけでございます。そういった意味では、もう想定を超えるようなスーパー台風が来るかもわからないという発想のもとに、この水害発生に備える重要施設、また、人口が集中している沿岸部に対してもしっかりと対策をとっていってもらいたいと。
 ハードで厳しい、乗り越えて水が来たときにどうするかということで、我が党はかねてより警鐘を鳴らしておりまして、昨年の本会議でも取り上げました。本年二月には、大規模水害から人の命と首都東京を守るという緊急提言を国交大臣と都知事に行ってまいりました。
 さきの第三回定例会においても、ソフト対策を早急に講ずるべきと強く主張したところであります。都は、有識者等で構成する委員会をいち早く設置しまして、検討を進めていることを確認したのでありますけれども、昨今の気象状況を踏まえれば、一刻も早くソフト対策の検討を進めるべきと、このように考えておりますけれども、現在の検討状況をお尋ねいたします。

原港湾整備部長

水防法の改正におきましては、想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域図を作成することとされており、そのためには気象条件等のさまざまな条件を設定し、浸水シミュレーションを行う必要がございます。
 このため、本年九月末に開催した高潮浸水想定区域検討委員会では、浸水シミュレーション実施に当たっての設定条件として、台風の気圧や移動速度、経路、河川洪水の同時発生等について、有識者等から意見を頂戴したところでございます。
 今後は、いただいた意見を踏まえ、国や関係局と連携を図りながら浸水シミュレーションを実施し、年明けには第二回の検討委員会を開催し、設定条件の妥当性等について検証する予定でございます。

上野委員

ご答弁にありましたように、この浸水想定区域図の作成には、浸水シミュレーションの実施というのが不可欠でございます。そのためには、設定条件をどのような内容にするのか、また、その妥当性などの検証をすることは極めて重要であります。
 そこでお尋ねいたしますが、台風の気圧や移動速度などの設定条件、このことについて明らかにしていただきたいと思います。

原港湾整備部長

ご指摘のとおり、想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域図を作成するためには、条件設定がかなめとなります。
 具体的には、台風の中心気圧や移動速度は、それぞれ我が国でこれまで襲来した最大規模である室戸台風級の九百十ヘクトパスカル、伊勢湾台風級の時速七十三キロメートルとしてございます。
 また、高潮の発生と同時に、荒川や多摩川などの河川が増水することを前提とするとともに、排水機場や下水道のポンプ所等の排水能力を設定いたします。
 排水能力の設定に当たりましては、水害時の浸水被害等による能力低下を考慮して設定いたします。
 これらのさまざまな条件を設定した上で浸水シミュレーションを繰り返し実施し、その結果を踏まえ、浸水区域のほか、浸水深さや浸水が継続する時間を示した浸水想定区域図を作成してまいります。

上野委員

現時点では、高潮災害時にどこがどのくらい危険なのかわからないという状況でございます。住民の的確な避難行動につながる適切な情報を社会全体で共有しておくことは重要であり、一刻も早く浸水想定区域図を作成、公表していただきたいと。より実効性のあるハザードマップができ上がっていくことを期待しているところでございます。
 首都東京の防災力の向上は一朝一夕にできるものではなく、継続した取り組みが重要であります。ハード、ソフト両面からの対策を着実に進めて、水害に強い都市の構築を推進していただくよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
 東京港では、地震発生に際しても、コンテナなどの物流機能を維持するとともに、緊急物資の輸送拠点として機能することが求められます。
 このため都は、岸壁の耐震化を進めるとともに、緊急輸送ルートを確保するなどの取り組みも推進していることを承知しているところでございます。いずれの取り組みも重要であり、着実な推進をお願いしておきます。
 繰り返しになりますけれども、水害も含めて災害対策は最悪の事態を想定して備えておくことが重要であります。危惧するのは、岸壁や道路が万一、何らかの原因で塞がれるなどして、物流や緊急物資の輸送が滞るような事態になったときであります。こうしたことも起こらないとは限りません。むしろ想定すべきことであると思います。
 発災時に岸壁や道路が障害物等によって塞がれた際には、速やかにこれらを除去する応急復旧が重要です。応急復旧については民間の支援も必要と思いますが、発災時における応急復旧に対する協力体制についてお尋ねいたします。

原港湾整備部長

岸壁や道路は、発災時には物資供給の生命線となるため、万が一、船舶の航行や車両の通行が不能になった場合には、その障害を速やかに取り除くことが重要であり、その際は民間事業者の支援も不可欠でございます。
 このため都は、港湾等の建設に携わる事業者で構成される日本埋立浚渫協会等と発災時の応急復旧等の協定を締結し、緊急の復旧業務が生じた場合は、都の要請により、これら民間団体が復旧作業等を行うこととしてございます。

上野委員

障害物の除去には、作業を行う相手先だけでなく、クレーンや掘削機などの重機や作業船をどう調達するかもあらかじめ想定しておく必要があります。都は、港内各地で作業船や重機を使用した工事を行っております。緊急時に被災箇所近くの工事で使用している重機や作業船を転用して、除去作業に使うことが有効と思います。
 そこで、都は、発災時の迅速な初期対応を可能とするために、作業船や重機などがどこで使われているかを把握する取り組みを進めているとのことですが、その具体的内容についてお尋ねします。

原港湾整備部長

応急復旧作業を迅速に進めるためには、作業に必要な重機や作業船を速やかに調達することが重要でございます。
 このため都は、工事で使用している重機や作業船の位置を確認できる取り組みを昨年度から試行してございます。
 具体的には、都は、災害情報マップ支援丸と呼ぶ作業船や重機の情報提供システムの運用を開始し、各工事で使用している作業船、重機、発電機等の位置情報を各事業者にパソコンやスマートフォンでデータベースに登録をさせております。

上野委員

都は、重機や作業船の位置情報を確認できる仕組みを構築したとのことでございます。災害時に重機や作業船を確実に調達するには、データベース上に正しい登録がなされていることが重要であると思います。
 工事の進捗により、工事内容や作業船、重機などの種類も変わっていくと考えますが、どのように作業船、重機などを登録させ、収集した情報を災害時に活用していくのかお尋ねします。

原港湾整備部長

作業船、重機等の登録につきましては、一定金額以上の港湾局工事の受注者に対し、現場に搬入されてから搬出されるまでの間、パソコンのデジタルマップやスマートフォンのGPS機能を用いまして、作業船や重機の位置情報を登録しておくよう、契約の際の条件として義務化しております。
 災害時の活用につきましては、その登録情報がパソコンやスマートフォン上から閲覧可能となり、発災時におきましても、被災地周辺においてどのような作業船や重機が使用されているかが把握できますことから、迅速な復旧につながるものと考えてございます。

上野委員

パソコンやスマートフォンを利用することで、作業船や重機の位置情報を関係者間で共有できるということであります。
 実際の応急復旧については、都から依頼を受けた民間団体などが行うとのことでありますけれども、この災害情報マップを利用して、作業船や重機などの調達をどのように行うのかお尋ねします。

原港湾整備部長

応急復旧に必要な作業船や重機の調達につきましては、これらを使用する民間団体が直接行うことが効率的でございます。
 このため、民間団体が直接、災害情報マップ支援丸を利用できるよう、アクセスに必要なID、パスワードを付与し、復旧作業に必要な作業船や重機の迅速な調達が可能な仕組みとしてございます。

上野委員

いざというときに作業船や重機が調達できる仕組みづくりができていることは理解いたしましたが、これまでの実績で、東京港内ではどれくらいの数の作業船や重機が確保できるのでしょうか。

原港湾整備部長

昨年九月より本システムの導入を開始いたしまして、発注額一億六千万円以上の工事受注者に登録を依頼し、一年程度の実績がございます。
 工事の多い時期におきましては約七十、少ない時期でも約三十程度の作業船、重機等の登録を確認しております。

上野委員

最後の質問をしていきたいと思います。一定量の作業船や重機が登録されていることは確認いたしましたが、災害の規模によっては、緊急時に必要な作業船や重機が確保できない懸念も残ります。
 より多くの情報を共有するためにも、この災害情報マップ支援丸を拡大すべきと考えますが、拡大に向けた取り組みについてお尋ねし、私の質問を終わります。

原港湾整備部長

復旧作業に使用いたします作業船や重機の対象エリアをふやしていくためには、災害情報マップ支援丸の導入を拡大させることが重要でございます。
 このため都は、庁内関係局、近隣の港湾管理者等に対し、支援丸導入を働きかけてまいります。
 こうした取り組みにより、発災時における作業船や重機を効率的に調達し、迅速な復旧作業を可能としてまいります。


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