■文教委員会質疑(生活文化局)
 平成25年11月14日(木曜日)

上野委員

私からは、初めに、配偶者暴力対策について何点か質問いたします。
 警察庁が本年三月に発表しました全国の配偶者からの身体に対する暴力、または生命などに対する脅迫を受けた被害者の相談などを受理した件数は、平成二十四年で四万三千九百五十件と、配偶者暴力防止法施行後最多となっております。本年に入ってからも、伊勢原の女性死傷事件や、栃木県真岡の配偶者暴力被害者の母親殺害事件など、配偶者暴力にまつわる悲惨な事件を目にすることも多くなっております。
 そこでまず、都内における配偶者暴力に関する相談件数について、最近の状況をお尋ねします。

斎田男女平等参画
担当部長

都内における相談件数は、都が設置している配偶者暴力相談支援センターや、警視庁、区市町村の相談と合わせると、平成二十二年度が約三万五千件、平成二十三年度が約三万六千件、そして平成二十四年度が約三万八千件と年々増加しております。とりわけ、都民にとって身近な相談窓口である区市町村における相談件数は、平成二十四年度で約二万七千件と、区市町村の調査を始めた平成十五年度と比較すると約二・四倍となっております。

上野委員

ただいまの答弁でもわかりますように、区市町村における相談がふえてきているということでございます。大事なことは、悩める都民が少しでも早く相談できるようにすることであります。また、受けた相談を適切な支援につなげていくことだと思います。そのためには、身近な地域で適切に相談が受けられる体制、これをつくっていくことが重要であると考えております。
 そこで、区市町村の相談体制を強化するために、都は、人材育成面での支援を行っていく必要があると考えますが、所見を求めます。

斎田男女平等参画
担当部長

都は、区市町村における相談体制の強化のため、人材育成への支援を行っております。
 東京ウィメンズプラザにおいて、被害者支援に関する法制度から実際の支援で生かせる具体的な知識まで、専門的スキルの習得を目的とした職層別の研修を行っています。
 具体的には、新任相談員を対象とした基礎研修や、関係機関の調整を行うベテラン職員に向けたコーディネート研修など、職歴や経験に応じた多様な研修を実施しております。
 また、平成二十四年度には、研修に参加が困難な相談員向けに、配偶者暴力が被害者に与える影響や支援のための法制度、適切な支援の流れなどを盛り込んだDVDを作成し、配布したところでございます。
 さらに、困難事案への専門的助言を行うとともに、相談員自身の心理的負担の軽減を図るため、臨床心理士などの専門家による勉強会を毎月開催しております。

上野委員

今ご答弁にありました、昨年度はDVDを作成していると。さらには、臨床心理士などの専門家による勉強会も毎月やっていると、こういうことでございまして、さすがに区市町村に対して手厚い支援を行っているということで評価したいと思います。
 相談までたどり着かず、一人で悩んでいる人もまだまだ大勢いると思います。そもそも配偶者暴力は、外部からの発見が困難な家庭において起こる。その上また、被害者本人に暴力を受けているという認識がないということも多いと伺っております。発見がおくれ、被害が潜在化、深刻化する傾向がある中で、被害者の適切な支援を行うためには、被害の早期発見が非常に重要になるわけであります。
 そうした中で、早期発見や通報、被害者に対する情報提供など、積極的な役割が期待されるのが、通常、通院等で行われている患者のけがなどの症状から、配偶者からの暴力被害を発見しやすい立場にある医療関係者であると思います。
 そこで、医療関係者が、潜在する被害者を適切に支援機関につなげていけるように、都は、配偶者暴力被害の早期発見に向けた医療関係者への取り組みを積極的に行うべきと考えますが、所見を求めます。

斎田男女平等参画
担当部長

被害者を早期に発見し、適切な支援へとつないでいくためには、医療関係者の役割が重要であります。
 このため、都はこれまで、医師、看護師等の医療関係者に対し、被害の早期発見と適切な初期対応についての研修を実施するほか、配偶者暴力に関する基礎的知識や心構え等を掲載した支援者向けのハンドブック等を配布してまいりました。
 今年度、新たに医療関係者向けに問診、診察時の具体的な留意点やカルテの記載例、通報や情報提供など医療機関ができる支援などを盛り込んだマニュアルを作成し、都内全医療機関約一万三千カ所に配布する予定です。作成に当たっては、病院経営本部や福祉保健局など、支援に携わる庁内関係部署と連携し、検討を行った上で、東京都医師会にご協力いただくこととしております。
 被害者の生命を守るため、配偶者暴力の早期発見と迅速な支援に向け、医療機関を初め、関係機関と連携した取り組みを今後とも積極的に推進してまいります。

上野委員

今のご答弁で、今年度、新たに医療関係者向けに医療機関ができる支援などを盛り込んだマニュアルを作成し、配布する予定ということでございます。こうした配偶者暴力被害者支援における医療機関、医療関係機関と連携した、そうした取り組みに対しまして、私は評価したいと思います。今後とも関係機関と連携した積極的な推進を大いに期待しまして、次の質問に移ります。
 一月ほど前のことになりますが、新聞などで東京五輪詐欺と名づけた、新たな手口による消費者トラブルの報道がされていました。開催が決まった東京五輪の入場券がもらえるなどといって、高齢者宅などに投資や株の取引を勧誘する不信な電話がかかってきているのだそうでございます。各地の消費生活相談窓口に相談が寄せられており、実際に二百万円をだまし取られる被害も発生しているとのことであります。
 このように、悪質事業者は、ちまたで話題となっている出来事を巧みに悪用するなどして、次々と新たな手口で消費者に近づいていきます。消費者被害を防ぐためには、悪質事業者を厳しく取り締まっていく必要があるのはもちろんのことでありますが、消費者が知識を身につける。こういうことで自分の身や家族など、親しい人たちを守れるようになるわけでありまして、そのために消費者教育を進めていくことが必要である、こう考えます。
 そこで、都の消費者教育の取り組みについて何点か質問していきたいと思います。
 まず初めに、都がことし三月に改定しました東京都消費生活基本計画では、消費者教育を推進するため、地域協議会の設置や推進計画の策定に取り組むとしておりますけれども、現在の状況についてお尋ねします。

藤井消費生活部長

昨年十二月に施行された消費者教育推進法では、対象者の年齢や特性に応じた体系的な消費者教育を推進するため、都道府県における推進計画の策定や、関係機関が情報交換等を行う地域協議会の設置について定めております。
 この法の趣旨も踏まえ、都は、学識経験者、消費者団体、事業者団体や庁内関係部署など関係団体等が連携強化を図り、効果的な消費者教育を実施していくため、いち早く、本年五月に東京都消費者教育推進協議会を設置いたしました。
 また、学校、地域、職場など、さまざまな場において体系的な消費者教育を積極的に推進していくため、協議会の意見をいただきながら、八月には、全国に先駆けて、平成二十五年度からの五カ年計画である東京都消費者教育推進計画を策定いたしました。
 さらに、平成二十五年度に実施する具体的取り組みを東京都消費者教育アクションプログラムとして取りまとめ、早速推進を図っているところでございます。

上野委員

消費者教育推進計画に加えて、新たに東京都消費者教育アクションプログラムを策定したということでございますが、具体的にはどのような内容なのかお尋ねいたします。

藤井消費生活部長

お答えいたします。
 本年度に策定した東京都消費者教育アクションプログラムは、都における消費者教育の効果的な推進を図るため、ひとり暮らしの高齢者が多いことや、大学、企業の集積などにより、若者が多く集まることなどの東京の地域特性を踏まえまして、高齢者の消費者被害の防止、若者の消費者被害の防止など、優先的に取り組むべき課題について、今年度に実施する具体的取り組みを取りまとめたものでございます。
 取り組みの例といたしましては、高齢者の消費者被害の防止については、高齢者が多く集まるイベントなどで、悪質商法の手口や対処法を芝居形式でわかりやすく伝える啓発事業、若者の消費者被害の防止については、企業の新入社員研修等に都が要請した講師を派遣する出前講座など、新たな場にこちらから出向き、さまざまな手法による消費者教育を実施してまいります。
 プログラムの内容は、取り組みの効果を検証しながら、東京都消費者教育推進協議会の意見を踏まえまして、毎年度見直しを行い、消費者教育の積極的な推進を図ることとしております。

上野委員

アクションプログラムでは、高齢者の消費者被害の防止を優先的に取り組む課題としているとのことでございますが、先ほど申し上げた東京五輪詐欺の被害に遭った方も七十代の方だったということでございます。
 都が先日公表した東京の人口推計では、今後、東京では高齢化が一層進行して、十二年後の平成三十七年には、都民の四人に一人が高齢者になるということでございます。長寿は喜ばしいことですが、高齢に伴う記憶力や判断力の衰えにより、悪質事業者に狙われると、また被害に遭ってしまうという方もふえてくるのではないかと心配しているところでございます。
 そこで、高齢者の消費者被害防止に向けた都の取り組みについてお尋ねします。

藤井消費生活部長

高齢者の被害防止のためには、高齢者自身への消費者教育とともに、高齢者を見守るという観点から、家族や介護事業者などへの消費者教育を行っていくことが重要であります。
 そのため、都は、高齢者や家族など、周囲の人を対象として、毎年九月に、近隣自治体と連携し、交通広告や啓発用リーフレットの配布など、被害防止キャンペーンを実施するほか、企業等に対し、高齢の親を持つ社員への研修等の機会を設けるよう働きかけるなどの取り組みを行っております。
 また、同じ高齢者に多発している振り込め詐欺被害の防止に向けた警視庁の啓発活動との連携を強化しており、今月二十一日には、日本証券業協会などの民間団体も加わり、初めて合同で街頭での啓発活動を実施いたします。
 さらに、地域における高齢者の見守り体制の強化などにもつなげるため、ホームヘルパーやケアマネジャー等の介護事業者や、民生委員を対象として、被害発見の留意点や対応策などにつきまして、出前講座を実施しております。

上野委員

都が高齢者の被害防止に向けてさまざまな取り組みを行っているということは、今のご答弁でよくわかりました。
 ただ、高齢者の被害がなかなか減らないことを考えますと、現在の取り組みに甘んじず、より効果的な消費者教育を行っていく工夫を凝らしていくべきと考えますけれども、見解を求めます。

藤井消費生活部長

最近の悪質事業者の特徴として、お話にございました東京五輪詐欺のように、その時々の話題の出来事などを悪用して消費者に近づき、だまそうとするなど、ますます巧妙化が進んでおります。特に都内では、実在しない海外不動産への投資を勧誘するなど、詐欺的な手口による新手の消費者被害に関する相談が寄せられております。
 都はこれまで、さまざまな消費者教育に取り組んでまいりましたが、消費者被害の防止に向けては、次々と変わっていく悪質事業者の新たな手口について継続的に情報提供をするなど、より効果的な消費者教育の方法等について検討し、実践していく必要がございます。
 そのため、都は今年度、東京都老人クラブ連合会などの協力をいただき、会員である高齢者を対象に、悪質商法による被害経験や、希望する消費者契約の方法や、テーマなどに関する調査を実施しております。この分析の結果を踏まえまして、高齢者に対する効果的な消費者教育の手法の検討などに生かしていく予定でございます。
 今後は、老人クラブ連合会や民生児童委員連合会など、高齢者に関連する団体などとも連携を強化しながら、一層効果的な消費者教育を展開してまいります。

上野委員

都が高齢者の消費者教育を進めていくに当たり、当事者の声を聞き、取り組みに反映させていくということは大変重要であると考えます。
 今後、高齢者や高齢者を見守る団体などとの連携も強化していくとのことでございますが、より多くの高齢者や周囲の方が実際に被害防止につながるような消費者教育を受けられるよう積極的に進めていただくよう要望いたします。
 次に、芸術文化を活用した被災地支援のこれまでの取り組みについて、何点か質問いたします。
 震災から二年が経過しましたが、いまだに被災地では復興途上にあります。特に、被災者の心の傷は深く、時間が経過してもなかなか癒えることはないと思われます。
 そこで都では、震災後すぐに現地へアーティストを派遣し、芸術文化を活用して、被災者の心のケアを行ってきましたが、芸術文化を活用した被災地支援のこれまでの具体的な取り組みとその成果についてお尋ねします。

関文化振興部長

都は、震災後直ちに、被災三県に東京都交響楽団やヘブンアーティストを派遣するとともに、地元自治体やNPOなどと連携し、芸術文化を活用した事業を展開してまいりました。昨年度までに、仮設住宅や小学校を会場といたしまして、東京都交響楽団では延べ五十三公演で約一万七千人、ヘブンアーティストでは延べ三十六公演で約六千七百人の人が参加をしています。
 また、岩手県大槌町では、復興を担う若者向けに、まちづくりの講座を開催するひょっこりひょうたん塾など、地域と連携した被災地支援事業につきましては、昨年度までに述べ三十七プログラムを展開しております。
 こうした取り組みは、被災地の人々の傷ついた心を癒やすとともに、地域のネットワークの強化やコミュニティの再生、まちづくりを担う人材の育成など、地元の復興につながっております。

上野委員

震災後、都が速やかに地元と連携し、地元ニーズを踏まえながら、被災地の人々の心のケアに積極的に取り組んでこられたことはよくわかったわけであります。そうした都の取り組みが人々を勇気づけ、地域の交流を深めていくことにつながっていると。大変意義深いものであります。そうした取り組みを、私は高く評価したいと思います。
 ところで、現在も被災地の復興は進められており、それぞれの地域の状況に応じた支援も必要であります。
 そこで、被災地支援に当たり、地域の状況に応じて具体的にどのように取り組んでいるのかお尋ねします。

関文化振興部長

芸術文化を活用いたしました被災地の復興支援につきましては、各県ごと、また、地域ごとに異なる実情を踏まえた効果的な取り組みを展開することが重要であります。
 岩手県、宮城県では、引き続き都が事業を主催するとともに、既に都の事業を通じて地元としての取り組みが進んでいるエリアでは、企画協力や人材派遣などの新たな活動支援を開始しております。  一方、福島県では、東京都が主体となり、復興を後押しする取り組みを継続しています。今年度はヘブンアーティストについて公演日数をふやしますとともに、現地の夏祭りと連携した公演を実施しております。
 また、地域と連携した取り組みの事業数をふやし、例えばいわき市の小名浜では、商店街に漁業復興の願いを込めた仮設の美術館をつくる事業を開始するなど、取り組みの充実に努めております。

上野委員

いうまでもなく、被災した人々が真に必要とする支援を行うことが大切であります。そのために都が、地元のニーズ、夏祭りとか本当ににぎやかで、皆さんの喜ぶ姿というのが目に浮かびます。こうした取り組みがやっぱり大事ですね。そうした地元のニーズや地域の状況にきめ細かく対応しながら取り組みを充実させていらっしゃる。これは重ねてまた評価したいと思います。
 被災地の復興には今後も中長期にわたって取り組んでいくことが必要であり、特に、被災した人々の心を癒やし、勇気づけるためには、今後とも継続的な支援を続けていくことが重要でございます。
 そこで最後に、今後、芸術文化を活用した被災地支援について、都はどのように取り組んでいくのかお尋ねし、質問を終わります。

関文化振興部長

東日本大震災の甚大な被害により失われた地域や日常生活を取り戻すためには、瓦れきの撤去、建物や道路の復旧といったハード面だけではなく、傷ついた心を癒やし、生きる希望を取り戻す心の復興を支援することが必要であります。しかし、震災から二年半が経過しても、仮設住宅や復興住宅などの不自由な生活環境が続く中では、簡単には心の復興はなし遂げられません。そのため、文化の力で地元を支える継続的な取り組みが今もなお重要でございます。
 今後とも東京が有するアーティストや芸術文化団体など、多様な文化資源の蓄積を生かした支援を行うことができますよう、被災地のニーズや地域の状況の的確な把握に努めますとともに、地元自治体やNPOとの連携を強化してまいります。


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