■平成23年度公営企業会計決算特別委員会
  平成24年11月12日(月曜日)

高橋委員長 次に、上野副委員長の発言を許します。
上野委員

初めに、水道管路の耐震化について質問いたします。

東京都には、さまざまなインフラ設備がありますが、水道はその中でも、命をつなぎ、支える重要な都市基盤施設であります。特に災害時など、一たび被害が起きれば、都民生活への影響は、はかり知れないものとなります。そうした事態を可能な限り回避するためにも、水道管路の耐震化は極めて重要であります。切迫している首都直下地震に備えて、早急に耐震化整備を推進していくことが、まさに喫緊の課題となっております。

そうした中で、水道局では、これまでの取り組みにより、現在、耐震性にすぐれたダクタイル鋳鉄管への取りかえがほぼ完了したと聞いておりまして、評価するものであります。

また、平成七年の阪神・淡路大震災では、揺れが大きく、特に臨海部など地盤条件が悪い地域において管路の継ぎ手が次々と抜け出すという被害が多数発生しましたが、水道局はそうした経験を受けまして、いち早くその対策に取り組みまして、平成十年度より抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管、いわゆるNS管などを採用したことは、将来を見据えた英断であり、私は高く評価するものであります。

そこで、こうした水道管路の耐震化の取り組み状況や、平成二十三年度末の耐震継ぎ手率を、もっと都民の方に公表していくべきであると考えますが、都の見解を求めます。

増子水道局長

平成十年度から、水道管路の耐震継ぎ手管への取りかえを進めてきておりまして、平成二十二年度からは、取りかえ計画を倍増し実施しております。

これにより、平成二十三年度末の水道管路の耐震継ぎ手率は二九%となっており、この数値は、水道局ホームページに掲載する予定であります。なお、平成三十一年度末までに、耐震継ぎ手率四八%を目指してまいります。

上野委員

ただいま水道管路の耐震継ぎ手率が約三割となっていることを明らかにしていただきました。現在、水道管路の総延長は約二万七千キロメートルと聞いております。これは地球半周にも及ぶ膨大な量であり、すべての管路を耐震継ぎ手化することは、かなりの時間と費用がかかる難事業であると思います。

しかも、管路の整備は、掘削などにより交通規制を伴うとともに、周辺住民への影響の配慮や、道路舗装が新しくなると数年は掘削できないなど、道路管理者との調整が必要となり、さまざまな制約がある中での事業でございます。そのような状況の中で、総延長の三割に当たる約八千キロメートルもの耐震継ぎ手管を整備してきたことは、最大限の努力をしてきたものといえると思います。

ところで、東日本大震災では、新たな課題が浮き彫りとなりました。それは発災後において、被災者の生活のよりどころとなる避難所で、生活用水の不足が顕在化し、不自由な生活を強いられた方々が多くいたということであります。こうした教訓を受け、今後は、病院などの重要施設に加え、小中学校などの避難所施設も優先的に耐震化に取り組むべきであります。

そこで、東日本大震災の経験を踏まえた耐震化の取り組みについて、具体的に示していただきたいと思います。

増子水道局長

水道局では、震災時においても都民生活や都市活動を支えるため、首都中枢機関や医療機関等を重要な施設と位置づけ、その供給ルートとなる水道管路の耐震化を優先的に実施してまいりました。

さきの大震災を踏まえると、こうした重要施設に加え、発災後に多くの人が集まる避難所などにおける給水確保が重要であり、これら施設への供給ルートについても積極的に耐震化に取り組んでまいります。

上野委員

さて、現在、震度七の首都直下地震がいつ発生してもおかしくないと指摘されております。首都直下地震で最大の被害を発生するといわれているのが、荒川河口付近を震源地とする東京湾北部地震であります。その震源地に近く、揺れが極めて大きくなるといわれる区部東部地域といえば、軟弱地盤であり、液状化が発生しやすい地域であります。これは先ほど話をしました阪神大震災のとき、管路の継ぎ手が抜け出す被害が多数発生した地盤と同様の地盤条件を持った地域でございます。

したがって、このような液状化する地域では、管路の破損や抜け出しなどの被害が高くなることが懸念されるわけであります。

そのため、今後は、地盤の弱い地域への優先的な耐震継ぎ手管への取りかえを推進することで、被害の最小化を図る、いわゆる減災への取り組みが極めて重要であると考えております。

そこで、重要施設とともに、軟弱地盤などの被害が大きいと想定される地域に優先的に耐震化を進めるべきであると考えますが、見解を求めます。

増子水道局長

水道局では、耐震強度にすぐれ、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管への取りかえを着実に進めてきております。こうした中、東日本大震災が発生し、これらを踏まえて示された新たな被害想定では、震度六以上の地域や液状化発生面積の拡大等の見直しが行われました。

このため、現在、想定地震動や液状化危険度、耐震継ぎ手化の進捗等を考慮し、被害が大きいと想定される地域を優先して耐震化する取り組みを検討しております。

この取り組みにより、水道管路の耐震化を効果的に実施し、被害の最小化を図ってまいります。

上野委員

被害が大きいと想定される地域を優先して耐震化する取り組みを検討しているとの心強い答弁がありました。ぜひとも、被害の縮小化を図る減災対策に積極的に取り組み、都民の暮らしを支える安定給水の確保を目指していただきたいと思います。

次に、都立病院におけるBCPの取り組みについて質問いたします。

東日本大震災の教訓を踏まえてまとめた東京緊急対策二〇一一に基づいて、病院経営本部では、平成二十三年度に四つの都立病院でBCPを作成し、今年度中には、すべての都立病院での策定が完了するとのことでありますが、その取り組みについて何点か質問していきたいと思います。

皆様もご存じのとおり、二〇〇一年、アメリカでの九・一一同時多発テロを契機に、危機管理、すなわちBCPの重要性が金融機関を中心に再認識されまして、我が国においても二〇〇五年に経済産業省や内閣府が事業継続計画に関するガイドラインを相次いで公表し、普及啓発を行ってまいりました。

都においても、平成十九年の第一回定例会におきまして、公明党が議会で最初に、都庁や企業のBCP策定に本腰を入れて取り組むべきであると主張した結果、平成二十年十一月に、都政のBCP地震編、これが策定され、平成二十二年三月には新型インフルエンザ編が策定されたところでございます。

BCPの普及率は、内閣府の本年三月公表によりますと、大企業で四六%、中堅企業で二一%が策定済みであります。大企業、中堅企業とも、東日本大震災後は、サプライチェーン問題など、危機が現実となった状況を目の当たりにし、BCP策定の取り組みが広がっているところでございます。

ところで、平成二十三年七月時点で、厚生労働省のまとめによりますと、東日本大震災の被災地の病院三百八十カ所のうち、十病院が全壊、二百九十病院が一部損壊の被害を受けたということであります。災害時に多くの負傷者の治療に当たる病院が、病院機能を継続することで、多くの人命を救うことに直結することから、病院においてBCPを策定し、災害の備えを万全にすることは非常に重要な意味を持つことはいうまでもないところでございます。

しかし、平成二十一年七月の内閣府が行った特定分野における事業継続に関する実態調査によりますと、医療施設でBCPを作成していると回答したのはわずか四・八%にしかすぎなかったように、医療機関での取り組みはおくれをとっている状況でありました。

そうした中で、今回、病院経営本部が所管する各都立病院では、震災後いち早くBCPの策定に取り組んだということであり、私は高く評価しています。

病院業務の特殊性から、策定に当たっては企業活動や一般的な自治体業務とは異なった視点が求められると考えられます。

そこで、どのような考え方に基づき都立病院のBCPを作成したのか、病院事業ならではのBCPの特色についてお尋ねいたします。

塚田病院経営本部長

BCPの策定に当たりましては、病院の安全を守る、医療の継続を図る、医療の復旧を遂げる、この三点を基本理念に掲げ取り組みました。

災害時の病院では、発災直後から多くの傷病者を受け入れるため、平常時よりも業務量が増大するという特徴があります。また、時間の経過とともに外傷等、重傷者の救命治療から慢性疾患や感染症など、内因性疾患の対応へと医療需要が変化をするという特徴もございます。そこで、この二つの特徴を踏まえた上で計画の検討を行いました。

具体的には、傷病者の受け入れなど都立病院共通の応急対策業務のほか、周産期医療や精神科救急医療等、それぞれの病院が持つ診療機能の特性を踏まえまして、非常時優先業務を選定いたしました。

また、医療需要の推移に応じて、発災直後から復旧目標の三十日までを三つのフェーズに区分し、参集可能人員予測をもとに、各部門の業務計画を作成し、災害時にも可能な限り医療の継続を図るものといたしました。

上野委員

病院の医療機能を継続するために、建物の耐震化やライフラインの補強など、ハード面での整備が重要なことはいうまでもありませんが、その上で、医療機能を継続するためには、医師や看護師などの医療従事者がどれだけ災害時に対応できるか、人員体制の確保が事業継続のかぎを握ることになります。

そこで、発災時に、都立病院のBCPにおける人員確保に向けた対策についてお尋ねいたします。

塚田病院経営本部長

発災時に医療機能を継続するために最も重要なことはマンパワーの確保であります。

そこで平成二十三年度に、災害時都立病院職員参集ルールを見直し、都立病院間の協力体制を強化いたしました。具体的には、都内で震度六弱以上の地震が発生した場合、全職員が徒歩等で自主的に所属病院へ参集を開始することとしていましたが、今後は、自宅から所属病院までの距離が二十キロメートルを超え、到着まで二十四時間以上かかると想定される職員は、原則として自宅から最寄りの都立病院へ直ちに参集し、発災直後の診療体制の早期確保に努めることといたしました。

また、日ごろから、みずからと家族の身の安全を守る備えを行っておくことが、発災時に災害医療業務に従事することを可能にいたします。そこで、家族との安否確認の方法をあらかじめ定めておくなど、家庭での地震への備えにつきましてもBCPに明記し、職員に対し意識啓発を行っております。

上野委員

BCPを作成した後に大切なことは、BCPを組織に根づかせ、実践できる人を育てることであります。災害時という非常事態において、職員一人一人が冷静に、計画あるいはマニュアルに基づいた適切な行動をとるためには、平常時から災害医療に関する研修を通じて、知識を深めるとともに、防災訓練でシミュレーションを繰り返すなどの地道な取り組みの積み重ねが大事であります。

そこで、災害時に適切な対応を可能とする災害医療に関する研修や訓練について、取り組み状況をお尋ねいたします。

塚田病院経営本部長

各病院では、全職員を対象に災害医療の基礎的な研修を、また病院経営本部では、各病院での研修や訓練の指導者となる人材を養成するための研修を実施しており、平成二十三年度は合わせて十二回、合計三百七十二名が受講いたしました。

さらに、平成二十三年度には新たに管理監督者マネジメント研修として、発災時の危機管理及び災害対策本部運営のために必要な知識を深めるため、管理職向けの研修を実施し、二十名が受講いたしました。

また、各病院では、災害時の医療救護活動や患者の避難誘導など防災訓練を実施しており、平成二十三年度は、都立病院全体で二十回実施し、延べ千九百三十九名が参加いたしました。

今後も引き続き職員の災害対応力を強化するため、研修及び訓練内容の充実を図ってまいります。

上野委員

BCPは、策定して終わりというものではありません。平常時の教育訓練の実施、その後の計画内容の点検や検証、そして計画の見直し、すなわちプラン・ドゥー・チェック・アクションというPDCAサイクルを通じて、より機能的なBCPに改善していくことが大事であります。いわゆる事業継続マネジメントの取り組みがあってこそ、その真価を発揮するものであります。

そこで、都立病院でBCPを策定するに当たりまして、BCMをどのように推進していこうと考えたのか、平成二十三年度の取り組み内容と今後の取り組み方針についてお尋ねいたします。

塚田病院経営本部長

お話のように、災害時にBCPを有効に機能させるためには、常に現状に照らして、継続的な見直しを行っていくBCMへの取り組みが非常に重要であります。

そこで、BCPの策定に当たりましては、関係する諸計画や病院の施設設備など、前提要件に変更が生じた場合に計画の修正が着実に実行できるよう、修正対象箇所を一覧にし、見直しを容易にする工夫を図りました。現在も、十一月に予定されている地域防災計画の修正にあわせ、所要の見直しを検討しているところであります。

災害時においても都民の生命を守るため、今後とも策定したBCPに基づき着実にBCMを推進し、都立病院の災害対策の一層の強化に努めてまいります。

上野委員

災害時の医療救護活動は、病院を初めとした医療救護所、都や区市町村、消防庁、さらには他県からの応援の医療救護班を含めた各機関の連携によって成り立つものであります。発災時に連携を図っていく上で、情報連絡体制の確立は欠かせません。各機関でBCPを策定する際には、おのおののBCPが点から面へと有機的な結びつきを持つよう、連携の視点を踏まえたBCPの策定が重要だと考えております。そのためには、都立病院のBCPにおいても、今後BCMを推進していく中で、関係機関との連携の視点を持って、さらに検討を深めていくことを要望いたします。

次に、良好な水環境を創出するための下水道事業における取り組みについて何点か質問いたします。

東京は、明治時代に先駆的に近代下水道がつくられまして、人々は早くからその利便性を享受してきたところであります。その中で、区部の下水道の大半は、早期に整備された欧米の大都市と同様に、汚水と雨水を一つの管で流す合流式で整備されてきました。

このため、早期に下水道を普及することができた反面、大雨が降ったときに、下水道の吐け口から汚水まじりの雨水が、河川や海などの公共用水域に放流されている現状があります。下水道局ではこうした課題に対応するため、合流式下水道の改善対策を進めているところであると思いますが、その努力は評価いたします。

しかしながら、雨天時の下水を貯留する大規模な施設などの整備には時間がかかります。そのため、重点的に整備を進め、より一層のスピード感を持って取り組む必要があります。

また、良好な水環境の創出を推進するためには、目標を明確にして取り組むことが重要であると考えます。

そこで、区部における合流式下水道の改善対策について、できるだけ早期に効果が発現できるような工夫を行い、対策のスピードアップを図るべきであると考えますが、これまでの取り組み状況とあわせて見解を求めます。

小川下水道局長

合流式下水道の改善対策のうち、これまでに雨天時の下水をより多く水再生センターに送水する下水道幹線の整備や、吐き口から河川などへ流出するごみなどを取り除く水面制御装置の設置などをおおむね完了しております。

また、降雨初期の特に汚れた雨水を貯留する施設については、経営計画二〇一〇に示した平成二十四年度の累計目標である貯留量百二万立方メートルのうち、平成二十三年度末までに約百一万立方メートルを完成させております。

下水道法施行令に定められた雨天時の放流水質基準が、平成三十六年度から強化されるため、今後、この新たに適用される基準に対応するために必要な貯留量百七十万立方メートルの整備を目標に、水再生センターやポンプ所、雨水吐き口の周辺において貯留施設の整備を進めてまいります。

整備効果を早期に発現させるため、水の流れの少ない河川区間や閉鎖性水域など十四水域で重点化を図るとともに、対策が必要な雨水吐き口の多くが新たな用地の確保は難しい河川沿いにあるため、地元区などとの連携を一層強化し、スピード感を持って取り組んでまいります。

上野委員

今後、地元区と連携し、対策がより一層推進されることで、雨天時の水質改善が図られることを期待いたします。

ところで、私の地元である江戸川区の平井・小松川地区を流れる旧中川は、かつては中川の一部であり、江戸時代には広重の名所江戸百景逆井の渡しなどで、情緒豊かな川であったことが知られております。川沿いには史跡も残されております。

しかし、大正十三年に、中川が荒川放水路に注水を開始したことによりまして分断されました。残された旧中川は、閉鎖的な水域となり、現在では、降雨の後、一時的に水の汚れが目立つ状況にあります。

ことしの六月には、旧中川のゆりのき橋と中平井橋の間で死んだ魚が約千匹も水面に浮かぶといった事態が発生いたしました。これは台風などの影響により、川底に堆積していた泥が巻き上げられ、その結果、水中の溶存酸素が不足したためと聞いております。下水の放流が直接の原因とはいえないものの、旧中川の水質改善に向けて、下水道事業の取り組みが極めて重要な役割を担っていることには間違いないわけであります。

そこで、旧中川における合流式下水道の改善の対策内容と効果についてお尋ねいたします。

小川下水道局長

旧中川も、重点的に水質改善に取り組む十四水域の一つとして、四カ所あるポンプ所で対策を進めております。このうち吾嬬第二ポンプ所と小松川ポンプ所については、合わせて二万八千立方メートルの雨水貯留池を整備し、供用を開始しております。

また、吾嬬ポンプ所については、雨水貯留池を併設したポンプ所として再構築工事を進めているところでございます。

さらに、大島ポンプ所については、放流先を旧中川から荒川へ切りかえることとしており、雨水貯留池を併設した新たなポンプ所を小松川地区に建設中で、平成三十一年度の完了を目指しております。

工事完了後は、旧中川への放流量を七割程度削減でき、水の汚れをあらわす指標であるBOD負荷量につきましても、九割程度削減できると試算しております。

上野委員

新たなポンプ所の整備などによりまして、旧中川への放流量を約七割、BOD負荷量は、約九割も削減できるとのことですので、引き続き着実に取り組んでいただくよう要望いたします。

次に、合流式下水道の改善と同様、良好な水環境を創出するために不可欠な高度処理の取り組みについて質問いたします。

高度経済成長期に急激に都市化が進展した影響によりまして、河川や海の汚濁が進み、隅田川では、かつて行われていた花火大会や早慶レガッタが中止になるほどでありました。その後、下水道の整備が進むにつれまして、水質が大幅に改善され、今では隅田川の護岸にテラスの整備が進むなど、都民の憩いの場として親しまれるまでになったわけであります。

一方で、このように河川の水質が改善されたにもかかわらず、東京湾の赤潮の発生日数は減っていないというのが現状であります。その発生原因である窒素や燐を削減するために、下水道局では、水再生センターにおいて、高度処理の導入を進めているとのことであります。

そこで、区部における高度処理の取り組みの経緯と、現在の導入状況についてお尋ねいたします。

小川下水道局長

窒素と燐を大幅に削減する高度処理につきましては、平成八年度に新規で稼働した有明水再生センターに導入したのを初めとして、平成二十三年度末までに五カ所の水再生センターで導入しております。

一方で、高度処理施設は、規模が大きく、新たに整備するには費用や時間がかかるため、事業効果の発現までに多くの時間が必要となっております。経営計画二〇一〇では、平成二十四年度累計で一日当たりの処理能力約四十七万立方メートルを目標としておりますが、平成二十三年度末までに約四十一万立方メートルの施設を完成させました。これは、区部における一日当たりの平均処理水量の約八%に相当いたします。

上野委員

東京湾の赤潮対策など水質改善のためには、高度処理を推進していく必要がある一方で、高度処理は水質が向上するが、より多くの電力が必要になると聞いております。そのため、水質を向上させるだけでなく、地球温暖化の原因となる温室効果ガス排出量の削減との両立も図らなければなりません。

下水道局では、平成二十二年度より、既存施設の改造などで対応が可能な準高度処理の導入を進めております。効果を上げているとのことでありますが、これまでの導入効果を伺うとともに、今後、準高度処理の導入を拡大していくべきであると考えますが、見解を求めます。

小川下水道局長

準高度処理は、高度処理と比べ、窒素と燐の除去率は落ちるものの、これまでの処理法と比べて窒素の除去率を一割程度、燐については、二割程度高めることができる処理法で、お話のとおり、平成二十二年度から導入しております。

平成二十三年度末までの二カ年で、砂町水再生センターを含む五カ所の水再生センターで導入し、一日当たり処理能力約六十四万立方メートルの施設を完成させました。高度処理と合わせた処理能力は、平均処理水量の約二一%に相当し、平成二十一年度末から三倍に増加するなど、事業のスピードアップを図っております。

準高度処理は、既存施設の改造により早期に導入できることに加え、高度処理と比べ、電力使用量を三割程度削減でき、温室効果ガスの排出量を増加させることがないため、水質改善との両立が図れる新たな手法として積極的に導入してまいります。また、高度処理につきましては、新たな省エネルギー技術の活用等を図りながら、再構築などにあわせて計画的に導入してまいります。

今後とも、さまざまな工夫や新たな技術の活用により、良好な水環境の創出に努めてまいります。

上野委員

温室効果ガスの排出量を増加させることなく、早期に水質を改善できる準高度処理の導入を進めているということは大いに評価いたしたいと思います。

美しい水辺空間を守り、将来世代に引き継いでいくためには、下水道事業が果たすべき役割は非常に大きなものがあります。河川や海などの水質改善に向け、合流式下水道の改善や高度処理の推進に引き続き全力で取り組んでいただきたいと思います。

次に、高速電車事業について質問いたします。

都営交通は、東京の都市生活、都市活動に欠かせない公共交通機関であります。一日平均二百二十八万人に利用されているといわれる都営地下鉄のバリアフリー対策に関して、施設整備や人的対応について幾つかお尋ねしていきます。

少子高齢化が急速に進展する中、高齢者や障害者、子育て中の方などが、快適に公共交通機関を利用できることは重要なことであります。都では、高齢者、障害者を初めとしたさまざまな人々が社会参加できるよう、これまでも、バリアフリーの社会づくりを実施しているところであり、交通局におきましても、さらなる取り組みを期待するところであります。

地下鉄駅のバリアフリーとしては、エレベーターやエスカレーターの設置等が代表例でありますが、一方で、駅の出入り口の小さな段差や、階段や手すりが一部途切れているなどの小さなバリアがあります。こういった小さなバリアについては、昨年度の決算特別委員会で、我が党の橘議員が取り上げたところであります。

そこでその後、小さな段差等のバリアの解消についてどの程度進んだのかお尋ねいたします。

中村交通局長

交通局では、高齢者、障害者、子育て中のお客様を初め、だれもが、より一層快適に駅をご利用いただけるよう、エレベーターなどの整備に加えまして、小さな段差等のバリア、いわゆるプチバリアの解消を積極的に進めてまいりました。

これまでに、例えば、階段の踊り場で不連続になっている手すり、駅の出入り口などの小さな段差、ぬれると滑りやすい床等の解消に計画的に取り組むこととし、平成二十三年度末までに百五十三カ所のプチバリアを解消してまいりました。

今後とも、だれもが自由に円滑に移動できる公共交通機関を目指して取り組んでまいります。

上野委員

確かに、エレベーターやエスカレーターなどの大規模施設の設置だけではなく、プチバリアの解消といった、きめ細かなバリアフリー対策は重要であります。

ただいまの答弁の中で、ぬれると滑りやすい床の解消について言及がありましたが、実は、このたび厚生労働省が発表した人口動態統計では、転倒による死者が年々ふえており、平成二十三年度には、床や路面などの同一平面上での転倒による死者が約五千人に及んでおります。これは、警察庁発表の同年の交通事故死者数と同程度であります。また、転倒による死者の九三%が六十五歳以上の高齢者で、高齢社会を見据えるならば、床の滑り対策は早急に解決すべき課題であるといえます。

国土交通省は、こうした背景を受け、ことし七月に改定した高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準において、新たに床の滑り項目を追加したところであります。

そこで、都営地下鉄において、駅の床の滑り対策を行っていくことが重要であると考えますが、今後の取り組みについてお尋ねいたします。

中村交通局長

床の滑り対策につきましては、当局としても重要であると考えており、駅施設の床は、東京都福祉のまちづくり条例に基づく整備マニュアルに従って、床の表面を平たんで、ぬれても滑りにくい仕上げとして整備を行ってまいりました。

また、汚れや摩耗等によって滑りやすくなった場合には、床に滑りどめ材を塗布したり、滑りにくい材料に張りかえる等の対策を講じております。

今後とも、国の動向を注視しながら、高齢者や障害者などを含めまして、すべての方々が安全に利用できる施設の整備を目指してまいります。

上野委員

交通局においても、床の滑り対策は重要と考えているとのことですが、今後、東京都福祉のまちづくり条例に基づく施設整備マニュアルが改正されていくことになると思いますが、速やかに対応していくなど、今後とも力を入れて取り組んでいただくよう要望いたします。

さて、駅のバリアフリーを考える上で重要な位置を占めるのはトイレであります。駅のトイレは、高齢者、障害者、子ども連れなどを含めたさまざまな方々が利用する重要な施設でありますが、まだまだトイレの入り口に階段などのバリアがあることで、障害者、高齢者が利用しにくくなっております。今後とも駅のトイレのバリアフリー化をさらに進めていくよう要望しておきます。

ところで、交通局では、高齢者、障害者、子育て中のお客様にとりましても使いやすいトイレとなるよう、機能の充実した、だれでもトイレの整備を既に終えたと聞いております。このことについては、私は高く評価しているところであります。

ところが、車いすを利用している方々からは、だれでもトイレは非常にありがたいけれども、健常者が使っていることも多く、使用したいときに使用できないとの声も聞かれております。

そこで、一般用トイレのバリアフリー化を進め、だれもが利用しやすい環境を整えるべきであると考えますが、都の見解を求めます。

中村交通局長

お話の一般用トイレにつきましても、お客様が快適に利用できるよう、ユニバーサルデザインを取り入れ、清潔感と機能性を備えたトイレへ計画的に改良していくことが重要でございます。

このため経営計画におきまして、トイレのグレードアップ事業として、ベビーチェアを備えたブースや、オストメイト対応のブースの設置、段差等の解消に取り組むこととし、これまでの二カ年で十九カ所の整備を実施してまいりました。

今後とも、お客様だれもが利用しやすいトイレとなるよう鋭意取り組んでまいります。

上野委員

トイレは、利用者からの要望も多いことから、都営交通の評価を左右する非常に重要な施設であります。これからも利用者の満足度を向上させるために、さらなる清潔感のアップやバリアフリー化を初め、すべての人に優しく使いやすいトイレを目指して、計画的に整備を進めていただくことを期待しております。

続いて、だれもがスムーズに利用できる駅という視点から質問いたします。

障害があっても、一人で外出し、気兼ねなく歩き回れるような環境を整備していくことが必要であり、実際に外で活発に活動される方も多くなってきております。

しかし、視覚障害者の方が電車の駅のホームから転落するなどの痛ましい事故も発生しております。交通局では、ホームの安全対策のために、ホームドアの整備を着々と進めているところでありますが、安全対策は障害を持たない人のためにも必要であり、着実な整備を求めたいと思います。

一方、視覚障害者の方が駅を円滑に利用できるようにするためには、安全対策とあわせて施設や設備について、音や声による案内を充実させることが大切であります。

実際に都営地下鉄の駅を利用してみますと、エレベーター、エスカレーター、トイレについて音声による案内を行っているところがあります。ホーム上の階段のところでは、鳥のさえずりによって、視覚障害者の方の誘導を図っておりました。

また、駅構内の設備を音声や点字で示している案内図も多数見かけるようになり、利便性も向上してきております。

そこで、都営地下鉄において、今後も視覚障害者の声を聞いて、これらの音声案内装置等の整備をさらに進めていくべきであると考えますが、見解を求めます。

中村交通局長

目の不自由なお客様にとりまして、音声での案内は駅を安心してご利用いただくために極めて重要であると考えております。このため都営地下鉄では、駅構内に音声案内装置、誘導チャイム及び駅構内の設備を音声や点字で案内する、いわゆる音声案内つき触知図の整備を計画的に進めております。

平成二十三年度末には、音声案内装置を、駅構内のエレベーター、エスカレーター及びトイレに合計三百十五カ所設置しております。また、誘導チャイムを改札口及びホーム上の階段に合計三百七カ所設置しており、これまでにすべての改札口への設置が完了しております。さらに、音声案内つき触知図につきましては、五十六カ所に設置が終了しているところでございます。

今年度も、誘導チャイムを六十カ所設置するなど、音声案内装置等のさらなる整備を進める予定でございます。

今後とも、目の不自由なお客様の声も伺いながら、どなたにも利用しやすい都営地下鉄の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。

上野委員

今後も、視覚障害者の方のニーズを踏まえた整備を進めていただきたいと思います。

ところで、このようなハード面の取り組みも重要ですが、バリアフリーはソフト面も大切であります。

我が党では、これまでサービス介助士の資格取得の推進と積極的なPRを提案してきました。サービス介助士とは、お年寄りや障害者などが駅を利用する際などに、必要な介助技術とおもてなしの心を習得した人を指し、利用者が安心できるとても重要な取り組みであります。

最近、私の利用する都営新宿線の駅では、ブルーのサービス介助士のバッジをつけた駅員を見かけることがあります。バッジをつけた方を見つけますと、とても安心します。これは私だけではないと思います。

一方で、サービス介助士の存在や役割が利用者に十分知られているかというと、まだ、これからという気がいたします。

そこで、サービス介助士の資格取得の状況と認知度の向上に向けた取り組みについてお尋ねいたします。

中村交通局長

交通局では、高齢者や障害を持つお客様などが、いつでも快適に安心して地下鉄をご利用いただけるよう、駅員のサービス介助士の資格取得を計画的に進めております。平成十九年度から、資格取得者を順次駅に配置しており、平成二十三年度末には、すべての駅に複数名のサービス介助士を常時配置しております。

認知度の向上に向けた取り組みといたしましては、平成二十二年からサービス介助士に交通局で作成いたしましたバッジを着用させ、資格取得者を判別できるようにしております。

また、サービス介助士の活動場面をイラストで紹介したポスターを駅構内に掲示して、お気軽にお声かけくださいと、その周知を図っております。

今後も、すべての人に優しい公共交通機関を目指して、ハード、ソフト両面から都営交通のバリアフリー化を積極的に進めてまいります。

上野委員

すばらしい取り組みだと思います。より多くの利用者に周知し、お年寄りや障害者の方が気軽に利用できる都営地下鉄を目指していただきたいと思います。

公営企業である交通局には、社会的要請ともいえるバリアフリーの推進について、今後とも、他の事業者を一歩リードする取り組みを大いに期待いたしまして、私の質問を終わります。

高橋委員長 上野和彦副委員長の発言は終わりました。

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