■財政委員会(会計管理局)
  平成22年10月19日(火曜日)

上野委員  私からも、公会計制度改革について何点か質問したいと思います。  財政状態を正確に把握して、そしてまた住民に対してこれを明示していくこと、これはもう地方財政運営における基本中の基本でございます。
 我が党は、これを実現する方法といたしまして、平成十四年、東村議員が都議会で初めて、この複式簿記・発生主義会計を導入すべきであると主張いたしました。先見の明がある知事はいち早く導入を決断いたしまして、都は、本格的な複式簿記・発生主義会計による新たな公会計制度を平成十八年度から導入したわけでございます。
 その結果、明らかになった隠れ借金の解消への努力がなされましたし、減価償却の考え方から将来の施設更新需要に備えるという発想が出てきたのでございます。さらには事業評価や予算編成にも活用するなど、数々の成果を上げていっていることは、既に周知のとおりでございます。
 このように、都が着実に公会計制度改革による実績を重ねる一方、さきの第三回定例会で述べましたとおり、国を初め全国自治体での公会計制度改革のおくれは好対照をなしているわけであります。
 都の普及活動の成果として、大阪府や都内の町田市において二十四年度から本格的な複式簿記が導入されるということになりましたけれども、全国的に見れば、こうした動きというのは、まだまだ本当に少数でございます。
 そのおくれの原因の一つは、総務省が二つの会計モデルを提示している、統一的な会計基準がないことも挙げられます。統一的な物差しである会計基準がなければ、自治体間の比較も難しいし、財務諸表を活用した分析も限られたものとなってまいります。全国統一の会計基準を整備することがまさに急務であります。国が早期に取り組むよう、都としてさらなる働きかけを行うことが必要でございます。
 もう一つの原因は、いまだに複式簿記・発生主義会計導入の必要性が真に理解されていない、危機感に欠けていることでございます。こうした面についても、ぜひ都としての実績を踏まえ、全国自治体に導入の必要性やメリットへの認識を高めていく、そうした取り組みに力を入れていただきたい、このように思うわけでございます。
 そうした中、都は、大阪府と共同プロジェクトで公会計改革白書を作成し、十一月に公表すると、このように第三回定例会でもいわれました。
 そこでまず、改めて、この公会計改革白書を作成する意義、目的について、都民の方にもわかるようにご説明を願いたいと思います。
佐藤会計制度担当部長  公会計改革白書についてでございますが、まず公会計制度改革につきましては、総務省が、平成二十一年度末までに全国自治体に財務諸表を作成することを要請しておりまして、本年三月末までに約七割の自治体が作成を行っております。
 しかしながら、各自治体の財務諸表の作成は進んではおりますが、そのほとんどが、官庁会計の決算を複式簿記の様式に組みかえて作成をする、いわゆる決算組みかえ方式によるものでございまして、単に財務諸表の体裁を整えただけの不完全なものでございまして、本格的な活用には限界がございます。
 今後、改革を着実に進めてまいりますためには、全国自治体へ複式簿記の必要性やそのメリットをさらにアピールする必要がございます。そのため、東京都方式に準じた複式簿記を導入するという大阪府と共同いたしまして白書を作成することにより、全国自治体への普及活動に活用していくことといたしました。この白書の作成に当たりましては、本年四月、公認会計士など専門家の参加を得た検討会を設置いたしまして、十一月に公表すべく検討を進めております。
 この検討会では、公会計制度の現状や課題、海外の状況などを専門的な見地から検討を行っておりまして、また、全国自治体へアンケートやヒアリング調査も実施いたしまして、その結果、自治体の現状や課題が明らかになりつつあります。これらを白書として取りまとめまして、複式簿記の必要性やメリットを自治体職員等に訴えてまいります。
上野委員  先ほど私は、導入の必要性が真に理解されずに危機感に欠けていると、このように述べましたが、海外の状況を見ますと、公会計制度について日本がいかにおくれているか、先ほどの鈴木委員のご質問もありまして、ご回答を聞いてもわかります。
 石原知事も、この複式簿記を導入していないのは北朝鮮と日本ぐらいだというような、そういった答弁も、発言もあったわけでございますけれども、海外の状況を調査して我が国のおくれた実態を示すということが、国や全国自治体の認識を改めていく上では大変重要であると考えております。
 そこで、まだ作成中であると思いますけれども、海外、例えばお隣の韓国の複式簿記の導入、こういったものについてどのような状況になっているのか、お尋ねいたします。
佐藤会計制度担当部長  白書を作成するに当たりましては、先ほど申し上げました検討会の中で海外の状況調査を行ってございます。
 具体的には、先進的に導入しているイギリス、アメリカ、フランス、カナダ、それから韓国におけます複式簿記・発生主義の導入の目的と経緯、また導入後の活用状況などを調査しております。その結果、把握できましたこととしまして、各国とも、行政運営やアカウンタビリティーの点から現金主義の限界を認識し、複式簿記・発生主義会計の導入を進めてございます。
 例えばイギリスやアメリカなどでは、一九九〇年代から複式簿記導入が進んでおり、理事お尋ねの韓国では、中央政府では二〇〇九年から導入をされております。また、韓国では、中央政府に先んじて、地方政府が二〇〇七年から導入をしてございます。
上野委員  韓国は、政府が二〇〇九年から、また、地方政府はそれに先立ち二〇〇七年から導入されているという、こういうご答弁でございましたけれども、韓国におきましても、まず地方から導入が始まって、そして国を動かしたと、こういうわけでございます。
 韓国といえば、港湾や空港など、物流の基盤整備による産業発展は目覚ましいものがありますが、この公会計の世界でも、残念ながら日本は韓国におくれをとっているのでございます。
 このように、海外の状況をよく認識し、日本も公会計制度改革を早急に進めていかなきゃならないという意識を高めていくことが重要であります。この改革の機運を盛り上げていくためには、こうした危機感を各自治体が共有することが出発点、このように考えます。その意味では、先ほどの答弁で、全国自治体にアンケートを実施したと、このようにございました。この全国自治体の現状認識を正確に把握することは大変重要であります。
 そこで、このアンケートの結果、見えてきた課題にはどのようなものがあるのか、お尋ねいたします。
佐藤会計制度担当部長  アンケートでございますが、これは、全国都道府県と市及び都内、大阪府内の町村、九百弱の団体に対して行ったものでございます。
 その内容でございますが、まず財務諸表の作成、公表につきましては、総務省が、先ほど申し上げましたように、二十一年度中に財務諸表を作成することを要請していることもございまして、今回アンケートの回答をいただきました九割以上の団体で財務諸表の作成、公表を行ってございます。
 しかしながら、住民に対するアカウンタビリティーの向上に役立っているというご回答は五〇%にとどまっておりまして、財務諸表を公表することによる効果を十分に認識している状況ではないことがうかがわれます。
 また、現在、財務諸表を活用しているとしました団体は二%程度でございまして、活用に際しての課題、精度が十分でない、あるいは活用の方法がわからないといった回答がございました。
 これらのことから、財務諸表の公表、活用に当たりましては、精度の高い財務諸表の作成を進めていく一方、活用方策を研究していくことが必要であるといえるものと考えております。
上野委員  今、何点か、アンケートの結果から明らかになった課題について答弁がございました。全国の自治体においては、形だけは財務諸表を作成しているものの、公会計制度改革に本来求められている目的や役割からは、かけ離れたものになっていることを実感しているような、そうした状況の一端がうかがえるように思います。
 このように、アンケートによって現状を分析し、課題を明らかにしていくことは、この公会計制度改革を進める上で方向性を示す意義深いことではありますが、ただ課題を明らかにするにとどまっていては十分ではありません。その先を見据えて改革を進めていかなければならないと思います。そうした中で、都がこれまで培ってきた精度の高い財務諸表の作成ノウハウや活用方策の事例などの実績は、現状打開に向けた大きな力になっていると思っております。
 総務省がこの九月に、先ほど話がありましたけれども、公会計改革を推進していくための研究会というのを設置いたしました。都もこれに参加していると、先ほどから話がありましたけれども、都は、これまでの実績を踏まえまして、国や全国自治体を牽引していかなくてはなりません。そのために、先ほどの鈴木委員からもお話があったように、この白書を発信力のあるものとして、総務省の研究会の議論をぜひともリードしていってもらいたい、このように思うわけでございます。
 そこで、この白書においては、今後の公会計制度改革の方向性にまで踏み込んでいく必要があると考えますけれども、見解を求めます。
佐藤会計制度担当部長  理事ご指摘のとおり、白書を発信力のあるものにしていくためには、課題を明らかにするだけではやはり不十分でございます。そのため、本白書では、課題だけでなく、自治体における公会計制度の今後のあり方につきまして、提言という形ではございますが、検討の方向性を具体的に示してまいりたいと考えております。
 この白書を発信力のあるものとしまして、十一月十一日に開催をいたします公会計改革シンポジウムで公表することを皮切りに、同じくその近くで開催されます九都県市首脳会議など、さまざまな場面で活用してまいりたいと考えております。また、この白書の内容を踏まえて、総務省の研究会におきましても議論をリードし、公会計制度改革の推進に寄与してまいりたいと考えております。
上野委員  今ご答弁にありました白書の公表は十一月十一日ということで、現在、最後の取りまとめをしているところだと思いますけれども、ぜひこのような点を踏まえました発信力のあるものとしていただきたいと思います。
 この白書につきましては、第三回定例会の我が党の代表質問で、新たなツールである白書を活用しながら、新公会計制度を主要テーマとした大都市を擁するサミットを開催するなど、角度をつけたアプローチを積極的に行っていく必要があると、このように主張してきました。先ほどの答弁にも、十一月に開催するシンポジウムや九都県市首脳会議などで活用していくとのことであり、ぜひ積極的な取り組みを進めていただきたいと思います。
 この新しいツールであります白書の活用により、全国の公会計制度改革の取り組みも一段と進むものと考えますけれども、最後になりますが、局長のその決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
新田会計管理局長  全国の公会計制度改革に向けました取り組みについてでございます。
 理事ご指摘のとおり、全国自治体における公会計制度改革を着実に進めていくためには、関係者が複式簿記・発生主義会計の利点や必要性を深く正確に理解し、危機感を共有することが前提となってまいります。そのため、このたび作成いたします白書におきましては、日本の公会計の現状や近時の海外事例などを調査、分析することを通しまして、我が国のおくれた取り組みの実態を明らかにいたしますとともに、これからの公会計の方向性を示してまいりたいと考えております。
 このような形で、国内のこれまでの経緯から海外の状況、そしてこれからの方向性まで網羅したこの白書は、公会計の分野では、これまでにない画期的なものになると考えております。ご指摘の点も踏まえ、白書が改革を進展させ得る発信力のあるツールとなりますよう、十一月の公表に向けまして、白書作成の詰めの作業に拍車をかけてまいります。
 総務省も、都のこれまでの働きかけもあり、ようやく重い腰を上げてきております。今まさに公会計制度改革が本格的に動き出そうとしております。大阪府とも協力しながら、さまざまな機会をとらえ、この白書をツールとして活用し、全国の自治体に改革のムーブメントの輪を広げてまいりたいと考えております。

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