■財政委員会(財務局)
  平成22年03月18日(木曜日)

上野委員 私からは、まず初めに、都有施設の更新の取り組みについてお聞きしてまいりたいと思います。
都におきましては、老朽化した都有施設の改築、改修を進めるための計画を策定しまして、順次更新に取り組んでいるところでございます。
民間におきましても、高度成長時代に建てられた老朽化した多くの施設で、この維持更新のための取り組みが今後進められていくことと思っております。その際には、やはり都における取り組みが大いに参考になるものと、このように考えております。
そこで、都における改築、改修の取り組みについて、幾つか質問してまいりたいと思います。
まず、都における温暖化対策を推進するためには、オフィスビルの省エネが欠かせません。広く民間オフィスビルに省エネ技術の導入を促すためにも、都は、今後の大規模都有施設の建築の際には、民間のモデルとなるような建築を目指すべきと考えておりますけれども、見解を求めます。
山本技術管理担当部長 東京都は、平成十九年五月に省エネ東京仕様二〇〇七を策定いたしまして、環境局の東京都建築物環境計画書制度に定める省エネ評価の最高段階を目指した取り組みを行っております。
例えば施設整備では、外壁、窓ガラスの高断熱化やひさしの設置などを仕様に組み込み、熱負荷を抑制するほか、照明や空調設備の高効率化などを進めております。
今後は、この東京仕様に基づき整備した建物の省エネ性能を実際に検証するとともに、費用対効果を分析しつつ、順次仕様の改定を進め、有効な最新技術の導入を図ってまいります。
主要施設十カ年維持更新計画に基づく施設の改築、改修に当たっては、東京仕様の改定内容を反映させ、より一層の省エネ化を推進し、民間のモデルとなるように取り組んでまいります。
上野委員 省エネ東京仕様の改定を行い、これを踏まえて、民間のモデルとなるような都有施設を整備していくとのことでございますが、今後も省エネへの取り組みを着実に進め、省エネ東京仕様を民間へ周知していただくことを期待するものでございます。
次に、超高層ビルである都庁舎の設備更新について伺います。
都は、都議会議事堂を皮切りに、新宿の都庁施設の大規模な設備更新に取りかかっていく予定ではありますが、特に超高層ビルである都庁本庁舎の設備更新は、業務を継続しながらの工事であり、極めて困難な作業になると感じております。
超高層ビルの大規模設備更新としては、過去に、世界貿易センタービルと霞が関ビルで対照的な手法が用いられたと、このように聞いております。
世界貿易センタービルの場合は、オフィスを使いながら休日を利用して工事を行ったということであります。また、霞が関ビルの場合は、仮設建築物を利用することによって、オフィスをあけて、そして工事を行ったということであります。
そこで、都庁本庁舎ではどのように対応していくのか。また、工事完了後にはデータを公表し、今後の民間の設備更新のモデルとなる取り組みとすべきと考えますが、あわせて見解を求めます。
山藤参事 大規模な設備更新を進めるに当たりましては、それぞれの建物の構造やその利用形態などに合わせまして、最も合理的な方法を選択する必要がございます。
都庁舎の場合は、構造上の特徴としまして、空調機がすべての階の天井裏や機械室内に設置されている点がございますことから、改修時には、天井を全面撤去しまして、そのフロアを閉鎖して工事を行う必要がございます。
このことから、今回の設備更新では、建物内で執務室の閉鎖、移転をフロア単位で順次繰り返しながら、工事を進めていくことを予定しております。
工事に際しましては、手の戻りや二重投資を避けるため、天井の撤去時にそのフロアの照明や防災設備などを一括して施工することなど、合理的な手法の導入に努めますとともに、共通して適用できる手法につきましては、民間のモデルともなるような取り組みを進めてまいります。
上野委員 相当困難な工事になると思いますので、関係者の理解と協力を得ながら十分検討を重ね、特に安全には十分留意しながら、都民サービスに支障を来すことのないよう円滑な工事実施を望むものでございます。
また、このような都におけるノウハウをぜひとも民間に公表して、都全体の社会資本整備と温暖化対策に役立てていけるよう期待するものでございます。
次に、事務事業評価について、何点かお聞きしてまいりたいと思います。
都におきましては、事務事業評価制度が事後検証システムとして構築され、マネジメントサイクル機能を高めるため、十八年度から財務局に所管されることになったわけでございますが、これまでその歩みを進め、都庁の中に着実に根づきつつあります。
そもそも事務事業評価が導入されるに至った経緯について振り返ってみますと、平成十年度決算において巨額の赤字を計上し、財政再建団体転落の危機に直面する中、都は二度にわたり財政再建推進プランを策定しました。その後、全庁挙げて集中的に事務事業の見直しに取り組んで、財政再建を達成したわけでございます。
その上で、事務事業評価は、ポスト財政再建という新たなステージにおきまして、経常的な取り組みとして、財務局で本格的に実施されたものであります。
このような時間軸の中で、事務事業評価をとらえるとすれば、いわば財政再建期における集中的な施策の点検検証が制度化されたものであると位置づけることができるわけでございます。
都議会公明党は、平成十七年第三回定例会の代表質問におきまして、公会計制度改革と同時に、都の行財政に対して、新たな計画、実行、評価、改善というPDCAサイクルを制度化すべきであると主張したわけでございます。事後の検証システムの制度化について提言してまいりました。このような我が党の提言を踏まえて、財務局が、庁内各局と連携いたしまして、汗をかいて汗をかいて現在の事務事業評価制度に結実したわけでございます。
その意味で、国の二十二年度予算編成過程で、事業仕分けがあたかも先駆的な取り組みとして注目されたようでございますけども、都政におけるこれまでの一連の取り組みは、国よりも一歩も二歩も先んじたものであることを、ここに改めて主張しておきたいと思います。
こうした現状認識に立った上で、今回の事務事業評価を見ますと、財政再建の成果に決して安穏とすることなく、その取り組みを着実に前進させていることが明らかになってまいります。
まず、評価されるべきは、事務事業評価の量的拡大でございます。今回の事務事業評価では、公表対象件数は二百七十一件であり、前年度と比べて二倍を超えています。そのうち、見直し再構築が百四十件であります。これが約二百億円の財源確保につながっており、まさに評価されるべきものであります。さらに大事なことは、事務事業評価制度は単なる当座の財源確保のみを目的とするものではないということであります。
国政においては、マニフェスト実現のための目先の財源確保のために、事業仕分けというツールが活用されたわけですが、この点が事務事業評価との相違点の一つであると思っております。
すなわち、事務事業評価は、制度の仕組みの変更や工夫によって、一層効率的で実効性の高い施策を構築する取り組みであるということであります。この点が実は重要であります。
そこで、今回の事務事業評価におきまして、制度や仕組みの変更、工夫によって施策の効果を高めた具体的な事例とその効果についてお伺いいたします。
長谷川主計部長 二十二年度予算の編成に向けて、事務事業評価の中で制度や仕組みの変更、工夫によって施策の効果を高めた取り組みということでございますけれども、その一例としては、道路等の維持管理に関する評価の中で、工事の標準化を図ったということが挙げられます。
通常、工事の起工から発注、施工までには、入札や契約などの手続に二、三カ月かかっているわけでございますが、一方で、単年度の事業につきましては、年度をまたいだ契約ができない中で、四月から契約に向けた準備を開始いたしますと、どうしても第一・四半期の工事の発注件数が大きく落ち込まざるを得ないということで、これがいわゆる年度の壁というふうにいわれております。
そこで、工場を早期に発注するために、当該年度の歳出はゼロであるけれども、翌年度への債務負担行為を設定するという、予算上の手法であります、いわゆるゼロ都債の活用について検討いたしました。
このゼロ都債を活用して、年間を通して切れ目ない発注を行うということで、年度初めの端境期を解消することが可能となりまして、中小企業の受注機会の確保に資するものというふうに考えたものでございます。
また、このほか事業の内容の面でも、例えば雨期前に側溝を新設することで冠水事故の防止を図ることができるとか、あるいは植物の生育時期である春から夏にかけて早期に除草、剪定を行うことで交通阻害の防止や環境保全につながるなど、道路等の機能の低下を抑止するというような効果なども期待されます。
このように、道路等の維持管理における工事を年度をまたいで継続的に行い平準化を図るということで、施策の有効性、効率性の向上も図られるということでございました。
今後とも、事務事業評価をする中で、制度や仕組みの変更、工夫を積極的に行いながら、都民に役立つ施策の構築に努めてまいります。
上野委員 事務事業評価といいますと、事業の廃止やコストカットが目的であるととらえる向きもあるようでございますが、今の答弁でもありましたように、事業のむだを省く一方で、事業をよりよいものに充実させ、都民サービスの向上につなげていくための取り組みでもあるということであります。
先ほどのゼロ都債の活用の例がありましたけれども、この維持管理を含めて平準化を図っていくということは、特に今の厳しい経済状況の中で、まさに中小企業の皆さんにとっては、本当に喜ばしいことでございます。ぜひとも事務事業評価を通じまして、さらなる都民に役立つ施策の構築に努めていただくとともに、またこのことを広く都民に理解していただくよう努力されることを期待しているものでございます。
次に、事務事業評価における新たな公会計手法の活用についてでございます。
公明党は、本定例会の本会議代表質問におきまして、新たな公会計制度には、日々の会計処理自体に、むだや非効率を排除する仕組みが内部化されているはずである、これを活用しながら事務事業評価を進化させることが重要であると提言いたしました。
これに対しまして、財務局長からは、事務事業評価について、評価対象の拡大に加えて、内容面で新公会計をいかに一層多角的に活用するかということが大変重要な課題であると認識していると、このようにご答弁があったわけでございます。
さらに、先週十一日の予算特別委員会総括質疑におきまして、公明党の東村議員が、新たな公会計制度につきまして、これからはミクロの観点から、各局の事業について、バランスシート、行政コスト計算書、キャッシュ・フロー計算書を活用して費用対効果の観点から事業を評価し、むだを削減していくべきであると、このように提言したわけでございます。
この提言に対しまして、財務局長から、個々の事業を評価する際、その時点のコストのみならず、将来の資産や負債にどのような影響が及ぶかなど、より複眼的に事業の効果、問題点を検証していくことが重要であり、そのため、新しい公会計制度の多面的な活用方法を検討しながら、事務事業評価の取り組みを積極的に推進していくとの力強い答弁があったわけであります。
これらの財務局長の答弁は、まさに公明党の問題意識と軌を一にするものでありまして、新たな公会計制度の導入の効果を最大化するためにも、ミクロ的視点からの活用がより一層重要になってくると考えております。
私は、昨年九月十七日の第三回定例会の財政委員会で、新公会計制度をマクロ的視点から活用した年次財務報告書の分析を中心に質疑を行ったところでございますが、今回の質疑では、このミクロ的視点からアプローチしていきたいと思います。
そこで、まず、今回の事務事業評価におきまして、新たな公会計手法の活用内容とその効果についてお伺いいたします。
長谷川主計部長 事務事業評価におきまして、新たな公会計手法をいかに活用するかということで努力しているところでございますが、今回は、主に三つの観点から活用に努めたところでございます。
第一には、事業別の財務諸表を活用した分析でございます。個別事業ごとの財務諸表を活用して、事業の現状や課題について、主としてコストや効率性の面から分析をしております。
第二には、財産の有効活用の視点からの分析でございます。例えば財産の活用について、中長期のスパンでの保有ストックの有効活用という観点も含め、複眼的に検証をしております。
第三には、事業費に人件費も加えたフルコストという視点からの分析でございます。具体的には、退職給与引当金繰入額や減価償却費、金利などの従来の官庁会計では明らかにならなかったコストも取り入れた上で、事業の検証を行っております。
このように、新しい公会計手法を事務事業評価に活用することによりまして、中長期的な視点も踏まえ、施策の必要性や有益性、将来への影響などをより深く検証することが可能となったものと考えております。
上野委員 ただいまのご答弁で、新たな公会計手法が、今回の事務事業評価におきまして主に三つの視点で効果的に活用されているということでございました。すなわち、事業別財務諸表を活用した分析、財産の有効活用の視点からの分析、人件費も含めたフルコストという視点からの分析という点であります。
そこで、まず第一に、事業別財務諸表がどのように事務事業評価に活用されたのか、具体的な活用実績についてお伺いいたします。
長谷川主計部長 今回の事務事業評価におけます事業別の財務諸表の活用例の一つといたしまして、都庁舎の管理が挙げられます。
都庁舎に関しましては、竣工から二十年近くが経過いたしまして、設備の老朽化への対応や維持管理のさらなる効率化などが求められることから、新しい公会計手法を活用し、設備更新の必要性や庁舎管理の効率性の検証を行ったところでございます。
設備更新の必要性につきましては、貸借対照表の設備減価償却累計額を分析することで、設備の老朽化の進行度合いを検証いたしました。
この結果、空調などの設備につきましては、ほぼ償却が完了し、本格的な設備更新の時期が到来しているということが裏づけられたところでございます。
また、庁舎管理の効率性につきましては、行政コスト計算書の維持補修費などに着目して分析を行っております。
その際、都庁舎は、そもそも費用を使用料で賄うということを目的とした施設ではありませんので、都庁舎のフロアを民間ビル並みに貸し付けたと仮定した上で、これまでの維持管理コストに加えて、民間ベースに合わせるために金利や公租公課の負担をも含めて試算をいたしましたところ、収益が費用を上回りまして、一定の採算性を確保するという結果となっております。
このことによりまして、維持管理コストが効率的な水準にあるということが改めて確認できたところでございます。
これらの分析を通しまして、設備更新の計画的な実施の必要性や維持管理コストの妥当性について、より実証的に確認することができたと考えております。
このように、新たな公会計手法を活用することで、従来の官庁会計では明らかにならなかった側面をも把握することが可能となっておりまして、今後とも事業別財務諸表を積極的に活用することによって、事業のコストや効率性、将来への影響などを多面的に分析、検証してまいります。
上野委員 まさに今のご答弁にもありましたように、この新たな公会計手法というのが、実は都庁舎のような行政財産の管理の効率性や、また設備更新時期を判断する際にも活用されたということであります。これがなかなか知られてないわけでありまして、これを明らかにさせてもらいました。
次に、財産の有効活用という観点からの事務事業評価についてお聞きいたします。
土地を初めとした財産は、従来の官庁会計では現金主義がベースであるため、保有ストックの有効活用という観点では、中長期的な時間軸の中での検証が十分になされていたとはいえない、そういう状況でありました。今後とも、この厳しい財政環境が想定される中にあって、従来にも増して都が保有する財産が最大限有効に活用されることが重要でございます。
そこで、財産の有効活用という観点から、この事務事業評価において、新たな公会計手法がどのように活用されたのか、具体的な事例を交えて説明していただきたいと思います。
長谷川主計部長 財産の有効活用という観点から、新しい公会計手法を活用した具体的な取り組みといたしまして、試験会場として使用する施設をふやす際にどのように確保するかということについて評価、検証を行った事例を紹介させていただきます。
この事例では、近年、技術認定試験の受験者が急増し、現在の試験会場に加えて新たな試験会場を確保するという必要が生じたことから、新規で会場を借り上げる方法と、既存の都有施設を改修して使用する方法等を検討するという必要がございました。
いずれにしましても、ふやした試験会場については、その業務の内容などにかんがみまして、しばらくは継続的に活用されるということが想定されますので、コスト比較に当たりましては、発生主義の考え方を踏まえて、単年度だけではなく、中長期的な視点を考慮して分析を行っております。
その結果、現金主義で初年度支出のみを比較いたしますと、借り上げ方式が優位であったものの、発生主義で年間費用を平準化して比較いたしますと、改修に伴う減価償却費を考慮に入れても、改修方式の方が安価であるということが明らかになったことから、このケースにおきましては、既存の都有施設を改修して使用するという方式を採用することとしております。
このように事業の将来にわたる費用対効果を判断するという上では、単年度の現金支出だけにとらわれるのではなく、中長期的な時間軸の中でのコスト分析が重要でございまして、今後とも、都が保有する財産をより有効に活用するという観点から、新しい公会計手法を一層積極的に活用してまいります。
上野委員 土地や建物を初めとした都が保有する財産は、都民の血税を原資として取得、管理されております。したがいまして、こうした貴重な財産を最大限有効に活用することは、都政に課せられた重要な使命の一つでもあります。そのためにも、新たな公会計手法を積極的に活用して、効率的、効果的な財産の利活用を行っていただきたいと思います。
次に、三点目のフルコストという視点からの事務事業評価について伺います。
新たな公会計制度が導入されたことによりまして、従来の官庁会計では欠落していた時間に対するコスト、こういう概念が都庁にもたらされました。このことは、実に非常に大きな意味を持っていると思っております。
時間に対するコストは、現金の出入りを伴わないために、官庁会計では着眼されにくいものであります。こういった概念を含めて施策を判断することは非常に大事なことだと思います。同時に、事業の特性によるところもあるとは思いますが、人件費も含めたフルコストで、施策の必要性や有効性を判断することも重要であります。
そこで、時間に対するコストや人件費も含めたフルコスト分析を行った事務事業評価の実例について、具体的に説明していただきたいと思います。
長谷川主計部長 今回の事務事業評価におきまして、フルコスト分析の事例といたしましては、自習とパソコンでの学習を組み合わせた研修方式でございますeラーニング研修という研修方式の検討が挙げられます。
このケースにおきましては、eラーニング研修の導入検討に当たりまして、従来から一般的に行われている集合研修による場合とのコスト比較分析を行いました。
発生主義によるフルコスト分析によりますと、集合研修の場合には、システム開発経費や運用経費は必要ございませんけれども、講師給与、旅費などのほか、研修を受けるために拘束されることによるコスト、すなわち時間コストもかかることから、これを研修期間中の研修生の給与相当分に換算して加えた結果、研修生一人当たりのコストは、計算上、このケースでは四・一万円というふうになりました。
一方、eラーニング研修の場合には、初期経費としてシステム関連経費は必要となるものの、拘束時間が少ないということから、時間コストが低廉で済みまして、さらに講師給与や旅費も不要でございますので、システムの経費を含めても、研修一人当たりのコストは一・七万円ということで、集合研修に比べて三分の一にとどまるということが明らかになっております。
このように、eラーニング研修の活用は、コストメリットという面ではメリットが大きいということが判明しております。
ただ、eラーニング研修につきましては、学習到達度などの効果検証が不可欠でございまして、さらに、研修目的によっては、例えば接遇のように対面の研修でなければ効果が上がりにくいというものがございますので、受講生の状況や研修内容に合わせて、研修の一部をこうした形で行うということは有効というふうに評価をしております。
今後とも、事業の特性を踏まえながら、フルコストの視点を持って多角的なコスト分析を行うことで、より効果的な事務事業評価を実施してまいります。
上野委員 ただいま答弁いただきましたように、フルコスト分析も、実は発生主義がベースにあるわけです。事業特性を踏まえつつ、ぜひこういった視点からの分析を効果的に活用していただきたいと思います。
さて、現在、国政では、二十三年度予算編成に向けまして、新たに事業仕分けの第二弾が検討されているようでございます。この事業仕分け自体は、否定しない、もともとは公明党がいい出した話でございます。財務諸表がそろっていて、初めて事業仕分けは生きると思います。そうしないと、主観的な観点でしか事業仕分けはできないことになります。つまり事業仕分けの大前提として、新たな公会計制度があるわけです。
本定例会の本会議代表質問における公明党の質問に対しまして、石原知事からも次のような答弁がございました。国は、今さら事業仕分けなどせずに、新しい公会計制度できっちりした財務諸表が出てくるわけだから、余計なことをしないで済むわけだ、先進国はどこでもやっている、日本だけやっていない、新しい公会計制度を取り入れるべきであると。
私は、まさに知事の答弁のとおりだと思っております。都の財政再建において、新たな公会計制度は、最大で一兆円を超えるまで膨らんだ隠れ借金の存在を顕在化させたわけです。大きな役割を果たしました。
もし国が本気で財政再建に取り組むのであれば、場当たり的に削りやすいところから歳出削減に取り組むのではなくて、この新たな公会計制度を導入した上で着手する、それが最も、本当の事業仕分けをしている意味がそこに出てくるわけであります。
国政においては、マニフェスト実現に向けた目先の財源確保が喫緊の課題であることもわかりますけれども、パフォーマンスではなくて、より本質的な事業の見直しが行われることが望まれるわけです。
今回の質疑で明らかになった新たな公会計手法の活用事例を大いに参考にしながら、ぜひ都議会民主党さんも国にいってもらいたいと。国においても、ぜひ積極的に新たな公会計制度を活用していただいて、事務事業の見直しのレベルをもう一段上げていただくことが肝要であると強く申し添えておきます。
国の先陣を切る都の事務事業評価に話を戻しますけれども、最後に、この間、事務事業評価の取り組みを積極的に推進してきました財政の実務を取り仕切る財務局長の立場から、これまでの取り組みの総括と今後の決意を伺いまして、私の質問を終わります。
村山財務局長 東京都は、石原知事が就任してから財政再建に取り組んできたわけですけれども、前回の委員会でも申し上げましたように、二次にわたり集中的な事業見直しをやってまいりました。これは、危機的状況にあった都財政を再建する上では、非常に大きな貢献をしたわけでございます。
この事務事業の見直しと事務事業評価の関係でございますけれども、この七年間にわたる事務事業の見直しの成果を踏まえて、財政再建が達成された後も継続的に組織として見直しを実施していくという、そういう制度をつくって、そのことによって、いわば見直しを都庁組織の中に内在化させようという、行政自身の体質を改革していこうという、そういう位置づけとしてこの間定着に向けて努力をしてきたつもりでございます。
この間、事業を担当する各局と協力をしながら、新しい公会計制度も活用しながら、事業の点検、見直しをいわば日常化させてまいりまして、事務事業検証システムとして定着できたのではないかというふうに考えております。
このプロセスでは、今申し上げた新公会計制度を活用いたしまして、時間軸であるとか、あるいは資産概念というようなものを事業の評価の中に活用することによって、立体的な事業の評価、見直しをできるという手法について確立を目指してきております。その一つの到達点が、今回の二十二年度予算編成における取り組みであるというふうに私としては総括ができるものと考えてございます。
今後、この事務事業評価が庁内に定着しつつあるという段階の次のステップといたしまして、この制度の取り組みをもう一段発展させ、都民から負託を受けた税金の効率的、効果的な活用についての一つの道具として機能をさらに高めていくためには、さらにもう一つ努力が重ねられなければならないということで、今回、監理団体を通じて実施している都の事業、あるいは二十二ございます特別会計を評価対象に加えるなど範囲も拡大し、また、今るるご指摘をいただきました新しい公会計制度手法についても、さらにミクロ的な活用を充実させていくというふうな課題に向けて、これから、これまでの経験を生かしてさらに不断に探求していくつもりでございます。
今後とも、こうした努力を重ねることによって、都政の積極的な展開を日常的に継続的に組織としてやっていくという行財政体質の改革を志向しつつ、都民に役に立つ都政を支え得る都財政を築くべく頑張っていきたいと考えております。

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