■東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会
  平成21年12月18日(金曜日)

上野委員 都議会公明党の上野和彦でございます。
このたび、本委員会が、都議会民主党、日本共産党東京都議会議員団及び都議会生活者ネットワーク・みらいなどの皆さんの提案によりまして、第三回定例会で設置されたわけでありますが、設置理由の一つに、現在地再整備について改めて検討すると、提案者を代表いたしまして民主党の増子副委員長から理由が述べられました。
なぜ今ごろになって現在地再整備を改めて検討するのかと。これまで検討する時間がなかったわけではありません。本気で検討する思いがあったなら、昨年の豊洲新市場予定地の土壌汚染問題が発生した時点で検討すべきではなかったのか、こう思うのでございます。本日は本委員会の最初の質疑でありますので、我が党の築地市場問題の見解を初めに述べさせていただきます。
都議会公明党は、この問題が発生した直後の昨年第二回定例会代表質問の中で、現在の豊洲移転計画をすべて白紙に戻し、都民の不信と不安を払拭するために、初めに移転ありきの議論は一切やめて、新市場整備の原点に立ち返り、すべての先入観、バイアスを排した再検討が不可欠であると主張したわけでございます。そしてその六月、中央卸売市場の方向性を決めていくための調査プロジェクトチームを党内にいち早く立ち上げまして、本腰を入れて検討を開始したのであります。
これまで築地市場には、実態を知るために、一番実態を知るためには早朝ですということでございましたので、早朝の四時過ぎから視察をいたしました。市場によりますと、昨年はこの時間帯で視察に来たのは公明党だけですと、このようにいわれておりました。また、移転候補地、重層構造の大阪市中央卸売市場などの実態も調査してまいりましたし、さらに業界団体と意見交換をするとともに、土壌汚染については、我が国を代表する専門家へのヒアリングや処理プラントの視察を行うなど、この問題についてあらゆる角度から詳細に検討してまいりました。
その結果、まず、営業を続けながらの現在地再整備は、かつて工事が中断し計画を断念した経緯があることに加えまして、アスベストの処理や、二十年にも及ぶ工期の長期化、また、工事に不可欠な種地の確保が困難などの問題があることが明らかになったわけであります。さらに財政的には、跡地の売却収入が見込めない、市場会計では財源が賄えないことから、新たに六百億円以上の税の投入が必要となるなど、都民の負担が発生することがわかったわけでございますし、また、建設費とランニングコストの上昇が使用料にはね返ることから、市場業者の経営を大きく圧迫することも明らかになったのであります。
こうした調査、検討の結果、我が党は、移転を前提とした新市場の整備が合理的であり、財源も市場会計内ですべて処理が可能で、都民の新たな負担の必要もなく、納税者の納得が得られやすいと判断するものでございます。
先月、市場業界の代表者から、我が党を初め都議会各会派、正副議長、東京都に提出された新市場建設計画推進の要望書には、再整備は不可能であるとの結論に至り、市場の維持発展を考えた苦渋の選択として、豊洲地区への移転を決定したと述べられております。
こうした新市場の早期実現を切実に願う市場業界の要望や、首都直下地震が切迫している中で、この要求資料にもありましたように、築地市場で、十分な耐震性が確保されていない、老朽化した施設、また狭隘化、こういったことが限界に来ていることを考慮すれば、いたずらに現在地再整備を検討すべきと時間をかけていくことは、それこそ築地問題を政争の具にしているといわれても仕方がないといわざるを得ないのでございます。
ここで質問に入りますけれども、卸売市場の役割や機能を十分に認識できていれば、再整備工事により長期間市場機能が低下することがいかに重大な支障となるか理解できると思いますので、初めに、生鮮食料品を安定供給する卸売市場の基本的機能について、確認の意味で説明をお願いします。
大朏中央卸売市場参事 卸売市場は、毎日の都民生活に欠くことのできない水産物や青果物、食肉、花きといった生鮮食料品等を卸売するために開設された施設でございます。
その目的は、生鮮食料品等の円滑な流通を確保し、都民の消費生活の安定を図ることにあります。
卸売市場の基本的な機能でございますが、国内外から大量で多品種の生鮮食料品等を集荷し、多数の小売業者等へ速やかに販売して、荷を区分けして運び出すという、集荷、分荷の機能がまず挙げられます。
次に、卸売市場に集められた商品を、卸売業者が競り売りや入札、相対取引によって仲卸業者や売買参加者等に販売することで、公正な価格を形成する機能がございます。
また、出荷者からは、市場へ大量に輸送することで流通経費を削減できることや、支払いが迅速かつ確実に行われるといった機能が評価されております。
さらに、消費者サイドからは、市場における品質管理、衛生管理の機能や、加工・パッケージの機能などが求められております。
このような機能を発揮することにより、卸売市場は、生鮮食料品等の流通拠点として、その役割を果たしていく必要があると認識しております。
上野委員 既に決算委員会でも確認されたことでありますけれども、築地市場は老朽化が著しく、毎年多額の経費を使って維持補修工事を行っております。そのことにより、辛うじてその機能が保たれているのが実情であります。
狭隘な築地市場では、機能を維持するために最低限必要な工事でさえ、営業活動を続けながら行うことが困難と思われますが、築地市場の老朽、狭隘化による施設の問題や、物流などの機能への支障、そしてその対応の実態について、わかりやすく具体的に説明していただきたいと思います。
野口中央卸売市場
新市場担当部長
築地市場につきましては、開場から七十四年が経過しており、老朽化、狭隘化が著しく、安全面、そして物流面に多くの問題を抱え、一刻も早く抜本的な対策を行わなければならない状況にございます。
施設の老朽化の面では、全体の六割を超える施設が築三十年を超えておりまして、そのうち水産物部の卸、仲卸売り場などは最も古く、昭和十年の開場当時からの建物でございます。そのため、こうした施設におきましては、柱、床、壁の劣化、雨漏り、シャッター等建具の劣化、冷蔵庫及び低温設備の性能低下、給水管の漏水、配電設備の劣化など、至るところでふぐあいが発生しております。
また、敷地の狭隘化の面におきましては、高い品質を保持するために必要な低温施設を拡張できず、駐車場や荷さばき場も不足していることから、車が場外まであふれ、路上におきましての荷の積みおろしなどが恒常的に行われております。さらに、狭い通路には荷があふれ、車、ターレやフォークリフトといった場内搬送車両、さらに買い出し人が入り乱れて作業を行い、場内において効率的な荷の搬送が行えず、円滑な買い回りにも支障を来しており、人身や物損の交通事故件数も他市場に比べ格段に多く発生しております。
そのような状況のもと、施設の老朽化への対応につきましては、市場業者の協力を得まして、市場運営に支障を来さないよう、冷凍機の計画的なオーバーホールを初めとして多岐にわたる補修工事を行うなど、可能な限りの対応を行っております。しかし、営業に大きな影響を与えるような工事の実施は極めて困難でございまして、抜本的な施設改善はできない状況にございます。
また、衛生面の対応につきましても、売り場の一部に低温施設を整備するとともに、氷による商品の保冷などを行っておりますが、生鮮食料品を生産者から消費者まで一貫して低温流通させるコールドチェーンを確保することが困難な状況となっております。
さらに、物流面におきましても、一部の道路を搬出専用とすることで交通の錯綜を避けるとともに、仲卸売り場におきまして、通路への荷のはみ出しを禁止する線を引き、通行の邪魔にならないようにするなど、作業上の工夫を行っておりますが、交通が混雑する深夜から早朝におきましては十分に対応できない状況にあります。
市場業者は、このように老朽化、狭隘化により市場機能を抜本的に改善できない築地市場の現状に強い危機感を持ち、新市場の一日でも早い実現を切に望んでおります。
上野委員 さきの代表質問におきまして、民主党より、晴海への仮移転により種地をつくり現在地再整備を行うことが有力な案であるとして質問がなされましたが、この案は、市場長の答弁によりまして、実現性に乏しいことが明白になっております。
また、仮移転による再整備では、築地市場跡地の売却収入が見込めません。再整備に係る費用を市場会計で賄うことができない状況も変わりはありません。仮移転による現在地再整備は、建設費が膨らみ、施設使用料のさらなる負担につながるだけでなく、移転に関係する費用についても二重の負担となり、市場業者の負担も重いとのことでありますが、負担内容について、もう一度しっかりと内容を確認したいと思いますので、ご説明願います。
黒川中央卸売市場参事 新市場の整備におきましては、卸、仲卸売り場や管理施設など、都が整備する基幹施設のほか、冷蔵庫やリサイクル施設、通勤駐車場など、市場業者が整備する施設がございます。これら市場業者整備施設は、基幹施設と一体的に市場としての機能を果たすものであり、仮移転を行う場合でも整備が必要となります。また、基幹施設においても、例えば仲卸店舗内で使用する保冷設備など、設備機器の購入、設置や、内装工事など、市場業者の負担による造作工事等がございます。
仮移転を行う場合、これらの施設整備費が仮移転時と本移転時のそれぞれに発生するほか、引っ越し経費も二度必要となり、二重の負担となります。
上野委員 市場業界の大多数が移転を望む中、現在地再整備につきまして、業界と合意できることは考えられません。さらに重い負担を強いる仮移転方式ではなおさらであります。しかも、仮移転先の地元関係者との事前調整が必要になる上、また、市場会計で建設費が賄えないことから、都民の税金を投入せざるを得ない状況さえ生じるおそれがあります。こうしたことを考えると、何をもって仮移転を有力案などと主張しているのか、全く理解できないのであります。
先ほど、民主党田の上委員から、十二月十六日付の朝日新聞報道の話から始まりまして、土壌汚染対策について質疑がありましたが、誤解があるといけませんので、我が党の意見を述べさせていただきたいと思います。
報道によりますと、石原知事は、用地取得に先立ち、豊洲新市場予定地の一部で微生物による土壌浄化などの実験を実施すると発言されたようでありますが、我が党としても、これはかねてより、信頼性を高めることを目的としたフィールドでの実証実験が必要であると主張してきたところでありますので、大いに結構なことであると思います。本日提出された要求資料のデータでもわかりますように、国内での微生物処理の実績件数も、もう既に百件を超えております。バイオ技術は着実に進化、進歩しているわけであります。
我が党は、こうしたバイオ技術の進展を確認するために、特別委員会のこのメンバーで、先日、バイオ技術の実績のある現場を視察してまいりました。その結果、短期間でのシアン、ベンゼンの浄化がバイオ技術で可能であるということを確認できたわけでありまして、日本を代表する専門家会議の科学者の方がバイオ技術の有効性や実績を説明されておりましたが、そのことが実際に裏づけられたわけであります。
先ほど、土壌対策の実効性、安全性に対してご心配があるような質疑がありましたけれども、これまで、都議会の本会議、また常任委員会等々で理事者の答弁がございますので、ぜひともこれをまず勉強していただきたい。そして、まずは現場へ行って、自分で視察して、そして目で確認する。百聞は一見にしかずでございます。
話は戻りますけれども、豊洲新市場予定地で実際に浄化できることが事前に確認できれば、都の土壌汚染対策の信頼性は一層高まり、要らぬ風評被害も抑えることができるものと考えております。ぜひとも、先ほどの答弁にありましたように、年度内で結論を出せるように強く要望しておきます。
築地移転の問題に関しましては、これまで都議会本会議や常任委員会等でさまざまな質疑が行われ、議論はし尽くされております。新たに確認しなければならないことは見当たらない状況にあるといえます。先ほどの質疑も聞いておりましたら、経済・港湾委員会等々でもう既に行われた事項が多くありました。このことは、これまでの議会での質疑を十分に読み解いてさえいれば自明でありますし、新たに委員会を設置し議論したとしても、それは繰り返しばかりで発展性のないものであります。本委員会を勉強会にしてはならないのであります。
今回は、最初の質疑ということで、あえて基本的なものを含めて幾つか質問いたしましたが、本委員会での質疑は、あくまでも真に都民の利益や将来につながる内容であるべきであり、間違っても政争の具や、ただ不安をあおること、これだけは避けるべきであるということを指摘いたしまして、私の質問を終わります。

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