■東京都財政委員会(財務局)
  平成21年10月29日(木曜日)

上野委員 私からは、初めに、経営事項審査の改正と資格審査における格付について質問してまいりたいと思います。
私は、昨年の事務事業質疑におきましても、この経営事項審査の改正と、都の資格審査における格付の影響につきまして質問したところでございますが、経営事項審査は、建設業法によって、公共工事を請け負おうとする建設業者に義務づけられている制度であり、経営に関する客観的事項について審査するものでございます。
平成二十年に改正された経営事項審査の改正のポイントについて、国は、次のように説明しております。
第一に、完成工事高、利益、自己資本のバランスを加味した評価としたこと。第二に、企業実態を的確に把握し、反映した経営状況評価としたこと。第三に、より的確な技術力評価をしたこと。第四に、社会的責任の果たし方によって差のつく評価としたことであるということでございますが、具体的には、完成工事高のウエートを引き下げたり、ペーパーカンパニーが実力に見合わない高得点をとることを防止するなど、企業実態を適正に反映するべく改正したとしております。そこでまず初めに、経営事項審査改正の効果について、都の認識をお尋ねいたします。
藤原経理部長 建設作業におきましては、経営事項審査における完成工事高のウエートが高いとか、この完成工事高の偏重については、採算を度外視した受注競争の一因となっているというような指摘がございました。また、お話にございましたようなペーパーカンパニーにつきましても、固定資産が少なく高い点数が出るといった指摘もあったところでございます。
こうした指摘にこたえて、今回の経営事項審査の改正によりまして、事業者が無理な受注競争に走ることなく、技術と経営をしっかりと考える優良な企業が適正に評価されることは、良好な公共工事の実現を目指す東京都といたしましても望ましいものだというふうに考えてございます。
改正により、経営事項審査という公共工事の評価の物差しが変わることになり、時間がかかりますが、事業者においても、経営の質を高める方向へ向かっていくものと考えているところでございます。
上野委員 私も、こうした経営事項審査改正の趣旨につきましては、大いに賛同するものでございます。
しかし一方、昨年も述べましたが、中小零細企業にとって、この新経審は、厳しい評価項目となっていることも事実であります。元請、完工高、自己資本額や利益剰余金、そして技術職員数、研究開発の状況など、ウエートが高くなっております。どちらかというと、大手企業に優位になり、技術者を多く雇えない中小企業にとりましては点数が下がる傾向にあるんではないかと。
経営事項審査の総合評定値が下がれば、結果として、都の入札参加資格の審査における格付が下がってしまうんではないかという、こういう不安、こういったものが事業者あるいは中小零細事業者の方から私の方に来ているわけでございまして、そこで二十一、二十二年度の格付におきまして、経営事項審査改正の影響はどうだったのか、その結果についてお聞かせください。
藤原経理部長 百億円単位の工事から百万円単位の工事までの、多種多様な工事がある東京都におきましては、等級ごとの発注件数と事業者数のバランスをとっていくことが重要でございまして、こうした中で格付の役割は、発注金額に応じて企業をグルーピングすることにございます。
平成二十一年、二十二年度の格付におきましては、一般土木工事と建築工事について見ますと、Aランクの割合が、前回に比較しまして一般土木で〇・一ポイント、建設工事で二・七ポイントの増となってございます。またCランクの割合はそれぞれ一・五ポイント減となっており、最も増減幅の大きいEランクの割合は五ポイント程度の増となってございますが、経営事項審査が改正されましたが、都の新旧の格付に伴う等級ごとの事業者の割合には、大きな変動は生じていないものと認識してございます。
上野委員 中小の事業者の中には、都営住宅の改築、改修工事や河川の護岸工事など、東京都発注の工事を中心に据えて会社を運営している事業者が多いわけであります。まじめに努力し、都のインフラ整備に貢献しようとする優良な事業者が、経営事項審査の改正によって、一方的に都の格付が下がってしまうようなことになれば、まさにこれは死活問題となるわけでありまして、こういうことがあってはならないのであります。
そうした観点から、都が、経審改正前に実施しましたシミュレーションと経審改正後の実際の格付は合致していたのか、あるいは相違していたのか、そしてまたシミュレーションと実施結果との評価認識、これはどうなのかということをお尋ねさせていただきます。
藤原経理部長 東京都の格付は、経営事項審査の評定値によります客観等級と、それから過去の工事実績による主観等級が一致した場合は、その一致した等級として、相違した場合はいずれか低い方の等級としてございます。
東京都の調査によりますと、格付そのものは経営事項審査の評定値である客観等級よりも主観等級によって決まっている場合が多く、十九年、二十年度の格付では、建築工事、土木工事ともに客観等級の影響によりランクが下位になったものは一割程度しかない状況にございます。
東京都は、こうした格付の実態や公共工事の発注件数が減っている状況を踏まえまして、激変緩和を図るため、これまで主観等級における過去の最高工事実績を五年分まで見ていたものを、二年分追加いたしまして、過去七年分まで見ることといたしました。
こうした激変緩和措置を加味したシミュレーションと実際の格付結果は大きく相違してはございませんが、強いていうならば、Eランクの業者割合がシミュレーションよりもふえた結果となってございます。
上野委員 ご答弁にありましたように、Eランクの業者割合がシミュレーションよりもふえたということでございます。前回のシミュレーションの格付結果というものも、私の方に手元にございます。そしてまた今回の格付、経審後の格付、二十一年、二十二年度の結果というのも資料としていただいたわけでございますけれども。
こうやって見ていきますと、例えば、シミュレーションでは、A、Bランクが土木、建築ともにふえているわけですね。先ほど、Aは二・九%増、土木工事。そして建築工事のAは四・八%増というふうになっていたと。C、Dランクは減っておりました。最下位のEランクはほぼ横ばい、これが土木、建築とも若干ふえているところもありましたけれども、そういう状況だったと。
このことは、C、Dランクの業者が、A、Bに上がっていっているようにも見えますし、また、Eランクは、ほぼ横ばいですからそれほどいっていないというふうな、こういうふうな、シミュレーションから見ると判断していたわけですけれども、実際に経審の改正後の結果を見てみますと、土木では、実はAはシミュレーションは二・九増となっていましたけれども〇・一%増と、ほぼ横ばいであった。そして、B、C、Dはすべてマイナスということで、そちらの業者はどこかにいっているわけです。Eは、五・一%増だと、シミュレーションでは〇・五%の増と、ほぼ横ばいですよと、こういっていたわけですけれども、Eの方がふえている。これは土木の場合。
建築では、Aは、シミュレーションは四・八%ぐらいいきますよと、ところが実際は二・七%ぐらいになっている。B、C、Dは土木と同様にすべてマイナスなのです。Eランクは、シミュレーションは一・七ぐらいですよといったけれども、実際は四・五%格付でふえていると。B、C、Dランクの事業者がEランクへと格付が下がったのではないかなというふうに、このデータからいくと見るわけですね。
部長がいわれましたように、主観級のものはですね、主観格の方が二年暫定的に延ばしましょうということだけれども、これによる影響というのは、今回は出てこないでしょうというふうなこともいわれていましたですね。客観的なものでの影響は、そうすると出てきているんじゃないかなと。すなわち経審によるこの計算の結果、客観的な点数というのが下がってきているのじゃないか、こういったことが、実は、ちょっと裏づけられてくるのじゃないかなと、こういうふうに考えて、見た段階では思いまして、このいわゆる低ランクの格付の割合がふえた要因、私はそのあたりについて、都の考えをまずはお尋ねしたいと思います。
藤原経理部長 今、理事からお話がございましたように、主観点数につきましては、激変緩和措置をとってございましたので、主観点数については、各事業者とも前回の定期受け付けの点数を確保してございます。総体として、ランクが下がっている、あるいは下位の割合がふえたというのは、客観点数が下がったことに起因しているものと考えられます。
客観点数でございます経営事項審査の評定値が下がる要因もいろいろ考えられますが、特に昨年から始まった景気の減速による民間部門も含めた建設投資額の減少が、とりわけ下位ランクが多く下がったのは、下位ランクの中小零細企業の事業者に影響を与えたものが相当程度あるんではないかというふうに推測しているところでございます。
上野委員 ご答弁のように、経審の改正の有無にかかわらず、厳しい経済環境によって企業経営が影響を受けた、それで格付が下がったという趣旨のようでございますけれども、私はそういうふうになかなか思えない。下位ランクがふえたこと、これは経審の改正が影響しているのであると、このように以前から、昨年もこれは傾向性としてそうなるのではないですかと、これはしっかりと見ていかないかぬですよということを、私の方で忠告したわけでございますけれども、どうもそういう傾向に出ているなと。
当然いろいろなことが考えられるわけですけれども、評価項目及び基準の改正という当然ご存じのところでの、このそれぞれのウエートですけれども、完成工事高関係については、先ほども話がありましたウエートが〇・三五から〇・二五へと変わっていった、低くなったわけです。これによる影響というのは少なくなってきている。そうした中で、実はこのZという部分のウエートなのですけれども、これは技術職員数のところが非常に影響ある、昨年もここは心配ですよと、〇・二のウエートが〇・二五という形になっている。いわゆる技術者を多く抱えているところはぐっと高くなっている。だけれども、技術者をなかなか抱えられない、しかし、何とか一生懸命工事はやっていきましょうと、工事高はうまくやっている、頑張っている、主観点数は上がっているけれども、実際の客観点数はこれによって下がってきているということが、私は懸念していたわけですけれども、どうもそういうふうな影響は出てくるのじゃないかということを、非常に今回のデータから思っているわけでございます。
前回話したときにも、若干お話ししましたけれども、実際に行政書士の方が、幾つかの業者の方の新経審で試算したときどう変わるかなということをやった、そのデータもらいました。これは驚きました。同じ業者の方ですけれども、その新経審で試算していったら、七業者全部下がっている。その中で驚いたのは、この土木工事の事業者の方なのです。七百九十二点だった、いわゆるBランクの方だったのが、何と六百四十八点に、この経審でやっていくと百四十四点も、工事そのものは全く同じなのですよ、この経審の点数が変わっただけでDランクに下がっているわけです。このことを非常に心配している。この事業者はツーランクも格付が下がっているわけです。
ちなみに、経審改正後、客観格ツーランク以上格付が下がった業者がいるんではないかなということで、調べていただきました。持ってきていただいたわけですけれども、ツーランク以上下がった方が、一般土木工事は二十五社あった、そして建築工事は十六社、四十一業者の方はこの経審改正後客観格がツーランク以上も下がっているということでありまして、先ほどの主観格のところで、ほぼ引っ張られているから大丈夫ですよという話だったけれども、それ以上に客観格の方が下がってきていると、先ほど話があったように低い方のランクに引っ張られますよというところで、どうもこういう傾向性があるんじゃないかということを懸念したのがちょっとあらわれているのじゃないかなと私は思っています。都は、今後ともしっかりその原因を検証していただきたいことを、きょうは要望しておきます。
ともあれ、まじめに頑張る中小建設事業者の多くは、昨今の厳しい状況から将来に不安を抱いております。そうした中で、今回の経審の改正に当たって、都は、激変緩和措置として主観等級の対象期間を二年間延長するとともに、シミュレーションを実施の上、格付に大きな変動が生じないことを確認した上で、新格付の受け付けに踏み切ったことを私は一定の評価をしたいと思っております。このように、常に環境の変化に目配りをすることは何よりも大切だと、このように思っております。
都が先を見据えて、必要な調査を行い、的確な手を打つことによって、中小事業者は安心して仕事に取り組めるわけでございます。今後とも優良な都内中小企業の育成とともに、いい仕事をした事業者が報われ、その実績や努力が都の格付に適切に反映されるよう、公共工事をめぐる状況を把握して、中小企業者の置かれた環境の変化に的確に対応していくべきと考えますが、いかがでございましょうか。
藤原経理部長 格付制度の設計に当たりましては、建設事業者の経営力や技術力といった履行能力を見きわめ、適切に評価する制度とすることが重要だと考えてございます。
また、東京都は、中小企業を育成する観点から、都内に本店を有する中小企業者には、主観点数において二〇%の加算を行ってございます。さらに、環境に配慮した事業者の取り組みを支援する観点から、環境関連の認証取得者にも加算するなど、さまざまな点から企業の努力を評価する制度としてございます。
理事からご指摘がございましたように、今後とも公共工事を取り巻く環境の変更を把握いたしまして、経営力と技術力の評価と検証を的確に行うとともに、よい仕事をした企業が報われる格付制度の構築に努めてまいりたいと考えております。
上野委員 それでは、次に、入札契約制度改革の実施方針について質問をいたします。
建設事業者の受注競争は、急激な景気後退の中で、公共投資の減少に加えまして、民間建設需要が冷え込むなどの影響を受け激しさを増しております。さらに、補正予算の凍結が追い打ちをかけておりまして、今後、公共工事をめぐる環境は極めて厳しい状況になることが予測されます。
例えば、先日の第三回定例会に付議された契約議案でございますけれども、六件すべてが予定価格の八五%を下回っている。うち二件は、落札率が五〇%台と著しい低価格入札が発生しております。
このことは、低価格入札の対策が、これまでどおり単に発注工事の品質だけを確保すればよいというレベルではなく、建設事業の機能不全によって生じる工事現場での労働安全対策の切り下げや、下請企業へのしわ寄せなどについても、入札契約制度の中で解決していかなければならないレベルになったことを示しているといえるわけであります。
こうした状況を受けまして、今回都が策定した実施方針では、過度の低価格入札への対策として、低入札価格調査の強化と最低制限価格制度の適正化が示されております。低価格入札を抑制する目的は、工事施工に必要な経費を確保し、そして、工事品質を確保することであります。
しかし、単純に最低制限価格や調査基準価格を引き上げるだけでは、積算能力のない事業者による低価格入札を排除できず、単に入札価格が上昇するだけの結果に終わってしまいかねません。
そこで、工事品質を確保していくためには、技術力のある優良な事業者が受注でき、技術力向上のために努力する事業者が報われる仕組みとしていくことが重要となるわけであります。
方針4の最低制限価格制度の改正で予定していく設定上限の撤廃は、いろいろとご回答ありましたけれども、価格水準の目安をなくすことで、積算努力をしない事業者は入札に当たって不利となる一方、まじめに積算を行う優良な事業者には有利となるわけであります。
また、方針1では、総合評価方式の適用拡大によりまして、工事施工能力にすぐれた事業者の受注機会を積極的に拡大していくこととしております。
都が策定した実施方針は、こうした複数の対策を組み合わせることによりまして、総合的な対策を構築しております。実施方針の着実な実行によりまして、低価格入札の抑制や、不良不適格業者の排除に大きな成果を上げることを期待しているものでございます。
今回の入札契約制度改革に向けました実施方針の中では、総合評価方式の適用拡大を大きな取り組みの一つとして取り上げております。また、設計業務等の委託におきましては、プロポーザル方式の活用や、同種同類の設計の経験などを技術的要件として入札参加資格に求めるなど、建設事業者、設計者に一定以上の高い技術力を求めているといえます。これらの取り組みは、工事や設計の品質確保の面では有効な方法であり、歓迎すべきことでありますけれども、建設事業者、設計者の技術力を判断するのは、あくまでも東京都の職員の皆様であることを忘れてはなりません。
総合評価方式に大きくかかわる工事成績の評定を行うのは都の職員でありますし、プロポーザルなどの技術審査を行うのも都の職員であるということです。その意味で、今回の入札契約制度改革に向けた実施方針の中で、中長期的課題としている発注者の技術力向上の取り組みについて、私は極めてこのことは重要な課題であると、このように考えているわけであります。このことについて、財務局の認識をお尋ねいたします。
金子建築保全部長 公共工事の品質を確保する上では、仕様書や図面を初めといたしました設計の品質、それから施工や検査を通じた工事の品質を高めていくということが重要でございます。このことから、受注者側に技術力を求めることと同時に、これらの業務に携わる発注者側の技術力を確保していくことは、入札契約制度改革の根幹をなす重要な要素でございまして、喫緊の課題であるというふうに認識しております。
とりわけ、財務局が各局に対しまして、技術面での調整役ともなっておりますことから、率先して、技術力の維持向上に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
上野委員 今回の入札契約制度改革を機に、もう一度技術職場の組織を足固めし、そして職員の技術力アップを図っていかなければ、やがては総合評価方式を初めとした契約制度が十分にその機能を発揮できずに終わってしまう、それとともに、優良な事業者の育成はもとより、工事品質の低下という結果を招きかねません。このことから、技術職員を抱える各局には、発注者としての技術力向上に、さらに積極的に取り組んでいただきたいと思うわけであります。
特に財務局には、ただいまのご答弁にもありましたとおり、各局に先立って、技術力確保のリーダーシップを発揮していただきたいのであります。そこで、今回の入札契約制度改革に向けました実施方針を踏まえ、財務局の今後の取り組み方針についてお尋ねいたします。
金子建築保全部長 技術職員につきましては、既に大量退職が始まっている中、ベテランの職員が持つ技術力の継承ですとか、これを引き継ぐ若手中堅職員の育成への取り組みを強化いたしまして、発注者としての技術力維持に努めているところでございます。また工事監督、設計審査、工事成績評定などの業務に支障を来さないように、なお一層業務の効率化を図るとともに、計画的な研修やOJTの実施、自己啓発に対する支援など、職員一人一人の技術力の向上にも積極的に取り組んでまいります。
さらに財務局では、各局間で、技術情報の交換を行うことを目的として設けられました工事関係基準協議会を所管しておりますので、そうした場などを活用いたしまして、全庁的な技術力の維持向上に努めてまいります。
上野委員 建築保全部長の力強いご答弁をお聞きしまして、大変頼もしく感じた次第でございます。
しかしながら、私は、職員の皆さんが技術力の向上に一生懸命努力されていても、第一線の現場では、かなり物理的に困難な状況にあるのではないかと、このように大変懸念しております。
幾つかずっと見ておりますけれども、どうもやはりそういったところがあるんではないか。それは、さきの行財政改革実行プログラムに基づきます職員の定数が大幅に削減されているし、またこれからも削減しようとされているわけでありますけれども、この行財政改革は、反対しているわけではありません、これは私も評価しております。定数削減のところだけを今ちょっとお話をさせていただいているわけでございまして、この職員定数削減というところをやっていいのかどうか。
これはやはりすごい努力されていますよ。さかのぼれば美濃部都政時代に職員が約二十二万人ですよね。それが今どのぐらいですか、約十六万人ですよ。六万人も削減されているんです。これはもうすごいですよ。東京都の予算というのはカナダの一国の予算と匹敵するぐらいの大きなところで、六万人も削減したところはどこもないじゃないですか。
以前、財務局に、職員一人当たりどのぐらいお金かかるのですかと、これは退職金も含めての話ですけれども、一年間で約一千万円かかるというわけです。六万人掛ける一千万円ですよ、六千億円、美濃部都政時代から今は、毎年六千億円を削減していると同じような、こういう人件費を削減しているような状況にある、これだけでも私はすごいなと思っているわけでございまして、もうかなり職員についてはスリム化されています。
効率的行政運営、これはかなり進んでいるというふうに私は思っているわけでございまして、実際に、以前は、係長、これはもう全体の係の総括です。全体を見回して、本当にうまく事業が進むように見ていらっしゃいました。そして次席がおりました。技術者というのは設計をやっておりますけれども、次席の方はそれぞれの設計者が一生懸命やったことについてちゃんとチェックをしました。細かいチェックをして、これはおかしいぞとか、そしてまた、積算の読み方、解釈の仕方を、やはり間違っている職員にきちんとその経験上から指導をして直していった。
ところが今は、私も驚きましたけれども、係長までが設計をやっている。どんどん定数が削減され、定数は低く、削減されているけれども、事業の業務量はふえていると。(「かわいそうに」と呼ぶ者あり)これはもう本当にかわいそうだけでは済まない。一人当たりの業務量、これがますます増大している、そこにさらにまた頑張れと、削減しろと、こういうふうにいわれているわけですけれども、これは大事な問題があります。監査事務局にいた時代もありましたけれども、チェック機能がなかなか、やはり頑張っていらっしゃるけれども時間がないわけです。そうすると、どうしてもミスが出てくる。そうすると予定価格そのものに、実は適正な価格じゃない金額が入る可能性があるわけでありまして、ここにも影響が出てくる。こうした非常に−−定数削減がだめだといっているわけではないのですけれども、もうここまでやればいいのじゃないですかと、かなりのスリム化ですよと、このことをいっているわけでございまして、この積算基準の解釈も間違いのないようにしていく、そういったことでの一人一人が実はデスクワークに追われて、係長までが設計をやっているというこの姿を見たときに、私はもう本当に涙ぐましい思いをしたわけでございまして、そういった技術力を養うために不可欠な現場に接する時間ですね、こういった本庁の職員だって現場になかなか行けない、そして、職員が少数化していることから、過去の事例を十分に学ぶことや、先輩またはベテラン職員から日々の助言、指導を受けるという機会が減ってきていると。
例えば、公共工事の入札契約制度で見ますと、これ適正化法というのがあるのです。これはいろいろな業務の上に、さらに業務関連法令とか、さまざま社会経済情勢の変化に伴って、やらなきゃいかぬことがふえてきているわけです。この適正化法というのは、ご存じのとおり、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律でございますけれども、平成十三年度から施行されまして、工事の適正化、点検を強化しろと、点検にも行かなきゃならない。
さらに、品確法というのができましたね、平成十七年度。公共工事の品質確保の促進に関する法律、これによりまして、工事中及び完成時の施工状況の確認及び評価等を適切に実施すること、こういったことで、ますますその仕事をやっていかなきゃならないということで、技術の能力、スキルアップをやりましょうよ、こういっていて、やりたいという思いは皆さんあるわけです、技術者。
ところが、技術研修に行きたいけれども、人数が少ない中で、自分がそこに参加すると同僚に迷惑をかけるんじゃないかみたいに、なかなか参加しづらいという状況もある。きょうは職員に成りかわってちょっとお話をさせていただいておるわけでございますけれども、そういった状況もあるということを、私たちはやっぱり認識しなきゃならない。
もはや技術職員は、目の前の業務に追われて、とても技術能力のアップに時間をとることができないような、そういう状況になっている、限界状態に来ているように思えてならないのでございます。
こうした中で、本当に頭の下がる思いがいたしますが、各局ともに、技術職員も、また事務職員の方も、業務の効率化のさまざまな工夫によりまして、この定数削減に伴う困難な状況を乗り越えていらっしゃる、本当に頭の下がる思いでございます。
そうした中で、建設局では、技術者マイスター制度というのを本年から実施されました。これは「都政新報」にも出たわけでございますけれども、ご存じの方と、知らない方のためにちょっとお話をさせてもらいますけれども、ことし建設局特定のすぐれた技術を持つ職員を指導技術者として認定するという、建設技術マイスター制度を創設して、いわゆる団塊世代の大量退職に伴い、ベテラン職員の持つ技術やノウハウの継承、それから若手の育成が喫緊の課題となる中、OJTを横断的に行う環境づくりを目指すもの、初回の指導技術者として、ことしは六月二十九日に五十四人が認定されたということでございます。
ちょっと気になったのは、この指導技術者になりますと、局内から寄せられる技術的相談の助言とか研修講師とか、そういったいろんなことで協力を行われるわけでございますけども、この認定を受けても、給与や職務上のインセンティブはないということを聞きました。この胸につけるしんちゅう性の名前のプレートが進呈されるということでありまして、それだけだそうですけれども、いわゆる職員の本人の使命感とか奉仕、この精神に頼るところがあるようでございますので、ぜひともこのあたりの処遇改善としまして、職員のモラールアップを図ることも大事じゃないかと。
また、こうした制度をオール都庁に導入して進めるべきではないかということを、意見を述べさせていただきたいと思います。
ともあれ、技術職員につきましては、今回の入札契約制度を通しまして、工事や設計の品質確保の観点から、施工者、設計者と同等の技術力と、しっかりとした体制を確保していくことが必要であります。
その意味で、財務局には答弁にあった取り組みをぜひ進めていただくとともに、人事当局には技術職員の継続的な確保を実施していただくことを改めて要望しておくところでございます。
最後になりますけども、今回の入札契約制度改革への取り組みなど局長の決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
村山財務局長 お答えいたします。
財務局長というのは二つ顔を持っておりまして、一方では、ある面では削減、縮減するのが使命であると。一方では、きょう主な話題になっております契約制度も、あるいは建築事業も含めて、仕事、実業をちゃんとやるという、そういう面も持っておりまして、この二つの顔をどういうふうに両立させるかというのが、一つの私の課題でございまして、まさにその痛いところを今ご指摘をるるいただきまして、改めてこれからの課題の大きさについて認識をいたしているところでございます。
今いろいろご指摘いただいたように、技術系の職員の状況についてはおっしゃるとおりでございまして、ようやくここに来て、率直に申し上げれば相当遅いわけですけれども、技術職員についての量と質についての世代交代をめぐる危機感というのが全庁的なものとようやくなりつつございまして、そういう中で、今ご指摘いただいたいろいろな改善策とか、あるいは数の面でも技術系職員の採用数を増加に転じておりますし、そういう意味では、一つ、状況認識については都庁全体としての共有化が図られて、遅いとはいえ、スタートが切れたところにいるんだろうというのが偽らざるところでございますけれども、まだ十分ではございません。
しかしながら、その不十分さに甘えているわけにもいかないというのも現実でございまして、きょうご指摘いただきました実施方針の過度の低価格競争の抑制、あるいは不良不適格業者の排除というのは、まさに品質確保のための技術的な視点をちゃんと契約の中にビルトインしていくということでございまして、それは、本当に技術の分野における力がなければできないと。
契約制度というのは、一方的に何か受注者側にこれをやってくれ、あれをやってくれというふうに発注者側がお願いをするというものではなくて、お互いのボールのやりとりといいましょうか、キャッチボールの中で有効性を高めていくというのが、契約制度の本来のあり方だろうというふうに思っております。
もちろん発注者側と受注者側ですと、何となく発注者側の方がやはり強っぽい感じはするんですけども、ただ、そこのところではちゃんとキャッチボールがないと、本当の意味での契約制度というのは、基本的には民民の論理でございますので、発展はないと。
例えば、今回の場合でも、入札参加資格における技術者資格の設定など、受注者側に相当負担をお願いしている部分もございます。他方、総合評価方式においては、発注者の求める技術要求を受注者が受けとめるということがあって、その受注者から、今度うちはこういうことをやりますよというふうに書いてきたものを、しっかり発注者側がそれを正確に評価して、どの業者が一番頑張っているのかということを評価する能力が求められているということにもなるわけでございまして、そういう意味では、発注者、受注者の技術者レベルにおける対等なそういうやりとりがあってこそ、よい品質確保ができるんだろうというふうに思っております。
そういう意味においては、いろんな人的な発注者側の問題もご指摘のようにいろいろあるわけでございまして、それの対応も後手踏んでいるというところが率直なところではございますけれども、それだけをいっていられないので、私どもとしても頑張らなければいけないというふうに改めて思っております。
そういう意味では、後ろにも技術系の職員がたくさんきょう来ておりますけれども、総合評価方式におけるその評価における技術的な水準を上げる努力であるとか、あるいは起工そのものについての妥当性というのが、今回の措置の中でより厳しく問われるということにもなろうかと思っておりますので、今回の実施方針の実現に向けて、私ども財務局における技術系職員の一層の努力も求められていると思いますし、また各局におけるそういう技術陣との連携というものも量、質ともに一層高めていかなければならないということが、この実施方針の実現に向けてとても重要であるというふうに改めて認識をいたしているところでございます。

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