■東京都議会財政委員会(財務局)
  平成20年12月11日(木曜日)

上野委員  私からは、補正予算について何点か質問していきたいと思います。
 遠藤理事、西岡副委員長と重なる部分については、角度を変えて質問していきたいと思います。
 アメリカ発の金融危機が世界規模の大不況へと拡大する中、今やこの影響は都民の暮らしにも及んでおり、このままでは立ち直りのきっかけさえ見出せない状況にございます。
 都は既に、我が党の要望を受け、九月に補正予算を編成し、中小零細企業向け支援・雇用対策、地球温暖化対策、新型インフルエンザ対策、震災対策の四つの分野で緊急対策を強力に推進するため、その時点においてでき得る限りの早期の取り組みを行ってきたところであります。
 しかし、その後も世界的な金融危機はますます深刻化しております。実体経済に大きな影響が及ぶ事態となっております。中小零細企業における資金繰りは悪化し、倒産件数も増加したほか、将来を担う若者たちの失業率は上昇するなど、都民生活はさらなる悪化の一途をたどっているところでございます。
 その後、原油価格の異常な高騰はおさまったものの、円高の進行などにより中小企業の経営は困難をきわめるなど、都民生活は九月補正のときから想像を超えるような深刻な事態に直面しております。
 今、最も大事なことは、非常時の経済対策を思い切って打ち出し、現在の危機から国民の生活を守り、中小企業の経営を守ることであります。
 そこで、都議会公明党は、東京の実情に即した対策を一刻も早く打ち出していくことが急務であると認識いたしまして、過日、中小企業の資金繰り支援、雇用創出対策、失業者など生活が困難となった方への緊急融資や社会福祉施設等の耐震化対策、また、さらなる周産期医療体制の強化などに早期に取り組むよう、緊急要望を行ったところであります。
 都は、九月補正を中心とする緊急対策に引き続き、十月末に東京緊急対策2を打ち出しました。この新しい緊急対策は、我が党の要望がしっかりと反映されたものであり、評価するものでございます。
 今後、現在の危機的状況を打開するためには、都民が抱えている不安をしっかりと受けとめ、今回の緊急対策に盛り込まれたような都民の不安解消に向けた、実効性のある施策を迅速に実施していくことが重要であると考えております。
 そこでまず、今回の緊急対策2の事業選定の考え方についてお伺いいたします。
真田主計部長  東京緊急対策2は、厳しい経済環境のしわ寄せを現に受けております都民の方々と、それから、さらに今後の影響の拡大に対しまして、具体的な手だてを迅速に講ずることを目的としたものでございます。
 こうした観点から、今回の対策には、危機を乗り越えようと自立に向けて懸命に努力されております都民の方々、あるいは中小企業の方々をしっかりと支えまして、後押しするための実効性の高い施策を盛り込んでおります。
 具体的には、先般、先生方からもいただきましたご要望も踏まえまして、中小企業の資金繰りの支援、あるいは雇用確保対策、あるいは離職者などへの生活者支援、さらには中小企業活用による都市インフラの整備などを実施することとしておりまして、このうち予算措置を必要とし、とりわけ早期に取り組むべき対策につきましては、今回、補正予算という形で提案させていただいております。
上野委員  お話のように、今回の補正予算のポイントは、支援策を通じて、最終的に都民や中小企業の自立を促す取り組みであるということであります。現下の厳しい状況の中、自立のための仕組みをあわせて講じながら、真に困っている人に対するセーフティーネットをしっかりと広げていくことが必要であります。
 今回の緊急対策2の事業内容を見ますと、ばらまきでないことを意識した箇所が見受けられます。
 そこで、財務局として特にお考えがあると思いますけれども、具体的な事例を挙げて、このことについてご説明いただきたいと思います。
真田主計部長  今回の緊急対策の一つの特徴は、今、先生からもお話ございましたけれども、危機を克服しようとする都民、あるいは中小企業の方々を緊急的に支えることはもとより、その後の都民、中小企業の自立を促す仕組みをあわせて組み入れたことでございます。
 例えば生活者支援におきまして、対象者を離職者としておりますけれども、単に金銭給付を行うだけでなく、その貸し付けに合わせまして、例えば産業労働局が所管しております、しごとセンターと連携をとりながら、再就職支援を行うものとしております。
 また、福祉施設の経営改善のための融資の新設に当たりましては、あわせて銀行OBなど中小企業経営にノウハウを持つ専門家によります経営改善計画の策定支援を実施することとしております。
 さらには、今回、一連の対策が恒久的な措置ではなく、基本的に時限であるという点も、こういった自立を促す仕掛けの一つであるというふうに考えております。
上野委員  これからしばらくは、このような景気低迷が見込まれておりますので、限りある財源を有効に活用することが大切であります。今後の都政運営に当たっては、一層のめり張りをつけた施策展開が求められるところであります。
 こうした中、補正予算の編成に当たっては、財源の選択にも苦慮されたと思います。九月補正では、十九年度の決算剰余金を財源に編成することができましたが、税収が減少傾向と見込まれる中で、財源をどうするかというのは大きな課題であります。
 そこで、今回の補正予算編成の財源の基本的考え方について伺います。
真田主計部長  都は、これまで財政再建の取り組みを通じまして、基金の積み立てや都債残高の圧縮など、いざというときに備えた財政の対応力の強化に努めてまいりました。今回の補正予算は、まさにその成果である財政の対応力を活用することによって編成することができたものであるというふうに考えております。
 とはいいましても、今後、財政環境が一段と厳しくなると見込まれている中にありましては、財政調整基金など、基金の残高をできる限り維持していくことも重要であるというふうに考えておるところでございまして、また財源の選択に当たりましては、できる限り都民サービスへの影響も最小限に食いとめていかなきゃならない、こういったことも必要だというふうに考えております。
 そういったことをいろいろ踏まえまして、今回の財源でございますけれども、先ほどもお答えしましたように、まずは九月補正でも活用させていただきました昨年度の繰越金の残額を全額活用させていただくことにしました。
 それから、インフラ整備に関しましては、その効用が将来世代にも及びますので、世代間負担のバランスにも配慮いたしまして、都債を充当させていただきました。その上で、なお不足する財源につきましては、いざというときのための基金であります財政調整基金の取り崩しで対応したものでございます。
 その結果、今回の一般会計におけます補正予算の財源は、前年度からの繰越金六十三億、都債が百五億、それから財政調整基金からの繰入金が三百二十七億という形にさせていただいたところでございます。
上野委員  今回の補正予算の財源が、これまでの財政再建により生み出された、いわば都財政の力によるものであることが確認できたわけでありますが、これまでの苦しい財政再建の取り組みは、まさにこうした事態に備えて行ってきたものであります。今こそ蓄えた力を十分に発揮し、その成果を都民に還元するときであります。
 しかし一方で、蓄えた力は有限であることにも留意しなければなりません。バブル崩壊後には基金残高が底をついたことがあったと聞いております。税収が減っても、国に頼ることができない都としては、一定水準の基金残高の維持にも配慮していく必要があると考えます。
 そこで、今回の基金の取り崩しで、財政調整基金はバブル期と比べてどのようになっているかを含め、現在の残高についてどのように評価されているのか伺います。
真田主計部長  今回の補正予算の財源といたしまして、先ほど申し上げましたとおり、財政調整基金を約三百二十七億円取り崩させていただきました結果、今年度末の財調基金の残高は約五千百三十億円になると見込んでおります。
 過去には、お話ございましたとおり、バブル期の平成元年度には最高で三千五百二十二億円ありました財政調整基金の残高が、バブル経済崩壊後の税収減への対応で一気に底をつきまして、平成九年度には約十億円まで減少したという経験もしてございます。
 基金の取り崩しによりまして、何とか都民サービスを維持してきたという過去の苦い経験を踏まえますと、今後一層厳しい財政環境が到来することが見込まれている中にありましては、現在の水準でも決して十分とはいえないのかなというふうに認識しているところでございます。
 いずれにしましても、景気変動の影響を受けやすい不安定な歳入構造にあります都財政にとりまして、財政調整基金というのは非常に貴重なとらの子でございまして、長期的な景気の波を吸収しながら、必要な行政サービスの水準を確保していく上で大変貴重な財源でございます。
 こうしたことから、財政調整基金につきましては、必要な都民サービスを維持する上で、適時適切に活用していくことはもとよりでございますけれども、引き続き基金残高の一定水準の維持にも留意していく必要があると、先生のご指摘のとおりだというふうに考えております。
上野委員  これまでの堅実な財政運営により基金積み立てを行っていたことから、今回の緊急対策は可能となったわけであります。第一回定例会の財政委員会におきまして、我が党の高倉議員がアリとキリギリスを引き合いに出して指摘したとおりでございます。ごく一部、基金積み立てを非常に否定的にとらえて、批判されてきた会派もございますが、現在、こうした状況をどのように評価されているのでありましょうか。まさか想定外のことといわれることはないと思いますけれども、もし仮に税収がふえた分だけ使ってしまっていたとしたら、今日のような緊急事態に迅速に対応することは困難であったと考えます。
 今回の補正が組めたのも、先見性を持ち、税収が好調なときには蓄え、都民にとって必要なときには取り崩すという堅実で長期的な視点を持った財政運営のたまものであることを理解すべきであるといいたいわけでございます。
 ところで、税収環境は一段と厳しくなることが予想される中、今後は都民生活を守る視点で施策を積極的に展開する必要があります。
 そこで、そうした施策を継続的に支える財政運営が求められますが、最後に財務局長の所見を伺い、質問を終わります。
村山財務局長  ただいま部長から答弁申し上げましたとおり、都財政は景気の変動の荒波の中で、それがダイレクトに税収変動にはね返り、それが収入の増減にはね返るという特徴的な財政構造をいわば宿命といたしておりまして、そのことを前提に財政運営に当たらなければならないというふうに従来から考えてきております。
 したがって、これまでも税収増が生じてくる局面においても、ありていにいえば浮かれて安易に歳出の拡大という形の対応ではなくて、そういうときにも財政環境の変動に対応し得る基金の充実とか、あるいは都債残高の圧縮というふうなことに継続的に取り組んできたつもりでございまして、そのことが今回の状況への対応において役に立ったかなというふうに思っている次第でございます。
 今後のことでございますけれども、都財政を取り巻く環境は、先ほど申し上げたとおり、今後一層厳しさを増してまいります。これまでの経験に照らしてみても、相当のレベルの厳しさといいましょうか、になるであろうということを私どもとしても覚悟せざるを得ないような状況にございます。
 そうした中にありましても、都民生活が直面する課題への対応、それから、それだけではなくて、東京の将来を見据えた施策の着実な推進をちゃんとやるというのが私どもに課せられた役割だというふうに思っておりまして、そのためにこそ、これまで蓄えた財政の力というものを適切、的確に活用していこうというふうに思っておりますけれども、同時に、そういう取り組みを継続的に進めていくためには、今まで培ってきた財政の弾力性といいましょうか、対応力を厳しい財政環境下の中でもどう維持していくかということがこれからの大きな課題になろうかというふうに思っております。
 そのために、公会計制度の活用による事業の不断の見直し、あるいは同じ事業の効果でも、なるべく最少の経費でその効果が得られるような施策の実効性の向上努力といったようなことを含めまして、改めて気を引き締めて、みずからを厳しく律しながら、今後の財政運営に当たっていきたいと、かように決意しております。

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