■東京都議会財政委員会(会計管理局)
  平成20年10月28日(火曜日)

上野委員  私からは、公会計制度について幾つか伺ってまいりたいと思います。
 都は、我が党の東村議員の提案を受けまして、石原知事の決断により、新たな公会計制度を全国に先駆けて導入いたしました。
 公会計制度改革につきましては、石原知事就任以来足かけ八年という歳月を経て、昨年初めての本格的な財務諸表を作成、公表し、予算編成にもその成果を反映することができたわけでございます。今後、地方行政における公会計制度改革を進め、自治体間や類似事業間の財務諸表を比較しながら経営状況をより高度に分析していくためには、全国標準的な会計基準が必要不可欠でございます。
 しかしながら、国が示している二つの公会計モデルは、全国標準としての位置づけもなく、さらに今後の方向性も明確に示されていないことから、多くの自治体が困惑している、こういう現状でございます。
 そこで、この会計基準の標準化について、順次質問してまいります。
 まず第一に、総務省が提示している二つのモデルの問題点について、改めてお伺いします。
土渕参事  まず、総務省方式改訂モデルは、官庁会計決算を手作業で再計算して組みかえるものであり、日々仕訳方式による本格的な複式簿記の導入とはいいがたいものであります。そのため、財務諸表の正確性が不十分で、事業別の財務諸表の作成も困難であります。
 一方、もう一つの基準モデルは、国際公会計基準とも大きく異なる非常に独特な考え方に基づいており、難解で実務的にも対応が困難なものとなっております。
 加えて、二つの公会計モデルとも地方自治体の意見を反映したものではありません。そのため、両者とも今後、全国標準たる会計基準にはなり得ないものと考えております。
上野委員  民間企業における複式簿記・発生主義会計の処理につきましては、企業会計原則など、どの企業であっても統一的な処理をする会計基準があるにもかかわらず、この地方公会計においては国が示しているモデルが全国標準たり得ないと、これはまさに憂えるべきことでございます。
 都議会の意見を踏まえ、国は早急に会計基準の標準化に取り組むべきである、このように考えるわけでございますけれども、そうした中、先日、日本公認会計士協会から、地方公共団体の会計に関する提言が発表されました。そこで、この日本公認会計士協会の提言の概要についてお伺いいたします。
土渕参事  十月十五日に、日本公認会計士協会が発表しました地方公共団体の会計に関する提言は、会計専門家の理解促進のため、地方公会計の整備に係る検討状況などを解説し、あわせて将来の統一的な地方公会計基準を整備するに当たっての協会の考え方を取りまとめたものであります。
 主な提言といたしましては、税収を行政サービスの提供に要した費用に対する財源として、行政コスト計算書に計上するのが適当であること、資産評価は原則として取得原価主義を採用することなどが挙げられます。
 また、地方自治体や地方独立行政法人などに適用される統一的な公会計基準が必要であり、国に対し早急な取り組みを求めているものでございます。
上野委員  日本公認会計士協会の提言によりまして、会計の専門家としての立場から、統一的な地方公会計基準についての検討成果が示されたということでありますが、それでは、東京都の新公会計制度と、日本公認会計士協会の提言はどのような点が同じで、また、どのような点が異なるのかお伺いいたします。
土渕参事  ただいまご答弁申し上げました税収の取り扱いや資産評価の考え方は都と一致しており、さらに、資産、負債の区分や純資産変動計算書の構成など、勘定科目体系の考え方もほぼ同じとなっているなど、多くの点で都の新公会計制度と協会の提言は一致しております。
 ただ、出納整理期間の取り扱いにつきましては、都の新公会計制度が出納整理期間中の計数を財務諸表に反映しているのに対しまして、協会の提言では、出納整理期間中の計数につきまして別途、表を作成し、財務諸表とともに公表した方が望ましいとしております。
上野委員  ご答弁にありましたように、出納整理期間の取り扱いについては差異があるようでございますが、その他の基本的な方法においては相違がないということのようであります。
 そういった点も踏まえまして、この提言を都としてはどのように受けとめているのか、その点についてお伺いいたします。
土渕参事  協会の提言の特徴を簡潔に挙げますと、一つは、基本的に国際公会計基準と同じ内容であること、二つ目は、総務省の二つのモデルに対しては否定的な見解となっていることであります。
 国際公会計基準は、世界約百二十カ国の会計士協会が加盟している国際会計士連盟において策定された基準で、諸外国で広く採用されているものであり、都の新公会計制度も基本的に同じ考え方を採用しております。
 都の新公会計制度が準拠している国際公会計基準の考え方を協会の提言が重要視していることは、都のこれまでの取り組みの正しさが専門家の協会からも裏づけられたものと受けとめているところでございます。
上野委員  答弁にありましたように、都が全国に先駆けて策定したこの東京都会計基準が、提言と基本的な考えを同じくしているということであります。
 都は、公会計制度改革の先駆者として、みずから改革に取り組む、それだけではなくて、他の自治体ともしっかり連携して、地方公会計基準の標準化について取り組んでいく必要があると、このように考えます。これまでの幾つかの質疑の内容を踏まえた上で、地方公会計制度の標準化に向けましての今後の取り組みにつきまして、局長の見解をお伺いいたします。
三枝会計管理局長  これまで私どもは、国への提案要求におきまして、総務省に対し全国標準たり得る会計基準の整備に着手することを要求してまいりました。
 また、全国で初めて複式簿記・発生主義会計を導入し本格的な財務諸表を作成した実績をもとにいたしまして、全国知事会公会計制度ワーキンググループの座長といたしまして、今後の地方公会計制度のあり方に関する検討に対し、先導的な役割を果たしてきたところであります。
 現在、その上部組織であります作業部会においてさらに検討を重ねているところでございますけれども、かなりの部分において、私どもの考え方が反映されたものとなるよう最終的な調整を行っている段階でございます。
 今後は、このたびの日本公認会計士協会の提言の内容をも踏まえながら、さらに知事会の議論を先導するとともに、全国標準たり得る会計基準の整備につきまして、国や他団体への働きかけを強めてまいる所存でございます。

前のページへ戻る



Copyright(C) Kazuhiko Ueno All Rights Reserved.