■東京都議会財政委員会(収用委員会)
  平成20年10月28日(火曜日)

上野委員  私は、日ごろから安全・安心まちづくりの重要性を強く訴えてきましたが、災害に強く、そして快適で利便性の高い東京を実現していくためには、道路、公園などのインフラの整備がまだまだ必要でありますし、こうした必要なインフラ整備を今後とも積極的に推進し、「十年後の東京」に描かれているような、さらに機能的で魅力的な都市へと発展させていかなければならない、このように思っている次第でございます。
 こうしたインフラを整備するに当たりましては、必ず用地買収というのが伴うことになります。そうした中で、任意の用地買収が困難な場合には、最終的には土地収用の手続をとられることになるわけでございます。
 私の地元の江戸川区平井でも、多くの住民の方々の協力を得て、江戸川区と墨田区を結ぶ重要な地域道路で、また防災避難道路の役割も担っている補助第一二〇号線の整備が進んでいるところでありますが、最終的に用地買収に応じず、土地を明け渡さない方が残ってしまったために、いまだ開通に至っておりませんでした。
 私も、この道路の早期開通を強く要望してきたところでありますが、この件についても、都収用委員会で土地収用を認める裁決が行われまして、今月、都による代執行が着手されまして、平井北地区の区間は開通のめどが立ったと聞いているところであります。
 このように、都収用委員会におきまして公正かつ迅速な事件処理が行われることは、東京のまちづくりの推進に重要な役割を果たすものと考えております。
 事業概要の最近の収用事件の傾向を見ますと、都収用委員会では大都市東京の特徴を反映した多様な収用事件を処理されていることが説明されていますけれども、最近、収用事件の傾向に変化が見受けられるようになったと伺っております。
 そこで、事務事業の質疑でもありますので、都収用委員会が取り扱っている事件の最近の状況について、改めてご説明願います。
太田審理担当部長  まず、取り扱っている事件数でございますが、平成十一年度までは毎年度七十件程度でありましたが、平成十二年度に百件の大台を突破し、これ以降、毎年度百件を超える件数で推移しております。
 次に、取扱事件の傾向でございますが、都内では東京の最大の弱点でございます交通渋滞の解消に向けて大規模なインフラ整備が進められております。これに関連いたしまして、平成十九年度に裁決が行われました圏央道高尾山事件のほか、首都高速中央環状新宿品川線やマッカーサー道路といわれます虎ノ門・汐留間の環状二号線に係る事件など三環状道路や幹線道路の整備に伴うもの、さらには鉄道連続立体交差事業に伴う事件などが増加しております。
 また、都内にはマンションなどの集合住宅が多いことから、マンション敷地の収用など多くの権利者が関与する事件も増加しております。こうした事件は当事者が多数なため、意見の確認などにかなりの時間を要することがございます。
 さらに、市街地再開発事業で土地を高度利用する際に土地所有者などの資産価値をどのように評価するかといった、他の道府県の収用委員会ではほとんど取り扱うことのない処理の難しい事件なども増加傾向にあります。
 これらに加えまして、平成十六年度には収用制度活用プランを策定し、収用制度を利用しようとする区市への支援の働きかけを強化したことなどによりまして、平成十七、十八年度におきましては区市からの裁決申請数が大きく増加しております。
上野委員  例えば、今お話のあった圏央道高尾山事件は、事業に反対する大規模なトラスト運動が発生し、裁決までに大変な苦労があったと伺っております。圏央道を含む三環状道路の整備は、東京の都市づくりにおける最重要課題であります。こうしたトラスト事件などは、収用制度なしには解決できなかったもので、今回、公正中立な立場から迅速な裁決を行ったことを評価したいと思っております。
 取り扱っている事件の状況の説明をお伺いすると、事件数そのものが増加するとともに、事件の中身もますます大規模なものや、そして難しいものがふえているように感じます。
 そこで、取扱事件数の増加などの状況を踏まえ、事件の迅速な処理を進めるために、都収用委員会ではどのような工夫を行っているのか、お伺いいたします。
太田審理担当部長  先日の委員会でもご説明いたしましたように、収用事件の処理は、受理した申請書等の書類を地元区市町村で二週間縦覧することを初め、権利者からの意見書の提出、裁決手続開始の決定と登記、起業者と権利者の意見を聴取する審理の開催、裁決など、土地収用法の定める手続を適正に行うことが求められており、そうした手続にどうしても一定の期間を要するものでございます。
 また同時に、土地収用法は事件の迅速な処理を求めております。このため、収用委員会は七名の委員の合議制の機関でありますが、都収用委員会では、平成十二年度以降の取扱事件数の増加などを踏まえ、平成十三年度から審理と調査に係る手続の処理を特定の委員に委任できる指名委員制度を積極的に導入し、委員会運営の効率化に努めております。
 また、事務局におきましても、平成十六年度に収用制度活用プランを策定し、蓄積された事例を分析した事務処理マニュアルの整備や職員の専門能力の向上など、事件処理の適正化、効率化に向けたさまざまな取り組みを行うとともに、収用事件を扱った経験の少ない区市に対しましては、申請手続を円滑に進められるように必要な支援の取り組みを推進しているところでございます。
上野委員  都収用委員会として、事件処理の推進に向けたさまざまな工夫を行ってきたことは理解できましたので、引き続き積極的な取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
 さて、東京は二〇一六年のオリンピック・パラリンピック招致を契機に、三環状道路を初めとする道路ネットワークの整備などを進め、さらに機能的で魅力的な都市へと生まれ変わるよう、全庁挙げて取り組んでいるところでございます。
 圏央道関連の事件処理は終わりましたが、都が早期の事業化を国に強く求めている外環の整備、区部環状道路の整備、そして鉄道の連続立体交差事業、また中央環状品川線の整備などにおいて土地収用の手続が必要になった場合など、今後の東京のまちづくりを推進していく上で、都収用委員会の公正かつ迅速な事件処理という役割がさらに重要になってくると、このように考えております。
 そこで、最後に事務局長の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
野口収用委員会
事務局長
 公正な事件処理は、収用委員会の重要な責務でございます。一方、迅速な事件処理も、公共事業の円滑な推進という社会的要請にこたえるもので、そうした意味から都収用委員会が東京のまちづくりに果たす役割は非常に大きいものと認識しております。
 さきに審理担当部長から答弁いたしましたとおり、毎年度百件を超える取扱事件や大規模なインフラ整備に伴う事件、マンション事件など、これまでに比べて複雑かつ困難な事件が増加しております。都収用委員会を取り巻く状況は一段と厳しくなっているところでございます。
 このような状況ではございますが、事務局といたしましても、ご指摘のありました東京のまちづくりに果たす役割を認識いたしまして、都収用委員会の運営をしっかりと支え、今後とも公正かつ迅速な事件処理に向けて万全を期して取り組んでまいります。
 よろしくお願いいたします。

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