■東京都議会経済・港湾委員会(産業労働局)
  平成20年9月29日(月曜日)

上野委員  それでは私からは、初めに制度融資について質問いたします。
 東京の経済、産業を足元で支えているのは、いうまでもなく、さまざまな技術、サービスを有している中小企業であります。その中でも特に、約八割を占めているといわれる小規模企業は、現在大変に厳しい経営環境に直面しております。ご存じのとおり、昨年来の原油、原材料高によるしわ寄せをまともに受けております。企業間取引の末端にあることから、販売価格への転嫁が極めて厳しい状況にあります。また、利潤がなくなるどころか赤字経営を余儀なくされる。まさに企業存亡の危機に立たされているわけでございます。
 こうした中、我が党の要望を受けまして、今回の補正予算案におきまして、特にそうした小規模企業の資金繰りに対しまして手厚い支援策を打ち出したことは、大いに評価するところであります。
 そこでまず、今回の補正予算案における制度融資の拡充、特に今回力を入れている小規模企業に対する支援策について、拡充内容が具体的にわかるよう説明をしていただきたいと思います。
保坂金融部長  今回の補正予算案では、セーフティーネット保証を含む経営支援融資の目標額を三百億円拡大するとともに、原油、原材料高の影響を特に強く受けている小規模企業者に対する支援の充実を図ることとしております。
 具体的には、従業員数が製造業等で二十人以下、卸、小売、サービス業で五人以下の小規模企業者については、すべて経営支援融資の保証料補助の対象といたします。これにより、十九年度下半期の実績ベースで今回の拡充策の効果を試算してみますと、あくまでも試算でございますが、経営支援融資の十九年度下半期の利用件数四千六百件のうち補助対象となるものが一千件であったものが、約三倍の三千三百件に拡大することになると想定しております。
 また、あわせて、信用保証料の補助率を二分の一に大幅に引き上げ、小規模企業者の負担軽減を図ってまいります。
上野委員  今のご答弁を聞きましても、今回の制度融資の拡充は、特に小規模企業を中心として極めて波及効果の大きいものであると歓迎するものであります。
 ところで、今回の保証料補助の拡充によりまして、個々の企業は一体どのくらい負担が減少するのか、モデルケースを挙げて、都民にわかりやすく示してください。
保坂金融部長  個々の企業の負担軽減額は、融資額、融資期間、保証料率区分ごとに異なっておりますが、例えば経営一般融資について、財務状況が標準的な企業が融資額二千五百万円、融資期間七年間の融資をご利用いただいた場合、保証料を試算すると百十三万円になります。この保証料に対して、現行では保証料補助が二十二万円のところ、今回の措置により補助額が五十七万円に増加することになります。その結果、大幅な負担軽減効果が期待できるところでございます。
上野委員  厳しい資金繰りに苦慮しております小規模企業にとりまして、今回の拡充は大きな負担の削減につながることになりまして、厳しい環境の中での朗報でございます。
 ところで、先ほども述べましたように、原油、原材料高による小規模企業への影響はまことに深刻であります。このまま原材料高が続いた場合、四割以上の企業が転業や廃業を検討せざるを得ないとの調査結果も出ております。日々懸命に頑張っておられる中小企業の方々が安心して事業に取り組めるよう、今回の措置を一刻も早く実現すべきであると考えますけれども、所見を伺います。
保坂金融部長  長引く原油、原材料高は、中小企業、特に小規模企業者に深刻な影響を及ぼしており、収益や財務状況の悪化にとどまらず、企業の存立自体を脅かしているのはご指摘のとおりでございます。
 したがって、補正予算案の議決をいただき次第、金融機関や信用保証協会と連携を図りながら、今回の緊急支援策を直ちに実施し、原油、原材料高の影響を受ける都内中小企業を資金面から支援してまいります。
上野委員  次に、今回、中小企業の事業再生にかかわる一つの注目すべき条例が提案されておりますので、二、三、確認させていただきます。
 我が党はかねてより、多額の負債を抱える企業であっても、すぐれた技術やサービスを有し、再生に向けて意欲的に取り組もうとする場合は、都が積極的に支援を行い、事業の円滑な再生を促進すべきであると主張してまいりました。都が今回提案しました信用保証協会からの回収納付金を受け取る権利を放棄する条例は、こうした我々の主張に沿うものであり、評価したいと思います。
 その上で、条例の運用に当たりましては、信用保証協会や各再生支援機関と適切に連携し、より多くの企業が円滑に事業再生を達成できるよう積極的に取り組むべきであると考えております。
 そこで、回収納付金を受け取る権利を放棄し得る場合として、本条例の第三条各号に掲げられております各再生支援機関のうち最も案件数を見込めそうなのはどれなのか、活動内容も含めて、具体的にご説明願います。
保坂金融部長  本条例の対象としては、中小企業再生支援協議会の再生支援事業による案件が多くなると予想されます。中小企業再生支援協議会は、産業活力再生特別措置法に基づき各都道府県に設置されており、東京では東京商工会議所内に設置されております。
 具体的な活動としては、弁護士、公認会計士など専門家チームが企業の相談にきめ細かに対応するとともに、必要に応じ金融機関など債権者との調整を図りながら、再生計画の策定を支援しているところでございます。
 中小企業、個人事業者、協同組合等が支援対象となっており、東京都中小企業再生支援協議会が平成十五年度から平成十九年度までに再生計画の策定支援を完了した件数は七十七件でございます。
上野委員  ただいまご説明のありました東京都中小企業再生支援協議会による支援実績は、都制度融資の実績十六万件超に比べれば、ごくわずかな件数であります。これは、東京都中小企業再生支援協議会を初め各機関が、再生支援に当たって、企業の成長可能性、社会的意義、また企業のモラルハザードの防止など、さまざまな観点から高いハードルを設定して取り組んでいるためであります。
 そこで、お尋ねしますが、条例制定後、どの程度の再生案件を見込んでいるのか、都の見解を求めます。
保坂金融部長  原油、原材料高の影響などにより、東京都中小企業再生支援協議会には金融機関から持ち込まれる相談案件が急増しており、今年度八月末時点で前年度同期に比べ三五%増加しております。
 また、最近の動きとして、地域金融機関である信金や地銀からの案件がふえており、今後、本条例の対象となり得る再生案件は増大傾向にあると考えております。
 こうした状況を踏まえ、条例制定後一年間に取り扱う案件は、当面、およそ五件から十件程度と見込んでおります。
上野委員  将来性ある中小企業の事業再生をさらに進めるためにも、都は一件一件確実に実績を伸ばしていくよう、要望しておきます。
 また、本条例に定める手続を経て中小企業の債務圧縮を実現しても、再生計画は緒についたばかりであります。まだまだ経営体制や事業の見直しなど、再生に向けて乗り越えるべき課題は山積しております。
 そこで、都は、回収納付金を受け取る権利を放棄するだけではなくて、当該企業の再生に向け積極的に関与すべきと考えますが、都の見解を求めます。
保坂金融部長  中小企業再生支援協議会などの一定の再生スキームのもと、信用保証協会や他の金融機関が足並みをそろえて債権を放棄することは、当該企業が事業再生の道を歩む第一歩にすぎないと考えております。当該企業の円滑な事業再生を図るためには、権利放棄後において、都としても、再生支援機関や信用保証協会と連携を図りながら適切な支援を行っていく必要があると認識しております。
 都は、中小企業を支援するため、経営支援や助成制度、金融制度などさまざまな支援メニューを持っており、これらを最大限活用し、再生の段階に応じた的確な支援を実施してまいります。
上野委員  それでは次に、ネクストジョブ事業について質問いたします。
 知事は所信表明におきまして、バブル崩壊後の就職氷河期に学校を卒業したために、安定した職を得られず、先行きに展望を見出せない三十代の年長フリーター等への支援が急務である、このように発言されました。
 この問題に関して我が党は、先月二十七日、都に対しまして、雇用対策の強化に関する緊急要望を行ったところでございます。二十代の若者の就職支援のためには、既にしごとセンターにおきまして各種の事業が実施されております。しかし、昨今の雇用情勢が厳しくなる中、三十代になっても正社員になれない、いわゆる年長フリーターなどが増加しております。こうした方々の正社員化が課題になっておりましたが、このたび、正規雇用化に向けまして、ネクストジョブ事業で緊急に取り組むことになったことについては、高く評価したいと思っております。
 そこで、ネクストジョブ事業の支援対象や支援方法について、具体的に明確にお答えいただきたいと思います。
小田雇用就業部長  ネクストジョブ事業は、就職氷河期に学校を卒業したために、就職に恵まれないまま非正規雇用で働く三十代の方を対象に、正社員としての採用が一層困難になる四十前に早期に正規雇用化を図っていこうというものでございます。
 このため、東京しごとセンターに三十代の非正規雇用の方専用の窓口、ネクストジョブテラスを年内に開設しまして、専門相談員としてジョブコーディネーターを配置いたします。ジョブコーディネーターは、求職者の就業相談を行うとともに、求人開拓をしながら、企業に求職者の紹介を行います。また、正社員として採用された後には、職場での定着に向け、採用者と企業双方の相談に応じてまいります。
 今後、就職氷河期世代の年長フリーター等の方に、キャリアカウンセリングや就職セミナーなどに加えまして、こうした支援を行うことにより、正社員雇用を促進してまいります。
上野委員 ぜひともしっかり支援を行って、正社員雇用を促進していただきたいと思います。
 専用窓口や相談員の配置といった支援の仕組みはわかりましたけれども、私は今のご答弁を聞いておりまして、非正規雇用の方の採用に積極的になれない企業が多い中で、新たに配置されるジョブコーディネーターが実際どのように対応するのかが、この事業の成功のかぎになるのではないか、このように思ったわけでございます。
 そこで、ジョブコーディネーターには、求職者の悩み事の相談に乗り、また、企業に対してはさまざまな情報を提供すると同時に、適切な意見でその考え方を変えていくといった、親身できめ細かな対応が求められると考えますが、見解をお伺いします。
小田雇用就業部長  年長フリーター等の方の中には、これまでの経験から正社員としての就職に不安のある方も多いと考え、キャリアカウンセラーに加えましてジョブコーディネーターを配置したものでございます。ご指摘のとおり、求職者一人一人の状況に応じたきめ細かな対応をしてまいります。
 また、ジョブコーディネーターには、企業の人事担当OBや社会保険労務士など多様な専門家を配置し、求職者のみならず企業からの相談にも適切に対応できるようにいたします。ジョブコーディネーターが、求職者の就職への希望や考え方、求人企業が求める人物像など、双方を理解した上、マッチングを行うことにより、就職の成功につなげてまいりたいと考えております。
上野委員  今のご答弁で、事業のねらいやジョブコーディネーターの必要性はわかりましたけれども、もう一つ大事なことがあります。それは、支援対象者に、この事業が自分たちのためのものであるときちんと伝わらなければならないということであります。どうも都の広報は、いま一つインパクトに欠けるような気がしてならないわけであります。
 そこで、専用窓口の開設に合わせて、PR方法を工夫し、この事業を周知徹底していくことが必要と考えますが、見解をお伺いします。
小田雇用就業部長  これまで都では、各種事業の広報手段として、「広報東京都」やホームページ、また新聞などを活用して事業の周知を図ってまいりました。しかし、ネクストジョブ事業において支援対象とする方には、こうした広報手段が必ずしも有効でないことも考えられます。
 そこで、ご提案の趣旨も踏まえまして、専用の窓口の開設に合わせ、集中的に電車や駅へのポスターの掲示、コンビニでのチラシの配布、フリーペーパーでの広告など新たな広報手段も積極的に活用しまして、ネクストジョブ事業の周知に取り組んでまいります。
上野委員  ぜひ今後とも、都は、ネクストジョブ事業を、利用しやすく、また効果的なものにするとともに、支援対象者に支援内容がきちんと伝わるようにしていただくよう要望したいと思います。
 さて、サブプライム問題に端を発しました米国の金融危機は、ご存じのとおり、米国大手証券会社が破綻するなど一段と深刻さを増しております。今後、我が国の景気もさらに落ち込み、雇用にも大きな影響を及ぼすことが懸念されるところであります。
 そこで、最後に、今回の緊急対策への局長の決意をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。
佐藤産業労働局長  就職氷河期世代の三十代の非正規雇用の方々は、就職に恵まれないまま、今も不安定な生活状態に置かれて、将来展望を見出せずに苦しんでおられます。また、労働力人口の減少、これが見込まれる中で、こうした方々が有用な人材として育成されることもなく放置される、こういうことは、企業経営を支える中核的人材の不足を招いて、労働生産性の低下を生じさせるというような、産業や社会の活力衰退につながりかねないものというふうに考えます。
 さらに、企業の採用意欲からいいますと、四十歳を超えると極端に採用するという意欲が落ちるという現実もございます。雇用情勢の悪化が懸念される中、機を逸することなく的確に対応するため、今回、緊急雇用対策として、正社員採用、定着支援のための事業でありますネクストジョブ事業を展開していくことといたしました。
 今後、局の総力を挙げまして、この事業を実施してまいります。

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