■東京都議会経済・港湾委員会(中央卸売市場)
  平成20年6月20日(金曜日)

上野委員 豊洲新市場予定地をめぐる問題につきましては、さきの我が党の代表質問で基本的な考え方を述べたところでございますが、このたびの土壌汚染問題につきましては、私は、この問題解決に当たっては、都は焦らず、もっと慎重に進めていくべきであると考えております。
 第八次東京都卸売市場整備計画におきまして、豊洲新市場は、平成十九年度より約五年の工事を予定し、平成二十四年度開場を目途にすることを明記しております。既に工事着手目途から一年を過ぎております。今後、土壌汚染対策、七月の専門家会議の提言に基づきまして、土壌汚染対策の工法の選定に入っていくわけですけれども、決してそこで焦ってはならない。その工法選定についてはしっかりと時間をかけてやっていくべきであると思いますし、また、それを受けて、環境アセス、都市計画決定、用地取得、汚染対策工事等々、さらに数年の期間を要するということが考えられるわけでございます。二〇一六年招致予定のオリンピックにはとても間に合わない。
 したがいまして、豊洲新市場の土壌汚染問題につきましては、オリンピックとは切り離して、都民の不信と不安の払拭のためにも、都民が納得のいく慎重な取り組みをすべきであると重ねて主張するものでございます。
 そうした観点から幾つか質問してまいります。
 まず、今回の詳細調査の結果につきましては、既にご承知と思うので、ポイントをかいつまんで質問を行ってまいりますが、調査は土壌と地下水の両方について実施しておりますが、土壌については表層のみ、地下水は不透水層上端までとなっております。
 そこで、このような調査で地中の汚染状況がきちんと把握できるのか、また、不透水層下の調査については、よく議論になりますけれども、調査しなくてもよいのか、お尋ねいたします。
宮良新市場建設調整
担当部長
今回の詳細調査については、地下水の上端から不透水層までに、土壌に汚染物質があれば地下水中に溶け出すことから、この地下水を分析します。また、地下水面と東京ガス株式会社操業時の地盤面との間はほぼ一メーターとなっており、この部分の汚染を把握するため、中間点となる工場操業時の地盤面下五十センチの土壌を分析いたします。専門家会議では、これら調査を敷地全域にわたり十メートルメッシュで実施することにより、汚染状況の全容が把握できるとしております。
 次に、不透水層下の調査について、豊洲新市場予定地の不透水層である有楽町層の遮水性は、土壌汚染対策法が定める不透水層の基準に対して約三十倍となっており、極めて水を通しにくいわけであります。
 さらに、この遮水性の場合、法で定める基準で算出すると、不透水層としては十八センチの厚さで十分でありますが、実際は約二メーターから二十メーターの厚さがあります。
 また、関東地方の地層や土質に詳しい委員からも、豊洲新市場予定地で不透水層を形成している粘土層は水を通しにくく、汚染の可能性は低いことから、ボーリングにより粘土層を打ち抜き、下部に汚染を拡大させるべきではないとの意見をいただいております。
上野委員 続いて、詳細調査、これは、土壌汚染対策法で求められる調査内容に比べまして本当に遜色がないのか、お聞きいたします。
宮良新市場建設調整
担当部長
土壌汚染対策法で求められる調査は、まず、重金属類については、表層の土壌調査により環境基準を超えた場合に、深さ方向に土壌ボーリング調査を行うこととされております。
 次に、ベンゼンなどの揮発性物質については、表層土壌ガス調査によりガスが検出された場合に、深さ方向に土壌ボーリング調査を実施いたします。地下水位が高いなどの理由によりこの表層土壌ガス調査が実施できない場合には、地下水調査を行うこととされ、環境基準を超えた場合に、深さ方向に土壌ボーリング調査を行うことになっております。
 これに対しまして、今回の調査では、表層の土壌調査及び地下水調査を実施し、土壌調査で環境基準を超えた場合及び地下水調査で環境基準の十倍を超えた場合に、深さ方向に土壌ボーリングを実施しました。
 今後、土壌汚染対策の実施に際し、環境確保条例に基づき、地下水調査で十倍以下の環境基準を超えた箇所についても土壌ボーリング調査を行います。
 これらのことにより、土壌汚染対策法が求める調査と同等であります。
上野委員 続きまして、今回の調査結果を踏まえた対策の方向性について確認していきたいと思います。
 専門家会議の最終提言は七月に予定されております。都としての具体的な対策はそれを待つ必要がありますけれども、専門家会議の対策の方向性の内容は、これまで都が検討していた対策に比べてどのような違いがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
宮良新市場建設調整
担当部長
これまで検討していた対策と専門家会議が検討している対策の違いは、一つには、これまでは、東京ガス株式会社操業時の地盤面から二メートル下より深い箇所については、土壌及び地下水中の環境基準十倍以下の汚染物質は除去せず、管理していくとしていましたが、現在の検討は、すべて環境基準以下に除去、浄化した上で地下水の水位を管理することにしております。
 二つに、工場操業時の地盤面下から二メートルまでの土壌は、建物建設地で汚染が検出されなかった区域を除いて土壌を入れかえることとしていたのに対し、敷地全面にわたってすべての土壌を入れかえることにした。
 三つには、地下水対策について、新たに建物下とそれ以外を分けることとし、建物下は建物着工時までに環境基準以下に浄化し、建物建設地以外については、当面、環境基準の十倍以下に浄化し、最終的に環境基準以下に浄化することにしております。
 違いについてはこういった三点がございます。
上野委員 続いて、土壌はすべて環境基準以下にする、これに対しまして、地下水は将来的に環境基準以下を目指す、このようにされておりますけれども、その理由と、ベンゼン、シアンの処理方法についてわかりやすく説明していただきたいと思います。
宮良新市場建設調整
担当部長
専門家会議では、地下水対策について、建物建設地については、施設完成後に改めて対策を行うことが困難となるため、建物着工時までに浄化を完了し、建物建設地以外の部分については、当面、河川や公共水域に放流が可能な環境基準の十倍以下に浄化して、多少時間をかけて環境基準以下にすることとしております。
 このように、将来的に環境基準以下を目指すとは、最終的に地下水を環境基準以下とするが、浄化するまでに時間的な差異があるということであります。
 地下水中のベンゼン、シアンの処理方法としては、井戸を設置し、地下水を強制的にくみ上げて浄化する揚水処理や、土壌中の微生物に酸素や栄養分を供給し、活性化させて汚染物質を分解する生物的処理などがあります。
 現在、これらの処理方法について、必要となる酸素量や揚水井戸のポンプ数、設置箇所などを具体的に検討するとともに、こうした一般的な方法以外の新しい技術の可能性についても調査を進めております。
上野委員 次に、液状化対策についてでございますけれども、先日の岩手・宮城内陸地震、これが起こりまして、地震被災の防止を徹底する必要性というのを改めて感じているところでございますけれども、東京湾、羽田もそうですけれども、非常に液状化対策というのを大事にしていかなきゃならない。羽田沖合展開での環状八号線の工事においても、建設局あるいは港湾の関係の仕事におきましても、液状化対策につきましては非常に最新の技術を使ってやっておりますし、また、セメントをまぜてしっかりと地盤を固めるというCDMとかJSGといったような地盤改良、こういったものを使ってやっているわけでございますが、新市場予定地はもともと埋立地であります。そのような意味では、地震に備えて本当にしっかりとした液状化対策を講じていく必要があるわけでございます。
 この新市場予定地は、先ほどの資料にもありますように、地層の柱状図を見てみますと、街区ごとに地質や地層が異なっております。きめ細かな対策が必要になると思われますが、どのような対策を講じていこうとしているのか、さらに、大地震にも耐えられる検討がされているのか、お尋ねいたします。
宮良新市場建設調整
担当部長
豊洲新市場予定地の地震時の液状化対策については、地質や地層を考慮して、地盤中に砂のくいを打つことにより地盤を締め固める工法や、セメントなどの地盤改良材により地盤を固める工法を検討しております。
 通常、深さが十メートル程度ある場合は、砂ぐいによる締め固め工法とするが、五街区は、工場操業時の地盤面から不透水層までの深さが五メートル程度と浅いため、締め固めにより液状化防止の効果が期待できません。このような箇所では、セメントなどの地盤改良材を用い地盤を固化していく工法を検討しております。
 このような対策は、国が定めた港湾施設などにかかわる液状化対策の技術基準に基づいており、昨年の新潟県中越沖地震や能登半島地震と同規模の地震が房総沖で発生したとしても、液状化が起こらない安全なものであります。
上野委員 専門家会議によりまして、詳細調査の全体像と手厚い土壌汚染対策の方向性が明らかにされておりましたが、土壌汚染対策の内容は、専門性が非常に高く、また難解でございます。一般の都民の方には、ホームページを読んでもなかなかわかりにくい、こういった声も聞いているわけでございます。
 東京都は今後、専門家会議の最終提言が予定されておりますけれども、この提言の内容というものを、都民、一般の方が見ても、読んでもわかるような、そういった形でしっかりと説明責任を果たすということでの説明、周知というものをしていくべきであると思いますが、見解を述べてください。
越智新市場担当部長 専門家会議では、傍聴席を設置して、会議を公開するとともに、会議の内容につきまして傍聴者の理解を深めることを目的として、委員との質疑応答の時間を設けております。あわせまして、会議資料及び議事録などを速やかにホームページで公開するなど、透明性のある会議運営を行い、都民との情報共有に努めております。
 七月に予定しております提言内容につきましては、提言のポイントや委員の主な意見などを概要版という形でまとめるとともに、わかりやすいパンフレットや、これまでのさまざまな疑問に答える問答集などを作成し、広報紙やホームページなどを活用しながら、都民に対しまして積極的に情報を提供してまいります。
 また、新聞、テレビなどによります報道は、影響力が極めて大きく、都民へ幅広く、かつ迅速に情報が伝わることから、東京都としては、専門家会議の協力を得まして、わかりやすく平易な表現で報道関係者に提言内容を伝え、多くの都民が正確な知識と理解が得られるように努めてまいります。
上野委員 ところで、現在、詳細調査で新たに操業由来の汚染物質が検出されまして、マスコミ等により、巨額な土壌汚染対策の費用負担が取り上げられております。
 この土壌汚染というものがなぜもっと早く発見できなかったのか、なぜ今になってしまったのか、このことを非常に感じるわけでございます。その原因に、東京都が本当に都民の食の安全・安心を守るという立場からの市場立地、これに取り組んでいるのか、このことに対して私自身が非常に不信を抱いているわけでございまして、土壌汚染に対する慎重な配慮というのがこれまで足りなかったのではないか、このようにいわせていただきたいと思います。
 これまでの都の取り組み、あるいは東京ガスの取り組みについては、先ほど米沢委員の方から、まことに意を得た、極めて大事な質疑が行われまして、私も、非常に大事なことだなということで、しっかり聞かせていただきました。
 そういった内容について、私もダブらないような形で話をしていきたいと思いますけれども、東京ガスと東京都は、平成十三年七月、新市場を豊洲地区に配置することに合意いたしまして、その年の十二月、第七次東京都卸売整備計画で豊洲移転を正式に決定したわけでございます。
 ちょうど時を同じくして、土壌汚染関係法令も、平成十三年十月に環境確保条例が整備された。東京ガスは、本条例に基づいて、しっかりと土壌汚染対策の手続をやっているわけでございまして、東京ガスは、自主的な調査等々、一生懸命やっているわけでございます。
 大事なことは、東京都が、先ほどいったようなことでの、本当に都民の安心・安全、食の安全・安心、こういったところの視点で豊洲における土壌汚染というものを真摯に考えていたのか、また慎重に取り組んでいたのかということを疑わざるを得ないというふうに感じているわけでございます。
 東京ガスは、平成十四年から十八年にかけて、環境確保条例に基づいた手続等をやっているわけでございますけれども、この手続できちんとやっているよと、また土壌汚染対策工事も、東京ガスは平成十三年から十九年までやりましたよと、このことを受けて、都市計画案及び環境影響評価書案あらまし、ここの土壌汚染というところでは、東京都は、計画地では、環境確保条例第百十七条に基づく拡散防止措置が実施されており、詳細調査により基準を超過した有害物質については、掘削、除去等の措置が行われています、こういうふうに記載しているわけでございます。東京ガスは法令上の手続に何ら問題はないわけです。
 大事なことは、この内容を東京都が本当にしっかりと調査しているのか。この届け出書、報告書、そして完了届け出書等々、先ほど話がありましたように、ちょっとダブりますけれども、平成十年から十一年のボーリング土壌調査をやりましたけれども、これは、平成六年の重金属を主にした環境庁ガイドラインを準用して調査されている内容であります。平成十四年、ボーリング調査、ベンゼンの調査をやりましたけれども、これは、平成十三年、環境確保条例、東京都が、対象物質を二十四物質にし、また、揮発性の、こういったベンゼンも含んだ二十メートルメッシュということで条例を施行しました、これに基づいて東京ガスはやっているわけでございますけれども、大事なことは、平成十五年に土対法が改正されました。これを受けて、東京都の環境確保条例も、平成十五年二月十四日に、対象物質をふやして、そしてまた調査密度も十メートルメッシュという形にした。これは、なぜあえてこの時点でやったのかということです。
 やっぱり汚染が強い場所というのは、ここまでやらないと、調査しないと見つけられないぞというような趣旨で判断されて改正されているわけでございます。こういった趣旨を踏まえたときに、東京都は、生鮮食料品を扱う市場をつくるんですから、もっと慎重さがあれば、環境確保条例に基づいて十メートルメッシュの調査というものをその時点で実施していくべきであったと思いますけれども、いかがですか。
越智新市場担当部長 東京都が豊洲地区への移転を正式に決定いたしましたのは平成十三年でございますが、この時点で、東京ガス株式会社は、土壌汚染調査を実施するとともに、対策を公表しておりました。同社は、その後さらに、環境確保条例に基づく調査を実施するとともに、追加の対策を計画、実施し、平成十九年に終了いたしました。
 また、東京都は、この東京ガス株式会社の対策に加えまして、生鮮食料品を扱う市場用地という特性を踏まえ、建物下の汚染が未検出の区域を除きまして、地盤面から二メーター下までの土をすべて入れかえるなどの独自の対策を計画しておりました。
上野委員 私の質問に対するお答えにはなっていないというふうに判断いたしますけれども、先ほどの話の中で、東京ガスの操業廃止、平成十七年というふうに聞いたんですけれども、間違いでしょうか。ちょっともう一回確認いたします。
宮良新市場建設調整
担当部長
東京ガス株式会社は、ガスの製造を昭和三十一年に始めまして五十一年まで続けております。ただ、工場自体は六十三年に廃止しております。
上野委員  済みません。聞き違いだったと思います。
 先ほど申しましたように、何で今になってこういった問題が出てきたのか、その原因がどこにあったのかというのは、やっぱり今後のことも考えますと非常に大事なことである、このように思っているわけでございます。
 先ほども、今後の内容については、米沢委員から、東京ガスさんとしても、道義的、社会的責任から、この問題についてはしっかりと相談に乗っていくようなこともあるやに聞いておりますけれども、こういった状況の中で、私は、移転スケジュールに何とか間に合わせようと焦っているように思えてならないわけでございます。何度も申しますけれども、この土壌汚染問題につきましても、本当に都民の方が理解できる、これはもっともだなと。こういった慎重な検討、協議というものもぜひ進めていただきたいのでございます。
 話はまた変わりますけれども、次に、市場業者の経営面の負担についてお聞きしたいと思います。
 市場会計は独立採算をとっておりますけれども、これまで、財政運営上、市場では、大田市場を整備したときにそうであったように、市場用地を売却し、新たな市場を整備する経費として充てていたわけでございます。
 財政面からは、豊洲移転については、築地市場の売却を前提としておりますけれども、土壌汚染対策にかかわる経費が相当膨れ上がることが予想されます。その一方、現在地再整備の場合は、市場が現在有する留保資金しかありません。大ざっぱにいえば、そのような対比の構造となるわけでございますが、市場業者にとっては、市場整備に多額の経費が必要となりまして、不足額が発生することになれば、その分、使用料は市場業者に転嫁されてしまう。その分経営に与える影響というのは非常に大きなものになっているわけでございまして、業者の方々はそれに対する不安を抱いているわけでございます。
 そこで、市場業者の経営面の観点から、現在地整備の場合と豊洲移転の場合とを比較した負担はどのようになっているのか、お伺いいたします。
大野管理部長 築地市場の現在地再整備を実施した場合、二十年以上の長期にわたるローリング工事の中で市場業者が営業を継続しなければならないため、営業車両と工事車両の錯綜による搬出入機能の低下や、これからの市場に不可欠な品質管理の高度化に対応した新たな施設を整備できないなど、市場業者の経営に深刻な影響を与えるおそれがございます。
 また、市場使用料は、受益者負担の観点から、市場施設を専属的に使用し営業活動を行っている市場業者に負担を求めることとしており、東京都中央卸売市場のルールでは、使用料の対象となる経費は、用地費や基盤整備費等を除いた施設の建設費及び維持管理費としております。
 このうち、使用料に大きく反映されます施設の建設費で比較いたしますと、現在地再整備は三千億円、移転整備は九百九十億円と大きな差が生じます。
 したがいまして、現在地再整備を行った場合の市場業者の負担は、豊洲移転と比べると極めて重いものになると見込まれております。
上野委員 以上、これまで、土壌汚染問題を中心に聞いてまいりましたけれども、代表質問でも述べましたように、我が党は、築地問題特別調査チームというのを立ち上げまして、再検討に着手しているわけでございます。
 現時点での現在地再整備及び豊洲移転の必要性につきまして、その是非が議論されている今、私は、都におきましても再度、土壌汚染対策費等の財政面の問題とか市場業者の負担の問題、そして何よりも都民の不信と不安の払拭など、原点に立ち返って慎重に検証、検討を重ねて、都議会に説明することを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

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