■東京都議会経済・港湾委員会質疑(産業労働局)
  平成20年3月17日(月曜日)

上野委員 私からは、新銀行東京についてお伺いいたします。
 この新銀行東京につきましては、本定例会への新たな出資の提案を受け、本会議、また予算特別委員会におきましてさまざまな角度からの議論が行われてきましたが、私もこの土曜、日曜と地元を回って、いろいろと住民の方のお話を聞いてまいりました。都民の声というのは、銀行みずから事業清算すべきだという声が多いようでございます。
 都民にとっての情報のよりどころは、やはりマスコミの報道でございます。今のマスコミの論調を見てまいりますと、どちらかというと責任論が先行されているように見受けられるところでございます。なぜ事業清算がだめなのか、こういったことについて、都民の皆様は、その議論の内容を必ずしも理解されていないようでございます。
 そこで、基本的なところを中心に改めて何点か質問したいと思っております。
 まず、新銀行東京の今後について、都は、現在考えられる選択肢は三つだと繰り返し説明をされまして、その中で追加出資がベストであると先ほども説明がありましたけれども、なぜ追加出資がベストの選択なのかというのを、改めてその理由というのを、例えば金額などの数字で比較するなど、これは非常に都民の方も理解しやすい。そういった都民が理解できる、わかりやすい説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
目黒金融部長 追加出資は、新銀行東京の経営を再建し、既存の融資先を初めとする中小企業への継続支援を行うもので、新銀行東京が銀行業務を継続するために必要な資本として四百億円を都が出資するものでございます。この四百億円は、将来にわたって中小企業を支援していく上で必要な資金を供給するために使われるものであり、一時的な経費として消えてしまうものではございません。
 事業清算は、銀行がみずからの意思で廃業するもので、そのためには、預金者と健全な融資先の保護が前提となります。
 まず、預金については、新銀行東京の現在の預金残高約四千億円でございまして、これをいっときに払い出し請求がなされた場合、直ちに現金化できる有価証券などの資産だけでは約一千億円不足が生じるため、これを都が貸し付ける必要が出てまいります。
 さらに、融資継続ができなくなることで、既存融資先の経営が悪化し、融資返済が滞り、多額の損失が生じることが予想されます。過去に新銀行東京と同規模の融資額を有する金融機関の破綻例から推計いたしますと、その額は一千億円にも及ぶものと考えられます。
 預金保険法に基づく破綻処理が行われる場合には、いわゆるペイオフということになるわけでございますが、これは一千万円を超える預金元本とその利息は保護されないことになってしまいます。銀行の財務状況にもよりますが、その影響は、個人、法人合わせて九千六百十件、金額にして四百七十七億円にも上るものと考えられます。
上野委員 東京都は、都民に新たな負担を求める以上は、その負担は最小限に抑えるべきであります。代表質問でも我が党が主張しましたように、間違っても一時しのぎや先延ばし、あるいは責任転嫁などに終始していては断じてならないということを、改めて本委員会でも確認しておきたいと思います。
 質問に移りますが、追加出資以外のほかの方法を選択した場合の中小企業への影響として具体的にどのようなことが予想されるのか、お伺いいたします。
目黒金融部長 融資継続が困難となりますことは、事業清算も破綻処理も同様でございますけれども、破綻処理の場合には、一部の優良事業者以外の債権は整理回収機構、いわゆるRCC送りになる可能性が大きくなります。他の金融機関からの借り入れ等が困難になる結果、事業継続が困難になり、事業者が破綻した場合には、その影響は従業員とその家族にも及びます。具体的には、新銀行東京の現在の取引先の一社当たりの就業者数は十四・七人でございますが、これに、ほかからの借り入れが難しいと考えられる赤字、債務超過先五千六百三十五社を乗じますと、推定で約八万三千人の就業にも影響が及ぶということが懸念されるところでございます。
上野委員 ただいま、優良な融資先以外は整理回収機構送りとなる、事業継続が難しくなるとの説明がありましたけれども、本当にそうなのか、実態がわかれば教えていただきたいと思います。
目黒金融部長 整理回収機構、いわゆるRCCの主な機能は、破綻した金融機関等の不良債権を買い取り、ビジネスライクな厳しい債権回収が行われるとともに、経営者の責任を追及するということにあるわけでございます。
 債権が同機構に譲渡され、借り手である企業にとってRCC送りとなることは、その企業の経営が芳しくないことが対外的に明らかにされることでございます。その時点で社会的信用は失われることになってしまいます。
 また、整理回収機構は融資を行うわけではございませんので、RCC送りとなった企業に対し他の金融機関が新たな融資を行うことはあり得ません。企業にとって融資が受けられないことは、事業活動の休止に追い込まれるに等しいものでございます。
 これらのことを踏まえますと、RCC送りになった中小企業の事業継続は相当に厳しいものと考えられます。
上野委員 次に、先般、銀行が公表いたしました調査報告書について何点か伺います。
 まず初めに、確認になりますが、この報告書はどのような位置づけ、目的でまとめられたのか、またポイントはどこにあるのか、お伺いいたします。
目黒金融部長 調査委員会の報告書は、旧経営陣が経営に当たった開業後おおむね二年間の経営状況に関し、経営悪化の主因とされる不良債権を増加させた融資業務の管理を中心に調査を行い、経営悪化を招いた原因の究明を目的に取りまとめられたものでございます。
上野委員 この報告書によりますと、旧経営陣による常軌を逸した経営実態が明らかになったわけでございます。こうした事態に陥ったことについて、とりわけ仁司元代表執行役の責任は大きいものがあると思います。
 そこで、乱脈経営により新銀行がこうむった損害をわかりやすく説明していただきたいと思います。
目黒金融部長 旧代表執行役等は、大量のデフォルトが発生する中で、本来であれば融資に慎重な姿勢をとるべきところ、通帳や決算書の確認など、対症療法的なデフォルト発生防止対策に終始し、融資拡大路線を継続したことで不良債権が拡大したものでございます。
 本年一月末までのデフォルト額は累計で二百八十五億円までに拡大し、経営状況は大幅に悪化いたしました。
上野委員 ここに、旧経営陣が平成十七年八月策定いたしました中期経営目標がございます。この九ページを見てみますと、与信管理のところで、一定額以上の融資については、債務者の業況、財務内容などを総合的に判断した信用格付、自己査定を実施と、このように記載されているわけでございます。こうした自己査定などをきちんと行っていれば、こういったデフォルトをもっと抑制することができたのではないかと、このように思うわけでございます。
 実態はどうだったのか、また、ここでいう一定額とは幾らなのか、お伺いいたします。
目黒金融部長 旧経営陣の事業運営の中で、中期経営目標に基づき期中管理を行っていたのは五千万円超の貸出債権であり、実態としてはポートフォリオなどは対象としていなかったものでございます。
 また、そのやり方も、実際に融資を実行した営業店と切り離し、融資・コールセンターが行っておりまして、結果として効果が上がらなかったものでございます。
 このため、新経営陣のもとでは、融資を行った担当者が返済までの期中管理を一元的に行う方法に変更いたしたところでございます。
上野委員 また、新銀行マスタープランがありますけれども、ここの一七ページ、融資対象顧客というところにこのように書いてあります。ポートフォリオ型融資については云々ということで、経営者などに関する定性評価に問題がない企業であれば融資対象となり得る、このように書いてあるわけでございますけれども、この旧経営陣が策定しました中期経営目標、こちらの方には融資に当たっての定性評価に関する記載というのがないわけであります。
 旧経営陣はどのように考えていたのか、そのあたりについてお伺いいたします。
目黒金融部長 旧経営陣は、融資残高の拡大を優先させ、行員に対し、スコアリングモデルを重視した審査を強く奨励いたしておりました。結果として、ポートフォリオにつきましては、都が新銀行マスタープランで想定していた実地面談や実態調査など、定性面の調査には重点が置かれていなかったと考えられます。
上野委員 非常に問題があるわけでございますけれども、ところで、先日、新聞報道で、不動産会社コシ・トラストの紹介で融資した三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行におきまして、中小企業から多額の回収不能が発生したとの記事が掲載されておりましたけれども、新銀行東京への影響はないのか、念のためにお伺いいたします。
目黒金融部長 本件につきましては、新銀行東京からは該当はないという旨の報告を受けてございます。
上野委員 そのご報告、安心させていただきました。
 次に、調査報告書に戻りますけれども、今回の調査で、新銀行東京は経営悪化の原因は十分に分析できたと考えているのか、本調査以上の新たな事実が今後発覚する心配はないのか、もし発覚した場合、都はどう対応するのか、都の見解を伺います。
目黒金融部長 今後さらに、デフォルトに基づく損害額をどう評価するのか、また、これを経営責任との因果関係とどのように結びつけるのかなど、専門家の意見を踏まえ、十分に検討していくこととしております。
 専門家による調査、検討が進められる過程で、新たな事実が発覚することも考えられますが、適切に対応していく考えでございます。
上野委員 今後、新銀行東京は、本結果をもとに法的手段の検討に入る、このようにされておりますけれども、内容の性格上、慎重な対応をお願いしたいと思います。
 また、今回の調査結果について、そのすべてを明らかにすべきとの声もありますけれども、今は銀行側の対応を見守るべきだと私は思っております。
 そこで、法的対応にはどのくらいの期間を要するのか、お伺いいたします。
目黒金融部長 法的対応に関しましては、新銀行東京からは、年内には結論を得る方向で検討を進めているというふうに聞いております。
上野委員 ぜひとも早く出るようにお願いしたいと思いますけれども、また、この調査報告書によれば、旧経営陣の経営責任については言及してきておりますが、その上で、本来、都としても大株主という立場でもございますので、経営に深く関与し、目きき役としての監視を強化すべきだったと考えるわけでございます。
 我が党は昨年の予算特別委員会でもこのことを強く訴えてきたところでありますけれども、都のこういった対応のあり方における責任において、局長の見解をお伺いします。
佐藤産業労働局長 東京都としましては、この間、新銀行東京に対しましては、銀行法の制約のもと、経営の大枠監視ということに重点を置きまして、中小企業支援の充実など、政策目的の実現に着目いたしまして、その取り組み状況を見守ってまいりました。
 しかし、こういう状態に至りまして、今後はさらに金融庁とも十分連携を図りながら、経営実態に即した経営監視を強化していく考えでおります。
 四百億円の追加出資、これは都としても苦渋の選択であります。都民に新たな負担を求める、このことの重みをしっかりと受けとめて、今後、新銀行東京の適切な経営監視に努めてまいります。
上野委員 我が党としても、さらにこれからも調査特別チームを中心といたしまして、締めくくり総括に向けて徹底した調査をしていく所存でございますので、そのことを述べまして、私の質問を終わります。

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