■東京都経済・港湾委員会質疑(産業労働局)
  平成19年11月22日(木曜日)

上野委員 私からは、両立支援、障害者雇用、低所得者対策の三項目について質問してまいりたいと思います。
 まず初めに、仕事と家庭の両立支援についてお尋ねいたします。
 我が国はご承知のとおり、いよいよ人口減少と超少子高齢化社会に直面しております。国立社会保障・人口問題研究所の島崎謙治副所長は、人口減少は労働力減少をもたらし、高齢化は貯蓄率の減少により投資の縮小につながるなど、経済成長にマイナスの影響を及ぼすと予想しております。つまり、このままでは将来、人口の大幅な減少に伴い、経済を支える働き手が失われるばかりか、消費市場も縮小し、経済の衰退を招くことになるということであります。
 そこで、何としてもこの少子化というものを食いとめなければなりません。そのためには、社会全体で子育てを支える仕組みをつくることが大事であります。親や子を地域で支える仕組みをつくることや、保育園への待機児童をなくすことも大事でありますが、少子化の最大の障害は仕事と家庭の両立であるといわれているように、企業が、働く人々のために、仕事と家庭生活を両立できる雇用環境を整備することが最も重要である、このように思っております。
 二〇〇三年に施行されました次世代育成支援対策推進法で、従業員三百一人以上の企業に対しまして、次世代育成支援のための行動計画を策定することが義務づけられました。こうした取り組みもありまして、近年は大企業中心に両立支援に取り組むところが少しずつふえてきております。
 しかし、企業の大半を占めているのが中小企業でございます。次世代育成に向けた行動計画の策定が努力義務ということもありまして、育児休業の取得もまだまだ十分でない状況に、この中小企業はございます。したがって、今後はこの中小企業に重点を置いた施策を推進する必要があります。
 そこで、都がこの九月、中小企業の両立支援の取り組みを促進するために創設いたしました助成制度の内容と実績についてお尋ねいたします。
松本雇用就業部長 東京都では、両立支援に向けた行動計画を策定した企業を、とうきょう次世代育成サポート企業として登録し、その計画内容をホームページで公表する制度を昨年度から開始しております。
 今回の助成制度は、このサポート企業のうち中小企業を対象として創設したものでございまして、今年度は試行として五十社に対し、責任者設置と意識啓発の取り組みに助成を行います。来年度からは、それに加えまして、社内のルールづくり、育児休業取得者の代替要員の経費までを一貫して支援する予定でございます。一社当たりの助成額は最大五百五十万円であり、平成二十四年度までに二千社を目標に支援を行うこととしております。
 次に、実績についてでございますが、本年九月十日から募集を開始し、現在、約二カ月が経過したところでございますが、助成金を申請した企業は既に二十九社に達しております。
上野委員 助成制度は順調に滑り出したようでございますが、来年度から規模を大幅に拡大していくということであり、多くの中小企業に両立支援に取り組んでもらうためには、これからがこの事業の正念場ということになります。
 そこで、都は今後、取り組みがおくれぎみな中小企業の両立支援を推進するため、登録制度や助成制度をもっと普及していくべきと、このように考えますが、所見をお尋ねいたします。
松本雇用就業部長 ご指摘のとおり、登録制度や助成制度の普及は重要な課題と考えております。現在、都内の従業員百人以上三百人以下の中小企業約六千社を対象に、戸別訪問をして、登録制度や助成制度について周知するとともに、行動計画の策定の有無や両立支援策に取り組む意向などを調査しております。
 また、都内六カ所の労働相談情報センターにおきまして、企業向けの説明会や相談会を実施しているほか、個々の企業からの相談に対して、今年度新たに設置した両立支援アドバイザーが、行動計画の策定や具体的な取り組みに向けた助言を行っております。
上野委員 この約六千社の中小企業への支援が何よりも大事でございます。人材の確保、定着には雇用環境の改善が不可欠であります。経営基盤の弱い中小企業に対しては、行政がさまざまな面から支援することによって、働く人々の仕事と家庭生活の両立を可能としていくことになるわけでございますので、今後とも中小企業に向けた登録制度や助成制度の広報をしっかりと行っていただきますよう要望いたします。
 また、厚労省では両立支援の推進に当たりまして、積極的に子育て支援を行っている企業を毎年、ファミリー・フレンドリー企業として表彰しているそうでございます。東京都もぜひこの両立支援に貢献している中小企業を表彰するなど、中小企業の励みになるよう、宣揚、評価していくことも考えていただければと重ねて要望いたします。
 次に、障害者の就業支援についてお尋ねいたします。
 障害をお持ちの方の経済的な自立を図るためには、障害者の働きたいという意欲にこたえ、その能力を十分に発揮できるよう、就業の機会を確保することが重要であります。
 本年六月一日現在の東京の障害者雇用率は一・四六%となっております。いまだ法定雇用率一・八%を大きく下回っている状況でございます。前年度に比べますと、〇・〇二ポイント着実に改善しているようでございますが、特に大企業における障害者雇用は年々増加しており、千人以上の企業に限れば、一・七一%と高い雇用率を達成しております。
 その一方で、従来より地域から障害者を受け入れ、その職業的自立に大きな役割を果たしてきました中小企業では苦戦を強いられているようでございます。
 そこでまず、東京都内の中小企業における障害者の雇用状況についてお尋ねいたします。
松本雇用就業部長 一昨日、東京労働局が公表した本年六月一日現在の障害者雇用状況によりますと、都内に本社を有する民間企業のうち、雇用率達成が義務づけられている従業員数五十六人以上二百九十九人以下の企業における障害者雇用率は〇・八二%となっておりまして、都内における企業全体の平均一・四六%を大幅に下回っております。
 また、この従業員二百九十九人以下の民間企業の障害者雇用率は、大企業の障害者雇用率が一貫して上昇しているのに対しまして、平成七年ごろから低下傾向をたどっております。
上野委員 このような状況を踏まえまして、国においては現在、障害者雇用促進法の見直しを検討しているようであります。
 雇用している障害者の割合が法律に定められた一・八%に満たない企業は、雇用が足りていない障害者数に応じて、一人当たり月五万円の納付金を国に納めなければなりません。従業員三百人以下の中小企業は現在、納付金の支払いを免除されておりますが、これを撤廃し、中小企業にも納付金を納めさせる方向で検討が進められていると聞いております。
 しかしながら、中小企業に障害者を雇用させるためには、きめ細かな支援を通じまして、事業主が自発的に障害者雇用に取り組むよう、意欲を喚起するという視点が重要だと思います。
 中小企業の事業主を対象としたアンケート調査によりますと、障害者雇用への取り組みが進まない要因として、障害者に適した職務がない、障害者雇用のノウハウが少ないといった項目が挙げられております。このような回答の背景には、障害者を働かせることに関してどのような配慮が必要なのか、どのような支援制度があるのかなど、情報が十分に行き渡っておらず、ちゅうちょしてしまう事業主が少なからずいらっしゃるのではないかと思います。
 そこで、都においても、企業に対する意識啓発や情報提供などを十分に行う必要があると考えますが、所見をお尋ねいたします。
松本雇用就業部長 障害者の就業機会を拡大するためには、受け皿となる企業への意識啓発、情報提供等が必要であると私どもも考えております。
 このため、東京都では、障害者雇用促進ハンドブックの作成、配布や、関係機関と連携した企業向けのシンポジウムの開催等を通じて、企業における障害者雇用の理解促進に努めてまいりました。
 また、昨年度からは障害者職域開拓支援事業を開始し、他の企業のモデルとなるような障害者雇用への取り組み事例を募集、認定し、その認定事業の運営を支援するとともに、事例報告会等を通じて、こうした好事例の普及を図ってきております。
 さらに、これに加えて、本年度から心身障害者職能開発センターにおいて総合コーディネート事業を開始し、国や地域の就労支援機関との連携により、障害者雇用率未達成企業を対象とした啓発セミナー等を総合的に実施し、障害者の就労を促進しております。
 今後とも企業への働きかけを強め、就業促進に努めてまいります。
上野委員 このような意識啓発や情報提供に加えまして、企業における障害者雇用の取り組みのハードルを下げるためには、企業と障害者との間に立って、障害者本人への支援や、事業主や他の従業員に対する必要な助言を行い障害者の職場定着を支援する、いわゆるジョブコーチによる支援が効果的でございます。
 国においては、関係機関を通じて養成研修を実施するとともに、研修を修了し認定を受けたジョブコーチの活動費に対する助成金を設けていますが、障害者の就業意欲が高まる中、ジョブコーチの数が足りなくて、支援を受けたくても受けられないケースもあると聞いております。
 そこで、必要なときに必要な就業支援を行えるよう、都独自でジョブコーチの養成に取り組むべきであると、このように考えますが、見解をお尋ねいたします。
松本雇用就業部長 現在、国の認定を受け、都内において障害者の職場定着支援を実施しているジョブコーチは、東京障害者職業センターや社会福祉法人等で計三十四名にとどまっております。
 このジョブコーチによって、昨年度一年間で二百十一名の障害者の職場定着支援を行っておりますが、他方で、都内のハローワークを通じて就職した障害者は四千四百二名であることから、これらの障害者全員に支援が必要であるとはいえないものの、必ずしも十分に支援が行き渡っていないと私どもも考えております。
 このため、都としても、障害者の就業支援を充実させるため、ジョブコーチの拡充について検討してまいります。
上野委員 ぜひともジョブコーチの養成に取り組んでいただきたいと思います。
 都は、昨年十二月に公表しました「十年後の東京」におきまして、今後十年間で東京の障害者雇用を三万人以上増加を目指す、この目標を掲げております。この目標を達成するためには、現在実施している障害者を対象とした職業訓練事業等の一層の充実に加えまして、心身障害者職能開発センターの総合コーディネート事業のように、障害者就労支援機関との連携のもとに就労を促進する取り組みを進めていくなど、障害者雇用促進施策を拡充していくことが必要と考えますが、所見をお尋ねいたします。
松本雇用就業部長 十年間で三万人以上の障害者雇用増を達成するためには、企業に対する啓発や障害者の職場定着支援に加え、障害者就労支援機関等との連携を深めるなど、障害者就業支援施策を充実していくことが重要と考えております。
 このため、心身障害者職能開発センターにおける総合コーディネート事業の拡充や、本年十月に設置した経済団体や企業、障害者就労支援機関等をメンバーとする東京都障害者就労支援協議会の活用などにより、今後とも障害者雇用の促進に努めてまいります。
上野委員 それでは、最後に、低所得者対策についてお尋ねいたします。
 今回のいわゆる低所得者対策ですが、第三回定例会におきまして知事は、額に汗して懸命に働いているにもかかわらず、低所得の状況から抜け出せないまま、不安定な生活を余儀なくされている方々への支援策は極めて重要であり、多様な施策を積極的に講じると、このように発言されておりますが、この不安定な生活を余儀なくされている方々という表現を、もっと都民がわかりやすいように、より具体的に、どのような方々が対象として想定されるのか、まずお尋ねいたします。
松本雇用就業部長 今回の施策の対象者といたしましては、意欲がありながらも、いわゆる就職氷河期に学校を卒業し、安定した職につくことができずにいる方、倒産やリストラなどで職を失い、アルバイトなどで生計を立てている中高年の方、あるいは子育てに追われながら生活を維持しなければならない母子家庭の母などを想定しており、経歴、年齢も多様な方々が対象になると考えております。
上野委員 このような方々のうち、訓練受講を希望する方々に対しまして、産業労働局において訓練と就業支援を行うことになるわけですが、その際は、従来からしごとセンターで実施しているように、訓練前のみならず訓練後も、個々の対象者の状況を踏まえましたきめ細やかな支援をする必要があると考えますけれども、所見をお尋ねいたします。
松本雇用就業部長 しごとセンターでは従来よりきめ細かなキャリアカウンセリング等を実施し、就労支援において成果を上げております。
 今回の低所得者対策においても、こうしたノウハウを生かし、訓練受講希望者に対して、各人の希望や適性を踏まえたきめ細かいキャリアカウンセリング等を実施することが効果的であると考えております。このため、受講科目の選択に向けての支援はもとより、訓練開始後も必要に応じて継続的なカウンセリングを行うなど、安定した雇用に結びつく方策を検討しております。
上野委員 知事発言にもありますように、こうした方々がみずからの人生を切り開き、将来の展望を見出すことができるようにすることが、今回の低所得者対策の趣旨であると思います。換言すれば、こうした方々をより安定した雇用に結びつけることこそ重要でございます。
 したがいまして、本事業の実施に当たっては、就業に必要な実践的技能を付与する職業訓練が重要なポイントとなります。求人動向に即しました訓練科目を設定するなど、効果的な職業訓練を展開することが肝要であり、この点を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

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