■東京都議会総務委員会質疑(総務局)
  平成19年3月1日(木曜日)

上野委員 私からは、地域防災計画震災編の事業継続計画について、何点か質問させていただきます。
 本会議の一般質問のときにも、この事業継続計画、BCPにつきましては、その意味するところと重要性につきましてはお話をし、質問してきたところでございますが、改めて本委員会におきまして、確認の意味も含めてお伺いしたいと思っております。
 ご存じのとおり、私たちを取り巻くリスク環境というのは、地震、水害などの自然災害、また、火災、事故、テロなどの人的災害、さらには、急激な拡大が懸念されております鳥インフルエンザなどの猛毒感染症など、地球的規模でさまざまな災害が私たちに襲いかかってきております。このような環境のもとにおきまして、事業の継続性の確保は、今や、グローバルな視点での課題であるとの国際的な共通認識がございまして、二〇〇八年のISO化に向けた準備が着々と進められていると聞いているところでございます。
 こうした中、国内におきましては、ご承知のとおり、二〇〇五年八月に内閣府が事業継続ガイドラインを発表いたしましたし、二〇〇六年二月には、中小企業庁が企業向けBCP策定ガイドラインを公開しているところでございます。また、政府は、IT新改革計画におきまして、政府や企業において事業継続計画の策定を促進することを施策として盛り込んでおります。さらに、一般質問でも述べましたが、中央防災会議では、今後十年間で、大企業のほぼすべて及び中堅企業の五〇%以上にBCPを策定させることにより、首都直下地震による減災目標を、経済被害額で最大約百十二兆円を四割削減しました約七十兆円にする施策を打ち出しているところであります。このように事業継続への取り組みは、今や、行政、企業ともに欠かすことのできない重要な課題であると、このように認識しております。
 自治体におけるこうした取り組みを始めたところは、私の知るところでは、静岡県が昨年、事業者のためのBCPモデルプランを既に策定、公開しているようでありますが、行政のBCPは恐らくないのではないかなと思います。こうした中、東京都がいち早く、十九年度重点事業として都政のBCP策定に取り組むことを明らかにしたということは、大いに私は評価しているところでございます。
 そこで、都政のBCPにつきまして、改めてお伺いしたいと思います。
 東京は、地震やテロを初め、さまざまな災害や事件に見舞われる可能性があります。このため、都政のBCPは、あらゆる事態に対応できるようにすべきであると考えますが、現段階でのお考えについてお伺いいたします。
石野総合防災部長 BCPの策定でございますが、この策定に当たりましては、被害が広範囲にわたりまして、また未然の防止が難しく、また切迫性が高まっているといわれております首都直下地震、これを想定して行いたいと考えております。
 また、都庁舎がテロの攻撃に遭い、使用不能になるなど大被害を受けた場合も想定しまして、都庁機能をいかに維持するかということにつきましても検討していきたいと考えております。
上野委員 災害が発生した場合、その応急対策業務につきましては地域防災計画に盛り込まれておりますが、BCPも災害時の対応を定めるものであります。一般都民の方は、この防災計画とBCPとの違いがいま一つよく理解できないところがあると思います。
 そこで、地域防災計画と都政のBCPとの関係について、都民の方にもわかるようにご答弁をいただきたいと思います。
石野総合防災部長 地域防災計画と都政のBCPの関係でございますが、まず地域防災計画でございますけれども、これは都のみならず、区市町村、防災機関などが行います、発災後の救急救護などの応急対策業務、それと道路、ライフライン、こうした復旧対策業務などを定めたものでございます。
 これに対しまして都政のBCPでございますが、これは都の業務にかかわるもので、医療であるとか介護であるとか、そうした都民生活に欠くことのできない重要なサービスを、災害時にも中断することなく一定水準確保する、それと同時に、業務全般の早期回復を図るために策定するものでございます。
 具体的には、都が抱えるすべての事業洗い出しをしまして、重要業務をまず選定します。そうした上で、災害時にも継続して提供すべきレベルを設定いたします。それで、そのためには、その業務遂行に必要な情報であるとか人員、資機材、それの確保であるとか、停電時への対応、こうしたことについて定めていくものでございます。これによりまして、都の災害時の対応力が高まるものと考えております。
上野委員 ご答弁にありましたように、地域防災計画は、都及び関係機関が行う応急対策業務や復旧対策業務などを定めたものであると。しかし、その定めたものが実際にそのとおりに実施されなければ意味がないわけでございまして、BCPは、そうした業務が発災後に継続して実施できるようにするための重要要素の確認と課題の対応について、事前に整理を行い、災害に備えて、有事の際には業務全般の早期回復を図ることができるようにする、そのために策定するものであるというふうに思っております。
 そこで、BCP策定の取り組みでありますが、BCPは、大まかにいいますと、事業継続にどのように取り組むかをあらわす基本計画と、その具体的対応を記した実施要領の二つに大別されるといわれております。したがいまして、まず、BCPの目標をどこに置くのか、目標達成のための体制をどう構築し、維持するのかといった基本方針を明らかにして、そして、それを実現するための手だてを講じていくといった取り組みが考えられるところでございます。
 具体的に申しますと、まず、いかなる災害や事件が起ころうと死守しなければならない重要業務を洗い出す作業が求められてきます。これは先ほどの答弁にもございましたが、最優先業務を選ばなければならないわけですが、災害時に事業を目標復旧時間内に復旧させるという観点での重要業務とは何かを各部署に理解してもらうことから始まると思います。
 そこで、重点事業に掲げる都政のBCP策定の今後の取り組み体制とスケジュールについてお伺いいたします。
石野総合防災部長 都政のBCPの策定でございますが、これは、まず、全庁的な検討組織を来年度に早急に立ち上げたいと考えております。今お話のございましたとおり、その検討組織の中で関係各局に集まっていただきまして、その中で、継続すべき事業、重要事業は何なのか、まさにこの共通認識といいますか、選定が必要でございます。また、選んだ重要業務を災害時にどの程度まで継続、維持する必要があるのか。また、事業全般として、いつごろまで業務を回復する必要があるか、いわゆる目標時間ですが、それを設定する必要がございます。また、そのためのバックアップ体制をどうするのか。こうした点につきまして、具体的にこの検討組織の中で検討を進めてまいりたいと思います。その検討に基づきまして、平成二十年度に都政のBCPを策定する予定でございます。
上野委員 アメリカでは、事業継続の取り組みが促進されたきっかけというのは、知事の答弁にもありましたように、九・一一同時多発テロの発生時に、BCPを実践した企業が事業の中断を最小限に食いとめて評価された、このことにあるといわれております。アメリカでのBCPの策定率は、今や、大企業ではほぼすべて、中小企業で約五割と聞いております。しかし、その内容は、システムのバックアップを確保しているというだけでBCPを策定しているとする企業が多い。アメリカでは現在、BCPの、そういった意味では質の問題が指摘されているそうでございます。カトリーナの場合でも、バックアップオフィスが同時に被災しまして、事業継続に至らなかったという例があったというふうに聞いております。
 都政のBCP作成に当たりましては、こうした諸外国のさまざまな事例を参考にして、質の高いものができることを期待するところでございます。
 また、その上で大事なことは、先ほどの伊藤委員からもありましたけれども、どんなにすぐれたBCPであっても、それを実践する人がいなければ事業継続は成り立たないわけであります。さきの予算特別委員会でも、我が公明党の小磯議員が話しておりましたように、職員とそのご家族の安全確保を図るためにも、職員の皆さんの自宅の耐震化や家具の転倒防止の備えというものを実施することが事業継続の取り組みの大前提、このようになりますので、災害時の要員確保の観点からも、重ねてこの委員会でご要望をいたします。
 さて、都政のBCP策定まで、先ほど、二年の計画ということでございますが、首都直下地震の切迫性が指摘されております。策定は一朝一夕にできるものではありませんが、災害から都民の生命と財産を守るため、都政のBCPの早期策定に向けた決意をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
中村危機管理監 東京は、今お話がありましたように、首都直下地震が切迫しておるというように、自然災害のほかに、テロなど、あらゆる危機に直面しているというふうに認識しております。万が一大規模災害が発生した場合には、首都機能が集中、集積している東京の被害は甚大です。
 こうした被害を最小限に抑えるために、このたび、地域防災計画の抜本的見直しを行ったところでありますが、都政のBCPは、災害時にも都民生活に不可欠な事業を継続させるとともに、事業全般の早期復旧を図るための計画であり、地域防災計画とあわせて、災害から都民の生命、財産を守るために重要な計画であると認識しております。
 都政のBCPを策定することは、都の事業の復旧のめどを明らかにすることになりまして、それにより、中小企業を初めとした企業の活動につきましても、速やかに再開できる効果がございます。また、企業のBCPの策定を促すことにもつながります。
 このため、都政のBCPの策定は、今お話がございましたように、早期策定が求められておりまして、今後、早期策定に向け、全力を挙げて取り組んでいくこととしております。今月末になりますが、危機管理対策会議を開催いたしまして、全局に趣旨やスケジュール等を示して、策定作業に入りたいというふうに思っております。

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