■東京都議会総務委員会質疑(知事本局)
  平成19年2月27日(火曜日)

上野委員 私からは、「十年後の東京」につきまして何点か質問させていただきます。
 「十年後の東京」では、二〇一六年の夢のある東京の姿を思い切って打ち出したものと評価するところでございます。冊子を見ましても、大変見やすく、かつわかりやすく工夫されておりますし、また、PR版につきましても、知事もいわれておりましたが、広く都民に手にとってもらえるよう百円で販売を行うなど、都民に対しましても自信を持って将来の東京の姿を示していることがうかがえます。
 この冊子を読んだ私の地元の中小企業の社長の方もいっておりましたけれども、暗い話の多い中で、本当に夢と希望を与えてくれたと、石原知事はいったことは必ずやる男だと私も思っていると。ディーゼル規制、あれも実は、これは無理だろうと思っていた。しかし、実際に実行して、今の東京というのは、本当にはるかに、空を見てもきれいになった。こういった話をされまして、十年後のこの冊子を読んでる中で、自分は仕事で車を運転されるというんですね。そういった中で、道路も、毎日がお盆や正月並みに運転できるように十年後にはなると書いてある。これはぜひとも実現してもらいたい、期待していますと、こういうお話があったわけでございます。
 本会議や予算特別委員会におきましても、この「十年後の東京」について、さまざまな立場から活発に議論がなされておりますが、石原知事の指示のもと、庁内での検討、議論を踏まえて出されましたこの「十年後の東京」が、それだけインパクトを与えている証拠であると思います。
 今回策定した「十年後の東京」は、通常の計画や構想のように、その性格をあらわす名称ではついておりません。
 そこでまず、今回発表した「十年後の東京」の基本的な性格についてお伺いいたします。
小林参事 今回策定いたしました「十年後の東京」は、東京が近未来に向けまして、都市インフラはもとより、環境、安全、文化、観光、産業などさまざまな分野でより高いレベルの成長を遂げていく姿と、それに向けました政策展開の方向性を都市戦略として示したものでございます。
 したがいまして、今後の都の行財政運営の指針としての性格は持っているところでございますが、年次別の実施計画や事業費などを定めた、いわゆる事業計画ではございません。
 この都市戦略の意味するところでありますが、「十年後の東京」を実効性のあるものとしていくためには、東京がさらに高いレベルの成熟した都市としていくために何が必要かという観点から、あらゆる政策を網羅的に並べるのではなく、優先順位の高い課題に対しまして、集中的に政策を展開していくことが必要でございます。このため、「十年後の東京」は、都市戦略として八つの目標を示しまして、戦略的、重点的に、今後の政策展開を図っていくこととしたものでございます。
上野委員 この「十年後の東京」に対しまして、これはオリンピックのためだけにつくられたものという批判を述べる方もおられるようでございますが、私からいわせれば、今の東京が時代の流れの中でどの地点にいるのか、このあたりをよく理解されてない方の批判であるように思います。
 今の東京は、ご存じのように、昭和三十年代以降から高度経済成長時代に築かれたいわゆる社会資本ストック、これがもう五十年、半世紀を過ぎまして、東京は都市の再生、再構築の時期を迎えているわけでございます。
 それとともに、これからさらなる成熟した都市、新しい都市モデルを構築していかなければならないという極めて大事な転換期にある、このように思っております。その意味で、今後十年はまさに、都市に集積しているさまざまなポテンシャルを生かしながら、世界に誇れるすばらしい都市へと東京をつくりかえていく大きなチャンスということでございます。
 こうした中で「十年後の東京」は、都市インフラだけではなく、環境、福祉、産業、文化などさまざまな分野で、オリンピックのあるなしにかかわらず、東京の再生に必要な政策展開の方向性について、具体的な形で示しているものと理解しているところでございます。
 そこで、改めてこのオリンピックとの関係も含めまして、「十年後の東京」を策定した当局の考えをお伺いいたします。
小林参事 オリンピックのような都市を挙げての大きなイベントは、前回の一九六四年の東京オリンピックがまさに東京の姿を一変させたように、その開催をてこに、東京がさらに機能的、魅力的な都市に生まれ変わるための絶好な機会となるのでございます。したがって、この「十年後の東京」につきましては、二〇一六年のオリンピック開催都市への立候補を一つの契機といたしまして、東京の目指すべき姿とそれに向けた政策展開の方向性を描いたものとなっております。
 しかしながら、確かにオリンピックは、東京が変わるきっかけではございますが、むしろ重要なのは、これまで都が進めてまいりました先進的、先駆的な取り組み、例えば羽田空港の国際化や外環道の凍結解除など、首都再生の突破口を開く政策、あるいは、先ほどありましたように、ディーゼル車対策など先進的な環境対策、首都大学東京の開学等の教育改革など、国に先駆けてさまざまな分野で改革を進めてきたわけでございますが、こうした都の先駆的な取り組みの実現を踏まえ、これをさらに発展させ、東京をより機能的で魅力的な都市へとつくりかえていくということでありまして、こうした考え方のもと、今回十年後の将来像を示したところでございます。
 例えば十年後の目指すべき東京の姿として掲げました、CO2排出の大幅削減でありますとか、集中的な耐震化対策、あるいは障害者雇用の促進や待機児童の解消、都市型産業の振興など、いずれをとっても、オリンピックの有無にかかわらず、東京がこれまで進めてきた改革を踏まえ、さらに高いレベルの成熟した都市になるために必要な取り組みであり、東京の価値を高める大きなチャンスであると認識しております。
上野委員 今のご答弁にもありましたように、「十年後の東京」は、石原知事の八年間の実績を踏まえ、これをさらに発展させるものでありまして、オリンピックのためだけに策定するものではないということがわかりました。
 この「十年後の東京」は、基本的には十年先の目標を掲げたものと理解しておりますが、分野によっては、さらにそれ以降を視野に入れ、政策展開を図っていくべきと思います。「十年後の東京」策定に当たって、当然のことながら、十年よりもさらに先を視野に入れて検討を行っていると思いますけれども、その点について所見を伺います。
小林参事 「十年後の東京」は、基本的には十年先の東京の目指すべき姿を描いたものでございますが、お話のように、十年後に向けた政策展開の検討に当たりましては、さらに先の時点を見渡すことも必要でございます。このため、今回策定に当たりまして、最新の平成十七年国勢調査をもとに、十年よりさらに先を含めて、将来の人口推計を行っております。
 その結果、今後十年間は、東京の人口は社会増が自然減を上回るために、引き続き増加し、また、団塊の世代を初め、元気な高齢者が社会的課題の解決に活躍するなど、東京の活力は引き続き維持されると考えられますが、十年先の二〇一六年以降につきましては、高齢化が一層進むとともに、都においても人口減少が見込まれるところでございます。
 「十年後の東京」では、こうした十年よりもさらに先に東京が直面する状況も踏まえまして、例えば、三環状道路の整備で渋滞が解消した後に生じる交通インフラのゆとりを生かしたバス交通など公共交通の利便性の向上や、だれもが暮らしやすいユニバーサルデザインのまちづくり、さらには、駅を中心としたコンパクトなまちづくりなど、超高齢化や人口減少社会を見据えた政策の方向性も打ち出しております。
 また、長期的なスパンで政策をとらえる必要があります地球温暖化対策では、二〇二〇年までに二〇〇〇年比二五%減のCO2の排出削減を目指す目標を据えるなど、二〇一六年の先をにらんだ政策展開を示しているところでございます。
上野委員 「十年後の東京」に掲げられております政策展開は、今後東京が総力を挙げて実現すべきものばかりであると思います。
 これまでの本会議や予算特別委員会の議論を聞いておりましたけれども、その中で、財政の裏づけや年次計画がなければ具体性のない抽象的なマニフェストだと批判もありましたけれども、それは政策展開のあり方を理解されていない方の議論かなと、このように思います。「十年後の東京」、先ほどのご答弁にもありましたように都市戦略として示したもの。戦略というものは、これまでの実績や東京の可能性を踏まえまして、まず大きなビジョンや夢を掲げることが大事であります。その段階で財政の裏づけや年次計画を表現する性格のものではありません。その後に、実現に向けて実施計画や予算で裏づけていくというのが政策展開の手順でありまして、これはまさに政策展開の基本中の基本ともいうべきものでございます。
 例えば、前任の青島知事時代にも、基本構想でまず指針を示した後に、その後、実施計画で財政的裏づけを行って、具体的な施策を展開していったわけでございます。
 したがって、大事なことは、今後、「十年後の東京」で示した内容を実現に向けていかに実行していくか、これが重要でございます。
 そこで、十年後の東京に掲げたそれぞれの分野の政策を絵に描いたもちにしないよう、今後の実効性の担保ともいうべき方策について、明快にお答えください。
小林参事 「十年後の東京」は、ただいま先生のお話にもありましたように、まず、東京の目指すべき十年後の姿につきまして、都の基本的な考え方を都市戦略という形で示したものでございますが、その実効性を担保するためには、財政面における裏づけと改革を進めていくための推進体制、さらには、政策展開を確実に具体化し、これを進行管理していくことが重要であると考えております。
 まず、財政面につきましては、昨年設置いたしました東京オリンピック開催準備基金に加えまして、今回、地球温暖化対策推進基金、スポーツ・文化振興交流基金、福祉・健康安心基金の三つの新しい基金を創設し、先駆的な取り組みに対して集中的、重点的な投資を行うことで改革を加速してまいります。
 また、推進体制の充実につきましては、スポーツ振興のための専管組織を設けることや、先月既に設置したところでございますが、緑の都市づくり推進本部、あるいは東京都子ども・若者問題対策会議など、組織横断型の戦略会議を設置し、これは連絡調整や情報交換といったことにとどまらず、実質的な政策決定機能を担わせることで、政策の相乗効果を上げてまいります。
 このように、基金を戦略的に活用し、組織横断型の全庁的な取り組みの成果を、この後、いわゆる実施計画や事業計画に相当します重要施策、重点事業の中に反映させ、確実に予算化をしてまいります。
 また、この重点事業につきましては、現在、単年度だけではなく、三カ年のアクションプランを示すことになっておりまして、この三カ年のアクションプランを毎年度検証し、改定しながらローリングしていくことで、着実に十年先の目標に近づけてまいります。
上野委員 ありがとうございます。基金や局横断組織の活用、重要施策、重点事業での具体化など、実現に向けての仕組みをきちんと用意されているということがよくわかりました。
 「十年後の東京」を拝見しますと、どの分野も一つの局だけのいわゆる縦割り行政でできるものはないといっても過言ではございません。実現に当たって、各局をリードして、また、適切に調整を行う重要な役割を果たさなければならないのが政策の総合調整の機能を持つ知事本局でございます。ぜひとも、この十年を千載一遇のチャンスととらえまして、大都市東京の持てる力を存分に発揮して、世界にも子孫にも誇れる東京を目指していただきたいと思います。
 そこで、最後に、その実現に向けての知事本局長の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
山口知事本局長 「十年後の東京」は、これまでの石原都政八年間にわたる先駆的な取り組みを踏まえまして、さらにそれを発展させて実現していきます、先ほどありました東京の具体的な近未来像でございます。
 交通渋滞など、二十世紀の負の遺産をこれからの十年間で一気に解消するとともに、東京がさらに成熟を遂げた美しいまち、安全が確保されたまちへと生まれ変わるためには、今後確実に政策展開を具体化し、必ず実現していくことが大切であると思います。
 このため、都民、NPO、企業、行政などとの多様な主体と協働しまして、東京全体で進めるいわゆる総力戦でございますから、これらあわせて取り組んでいく必要があるところであります。したがって、都みずからも、先ほどご答弁申し上げましたように、新しい基金を創設いたしまして、組織横断型の戦略会議の活用など、財政組織、政策展開が一体となった取り組みを強力に進めてまいります。
 知事本局といたしましては、先生ご指摘のとおり、政策の総合調整機能を担う立場から、各局の先頭に立ちまして、毎年度の重要施策、重点事業を策定する中で、政策展開の確実な具体化を図ってまいります。先ほどお話ししたように総力戦でございますので、先生方のお力添えも賜りながら、東京をさらに高いレベルの成熟した都市としていくために、一丸となって「十年後の東京」の実現に努めてまいります。

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