■東京都議会総務委員会質疑(総務局)
  平成18年12月11日(月曜日)

上野委員 それでは私から、先般基本的方向がまとまりました、都区のあり方に関する検討会についてお伺いしたいと思います。
 この都区のあり方、特別区の区域一つをとりましても都民や区民にとっては大変重要な問題でございます。しかしながら、これまでの都区のあり方検討会を見ていますと、私にはどうも都と区の役所同士のやりとりにとどまっているように思えてなりません。都民、区民にどのようなメリットがあるかの理解もこれからだと思いますけれども、私からは、都区のあり方の議論をもっと都民にわかりやすく知らせる努力や、都民の声に配慮するといった努力が必要じゃないかという、こういった問題意識を中心に幾つかお伺いしたいと思います。
 まず、導入としまして、そもそもいかなる経緯でこの検討が始まったのか、確認の意味も込めまして、改めてお伺いいたします。

前田行政部長 本年二月まで都区間で協議をしてまいりました五項目の課題の中に、都区の役割分担を踏まえた財源配分という項目がございましたが、本来、事務と財源というのは切り離せないものでございますが、都区それぞれが担うべき事務内容を議論することなく、財源の帰属、つまり調整率のみをめぐる議論に終始したため、都区で認識を一致させることができませんでした。
 こうした反省とともに、東京の財源をねらい撃ちしようとする動きや国による都心区の直轄化の議論など、都と区をめぐる厳しい環境を踏まえまして、今後の都区のあり方について、事務配分、再編を含む特別区の区域のあり方、税財政制度などを根本的かつ発展的に検討するということといたしまして、都区の財源配分については、この検討の結論に従い整理するということで都区が合意をいたしました。
 この合意に基づきまして、本年五月、東京都は三副知事、区長会は正副会長等を構成員といたします、都区のあり方に関する検討会を設置いたしまして検討を行ってきたものでございます。

上野委員 今のご答弁で、東京の財源をねらい撃ちしようとする動きや国による都心区の直轄化の議論など都区をめぐる厳しい環境が、都区のあり方の検討の契機になったとの説明がございましたが、では国などが何をいっているのか、もっと具体的に示していただきたいと思いますが、お願いいたします。

前田行政部長 最近の国などの動きを申し上げますと、財政制度等審議会、これは財務大臣の諮問機関でございますが、その審議の場で千代田区の区報を用いられております。
 その意図は、三位一体改革で大きな減収があると一方でいいながら、妊娠五カ月から高校生まで、所得制限を設けずに毎月五千円を支給するというような、全国にも例を見ない手厚い手当を独自に実施できるほど、財政に余裕があるというふうにいいたいんだと思います。また同時に、千代田区を例にとりまして、全国の中で特別区全体が財政的に突出して余裕があるということをいわんとするものだと思います。
 また、道州制を議論しておりました地方制度調査会、これは内閣総理大臣の諮問機関でございますが、その中で東京都の二十三区だけに税収が集中してしまい、アメリカのワシントンDCではないが、国が関与した形の直轄的な市にしてはと、こういう発言も出ております。また、同じ地方自治体の複数の県知事からも、東京は、地方自治体の一員として考えると余りにも格差が大き過ぎると、やはりアメリカのワシントンDCみたいに、国の直轄地としてはという議論が出ておりまして、近年、こうした見方が東京都と特別区の外側では加速していると、こういった状態でございます。

上野委員 今のご答弁がありましたように、こうした国とか都区の外側で極めて危険な動きがあると、こういった状況の中で東京都も漫然としているわけにはいかない、こういう状況にあると思います。
 このたびの取りまとめの内容を見てみますと、特別区の区域についてでございますが、再編を含む区域のあり方について議論が必要であると、このようにされたことが特に注目されているところでございます。特別区の再編は、住民が属する区が変更される可能性があるわけですから、都民にとって、このことは大変身近な問題であります。したがいまして、再編を含む区域のあり方が、都民生活にどのようなメリットやデメリットがあるかといった視点からの検討が不可欠であると、このように考えますが、取りまとめに当たって、そうした視点からの検討がなされたのかどうか、お伺いいたします。

前田行政部長 特別区の区域あるいは再編も含めた区域のあり方につきまして、これまで東京都の側では、都議会の行財政改革基本問題特別委員会におきまして、大都市の実態に即した合理的な行政区域が検討される必要があるといった取りまとめが行われたことはございます。一方、区の方でございますが、区長会として議論したことはないと、こういう状況でございます。
 ご指摘のように、特別区の区域のあり方は、都民、区民にとりまして身近な問題であり、今回、あり方検討会におきましても多くの時間を割いて検討を行いました。その中では、まず一つ、区域のあり方を検討する視点といたしまして、特別区を取り巻く環境の変化、都区間の事務の再配分と区域の関係、効率的な行政運営、それから外部からの見方、こういう四つの視点が挙げられました。
 またもう一つ、先ほど委員ご指摘のように、区域のあり方につきまして、都民、区民に投げかけようといたしましたら、区民生活にとってどういうメリットがあるのか、明確なコンセプトがないと理解が得られないなどの意見が交換されまして、結論的といたしまして、再編を含む区域のあり方について議論が必要であるという点で都区の認識が一致したものでございます。

上野委員 区域のあり方を検討する視点といたしまして、特別区を取り巻く環境の変化、または都区間の事務の再配分と区域の関係、効率的な行政運営、外部からの見方などが議論になったとのご説明がありましたが、もう少しそれぞれの視点について具体的にどのようなことなのか、詳しくお聞かせいただきたいと思います。

前田行政部長 先ほどございました四つの視点でございますが、まず、特別区を取り巻く環境の変化でございます。現在の二十三区となりました昭和二十二年から既に六十年が経過しておりまして、この間、生活圏や経済圏の拡大を特別区の区域についても反映させる必要があるではないかと、こういうことでございます。
 二番目の都区間の事務の再配分と区域の関係でございますけれども、今後都の事務事業の、さらに特別区に移管するということを行うに当たりまして、事務を受け入れます特別区に事務処理権限の拡充に対応する基盤の強化が求められる。こうしたことから、区域のあり方を見直す必要があるのではないかということでございます。
 三番目の効率的な行政運営の視点でございますが、不安定な税財源のもとで、大都市東京の膨大な財政需要にこたえていくということは必要でございますので、間接経費の削減を初めといたしまして、より一層効率的な行政運営を行うということが必要であり、区域のあり方も見直す必要があるのではないかということでございます。
 四番目の外部からの見方の視点でございますが、先ほどもちょっと触れましたが、地方制度調査会では、道州制の議論にとどまらず、かねてから特別区の再編を含めた区域の見直しの必要性というものは再三にわたり指摘されております。また、全国的に市町村合併が急速に進んでおりまして、こうした中で特別区では再編の議論さえ必要ないということになれば、それは財政的余裕の証拠だと、証左だとして、東京富裕論に一層の拍車がかかるのではないかと、こういったことでございます。

上野委員 今幾つかの視点についてご説明をいただきましたけれども、それを聞いてもわかるとおり、どの視点に立って区域のあり方を論ずるかによって区域のあるべき姿も大きく変わってくるものと思われます。
 今後検討を深めていくに当たっては、その議論を十分整理し、できる限り都民にわかりやすく説明していただくよう要望いたします。
 さて、平成十二年の都区制度改革によりまして特別区の分割や合併を行う場合の発案権が都から特別区に移ったと聞いております。その意味で特別区の区域の問題は、特別区が主体的に取り組むべき課題ということでもありますが、合併や分割を行う場合、具体的に必要となる手続、手順についてお伺いいたします。

前田行政部長 まず、合併について申し上げます。特別区の合併につきましては地方自治法、それから市町村の合併の特例等に関する法律の定める手続に基づいて行うこととなります。具体的には、まず関係各区議会の議決を経まして合併協議会が設置されます。そこでは基本的な計画の作成など合併に関する協議を行いまして、合併の方向で統一的な意思が形づくられれば、各区議会で合併の議決が行われます。その後、都知事への申請、都議会での議決などを経まして、総務大臣の合併告示というふうに進んでまいります。なお、都知事は特別区に対しまして、合併協議会の設置、及び規模の適正化の勧告権を有してございます。
 次に、境界変更や分割でございますが、こちらにつきましては、地方自治法の規定によりまして、各区議会の議決に始まって都知事への申請、都議会での議決などを経まして、総務大臣の告示となります。

上野委員 今のご答弁からも明らかなとおり、特別区の合併について都に勧告権はありますが、実現には、各区議会の議決が必要となっており、住民の意見が反映される仕組みになっております。このことからも特別区のあり方の検討に当たっては都民、区民への説明、周知が非常に重要であることが理解できます。
 そこで、最後の質問でございますが、今後、この区域の問題を含めた都区のあり方について具体的な検討が行われることになりますけれども、検討に当たっては、都民にオープンな形で議論を行い、都民の声も十分配慮しながら、都区制度の見直しを行っていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

前田行政部長 ただいまご指摘をいただきましたように、都区のあり方に関する議論はいずれの項目も都民、区民から深い、強い関心を持たれるものと考えております。
 また同時に、道州制の議論など地方自治の変革の動きが加速しておりまして、漫然としておりますと、都民、区民の知らないところで自治制度の改変というものが行われかねないおそれもございます。こうした中で都と特別区はみずから将来のあり方を示していかなければなりません。ご指摘の再編を含む区域のあり方を初めとした都区のあり方に関する議論は、極めて今日的な課題であると同時に、都と特別区の最大の課題であるといってもよいと思います。
 こういう大きな課題でございますので、今後の具体的な検討に当たりましては、都区双方が都議会及び区議会に節目節目でご報告すると同時に、一定の取りまとめを得た後にその内容を広く公表するなど、都民、区民の声にも十分配慮し、理解をいただいて進めてまいりたいと思っております。

上野委員 ご答弁からも、都区のあり方検討は非常に重要な課題であるということが改めて理解できたところでございます。
 本検討会の今後の活発な議論を期待いたしますとともに、ぜひとも引き続き議論の進捗に合わせまして、都民の皆様にわかりやすく知らせる報告の努力をなされるようご要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。


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