■東京都議会総務委員会質疑(総務局)
  平成18年10月31日火曜日

上野委員 私からは震災時のエレベーター対策について四点ほどお伺いいたします。
 昨年七月二十三日の千葉県北西部地震では、首都圏で約六万四千台のエレベーターがとまり、七十八台の閉じ込め事故が発生いたしました。そのうち七十三台は地震時管制運転装置つきであったと聞いております。また、これらのエレベーターの七割以上は、市町村震度四以下の地域に設置されていたものでありまして、比較的震度がそれほど大きくなかったにもかかわらず、多くの閉じ込め事故や運転休止を生じたことが社会問題となったわけでございます。
 ここ都庁におきましても、第一庁舎の四十五階の展望室ですね、約二百人の方がそのときには下におりることができなかった。約一時間半ほど下におりることができなかったというトラブルがあったように思います。
 こういう、千葉県北西部地震よりも、これからはるかに大きく、しかもまた切迫性が指摘されております首都直下地震が発生した場合は、エレベーターによる閉じ込め台数はこの比ではないと思われます。ちなみに、被害想定では、閉じ込めが生じるエレベーターは約九千二百台とされておりますが、こうしたことから、我が党はこれまでもエレベーターの閉じ込めは喫緊の課題と認識いたしまして、一日も早く、その対策が講じられるよう求めてきたところでございます。
 そこで、まず確認の意味で、エレベーターの閉じ込めは何が原因で発生するのか、所見をお伺いいたします。

石野総合防災部長 エレベーターの閉じ込めの原因でございますが、大別して三つございます。
 一つ目としましては、昨年の千葉県北西部地震で見られましたように、非常時の緊急停止装置、これが作動して停止するものでございます。これは揺れを感知します地震時管制運転装置が作動し、最寄り駅で扉を開放する前に扉が開いたことを感知し、緊急停止するものでございます。二つ目が、八月の大規模停電でも見られましたように、停電による停止でございます。さらに三つ目としまして、揺れによりエレベーターのかごやレールなどが損傷したことによる停止。以上三つが考えられます。

上野委員 そうした閉じ込めの原因をなくすためには、例えば、安全装置本来の機能目的を確保しつつも、地震動によりごく小さくドアが開いたことなど、これを過敏に感知して停止させることのないよう、装置の改良、これを図ることがまず大事だと思います。
 また、閉じ込めからの救出のおくれも問題化されました。閉じ込め発生から覚知までに最大八十五分、救出までには最大で約三時間かかったケースが報告されております。そのことは、余震や火災が発生したときに避難できないことによる二次災害のリスクが増大することが危惧されるわけでございます。
 そこで、エレベーターの閉じ込め対策として、実効性の高いハード、ソフト面からのさまざまな対策を検討されていると思いますけれども、現在考えておられる有効な防止対策についてお伺いいたします。

石野総合防災部長 被害想定では、先ほど委員ご指摘のとおり、約九千二百台のエレベーターに閉じ込めの可能性があると、今回の被害想定で想定してございます。
 そうした中で、まずハード対策により閉じ込め発生件数自体を減らすことが重要でございます。ハード対策としましては、まず第一に、昨年の千葉県北西部地震では、閉じ込めの四十二台のエレベーターのうち四十一台が、先ほど申し上げました第一の原因であります、非常時の緊急停止装置の作動によるものでございました。そうしたことから、そうした場合にエレベーターの設備を自動的に診断し、異常がない場合には地震時管制装置を稼働させ、最寄り駅に停止するというリスタート機能を付加することが大切でございます。
 また第二としましては、大地震による停電の際にも、最寄り駅まで乗客を運び、安全に開放するという停電時自動着床装置を設置することなどが有効でございます。
 しかしながら、こうした対策を行ったとしても、エレベーターの損傷などによる閉じ込めの発生も考えられます。このためソフト対策としましては、まず遠隔監視など、エレベーターが停止した場合に異常の有無を確認する体制を整備する。また、通信の途絶や停電などによりましてエレベーター内のインターホンが使用できない、そうした場合も考えられますが、そうした場合も閉じ込められていることを外部に知らせるための連絡手段を確保すること。さらには、迅速な救出ができるよう、救出要員の増員であるとか、効率的な要員の派遣を図る、こうしたことが有効な対策であると考えられます。

上野委員 ご答弁の最寄りの駅というのは、最寄りの階の間違いかなと思いますけれど……。エレベーターで駅に行ったら大変なことになってしまいます。
 ただいまご答弁がありましたようなこのエレベーターの閉じ込め防止対策は、内容からいっても大変有効であると、このように思います。
 そこで、今後エレベーターの地震防災対策の推進を図るためには、エレベーターの耐震安全性の確保や地震時管制運転装置の確実な作動、早期救出、復旧体制の整備など、その確かな実現に向けては、民間事業者などとの具体的な検討を進める必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。

石野総合防災部長 失礼しました。先ほどは最寄り階の間違いでございました。申しわけございません。
 今のご質問にお答えします。
 現在、地域防災計画の見直しを行っておりますが、それに際しまして、都では日本エレベーター協会やビルメンテナンス団体、エレベーターメーカー、関係局で構成しますエレベーター部会を設置しまして、閉じ込め対策を検討しているところでございます。
 国は建築基準法を改正しまして、初期微動であるP波を感知して地震時管制運転を行う装置の設置義務づけを検討しているところでございますが、首都直下地震では、すぐに本震でありますS波が到達することになりますので、これだけでは閉じ込め対策は十分ではございません。
 このため都といたしましては、ハード対策として、閉じ込め防止装置の設置に向けた指針を策定し、マンション管理業界などに対し、閉じ込め防止対策の実施を積極的に働きかけていくことを検討しております。また、ソフト対策といたしましては、第一に、遠隔監視の普及とビル管理者等の監視によるエレベーターの異常の有無の確認、二点目としまして、閉じ込められた乗客と外部との連絡手段を確保する方法、また三点目としまして、救出要員の増員を目的としたビルメンテナンス会社等への講習制度の整備、さらに四点目としまして、大地震の際には区部の大部分が通行禁止になる、そういうことから、救出に当たる要員が迅速に移動できるよう、緊急通行証の発行などを現在検討しているところでございます。

上野委員 都内にはビルやマンションなどのエレベーターが約十五万台もあると聞いております。多くの建物所有者、管理者、保守管理業者などに、いかにしてこの閉じ込め対策への取り組み意識を浸透させるかという課題がございます。
 首都直下地震の切迫性が高まる中で、民間施設のエレベーターの閉じ込め防止対策を推進するためには、まずは公的施設から率先して取り組んで模範を示していくべきと考えますけれども、所見をお伺いいたします。

石野総合防災部長 災害時に都民の救命救急を行います病院であるとか、防災活動を行うための拠点施設となります警察署や消防署、また、多くの都民が利用します集客施設、そうした公的施設については、現在四千六百台のエレベーターが設置されております。これらのエレベーターにつきまして、リスタート機能であるとか、また停電時自動着床装置などを設置するということは、民間に対しても適切な誘導になると考えております。
 このため、現在、技術的にまず改修が可能かどうか、また、改修が可能なものにつきましては、防災上の必要性、エレベーターの利用頻度等から改修の優先順位などを検討しているところでございます。今後、検討結果を踏まえまして、具体化を図ってまいりたいと考えております。

上野委員 今年度、地域防災計画を見直しされていると聞いておりますが、その見直しに当たりましては、先ほどもご説明にもありましたように、リスタート運転機能を地震時管制運転装置に付加することや、行政関係団体などが連携協力してP波感知型地震時管制運転装置の設置の推進を図っていくこと、また、建物管理者、保守会社などによる救出、復旧体制の整備やドアの解錠キーの提供などによる消防との連携を図っていくなど、ハード、ソフト面からのさまざまな実効性の高いエレベーター対策を計画に盛り込むことを要望するとともに、都民の生命、財産を守ることを確かなものとする地域防災計画の見直しに大いに期待いたしまして、私の質問を終わります。


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