■東京都議会各会計決算特別委員会質疑(建設局)
  平成18年10月25日/水曜日

上野委員 私からは、東部低地帯のソフト面からの水害対策について、五点ほどお伺いいたします。  決算説明書一六四ページから一六七ページにわたりまして記載されております河川維持費、河川防災費についてでございますが、十七年度決算におきまして約四十七億余の事業が執行されております。このうちの高潮対策におけるソフト事業についてお尋ねしていきたいと思っております。  高潮防御施設の整備は、都民の安全・安心のために重要であることはいうまでもありません。終戦直後の極めて財政状況が厳しい中で、昭和二十二年九月のカスリン台風、二年後の昭和二十四年八月のキティ台風以来、国や東京都の尽力により、営々と施設整備が図られてまいりました。おかげさまで、今では治水に対する安全性がかなり確保されてきております。  しかし、これらの立派な施設ができたとしても、そうした施設が的確に運用されなければ、整備された目的が果たせないということになりかねません。このような観点から、高潮防御施設のかなめとなります水門の管理運営について、幾つかお伺いいたします。  東京の東部低地帯であります江戸川区や江東区などでは、満潮面より低い地域が約百二十五平方キロメートルもあります。もしもこの地域を高潮が襲った場合、大きな被害が予想され、都民生活に多大な影響を及ぼすことになります。  今月の六日ですが、皆様も記憶に新しいと思います。台風並みの発達した低気圧が関東地方沖合を通過いたしまして、強い暴風、雨に襲われました。翌七日は、秋晴れの好天に恵まれましたが、東京湾では、この七日の満潮潮位が、予測潮位よりもプラス五十三センチ、八日はプラス五十五センチを観測いたしました。これは、首都直下地震による津波の予測高さが五十センチ未満と想定されていることからも、まさに異常な潮位が観測されております。これにより、当然、河川水位状況にも影響があったものと思われます。  そこで、この十月七日の河川水位の状況についてお伺いいたします。

高橋河川部長 去る十月七日から九日にかけての連休期間中、台風一過の秋晴れにもかかわらず、隅田川など東部低地帯の河川で高潮が発生いたしました。  墨田区にある源森川水門では、大潮の満潮とも重なり、十月八日午前五時四十四分には、平常時より七十センチ高い、AP二・八三メートルを観測いたしました。これは、全国各地に被害をもたらした台風十六号の影響を受けまして、前線上で発達した低気圧が引き起こした気圧低下などによる水面上昇と考えております。

上野委員 ところで、潮位の異常があった場合、適切な水門操作が実施されなければ、いわゆるゼロメートル地帯では浸水してしまうことになります。  そこで、都民の安全・安心を守るためには、水門操作などについての万全なるマニュアルと体制を整備し、実施していくことが極めて重要であると考えますが、所見をお伺いいたします。

高橋河川部長 水門などの操作につきましては、職員のだれもが迅速かつ確実に操作できますよう、東京都河川管理施設操作規則におきまして、各水門ごとに操作水位と操作方法が具体的に定められており、その規定に基づき、水門の開閉や排水機場の運転を行っております。  また、水門管理につきましては、二十四時間体制で万全を期しております。勤務時間内は、各水門に勤務する職員が操作し、夜間や祝祭日等、勤務時間外におきましては、二十四時間水門の監視を行っております木下川センターの指示により、各水門に設置されている水門管理住宅に居住している職員が操作することとなっております。

上野委員 水門その他、操作などの規則が整備されて、しかも二十四時間体制で確実に行われているということをお伺いいたしまして、安心いたしました。  それでは、十月七日から九日における水門などの実際の操作状況についてお伺いいたします。

高橋河川部長 東部低地帯などの河川では、十月七日未明から水位が上昇いたしました。このため、午前三時五十分から、水門管理住宅居住職員を現地に配置する異常潮位態勢をとりまして、操作規則に基づきまして水門の開閉操作を行いました。この作業は、九日午前七時三十分ごろまで続きまして、その間、職員が現地で、潮位の変化に合わせまして、源森川水門など七水門で延べ二十九回の開閉操作、一排水場での運転操作を行いました。  このことによりまして、東部低地帯の高潮に対する安全性と船舶の航行が確保されました。

上野委員 ありがとうございます。八日、九日、これはちょうど日曜、祭日に当たりまして、大変にいい天気でありました。地元江戸川では、各地域で祭りが開催されておりまして、宇田川委員とともに、私たちも楽しく参加させていただいたわけでございます。  住民の方が楽しく過ごせたその陰には、こうした職員の皆様が、昼夜を問わず、必死に都民の安全・安心のために的確な対応がなされたからだということが、今のご答弁を聞いてよく理解できました。職員の方は任務を遂行したまでといわれるかもしれませんけれども、そのご苦労に、私は心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。  さて、災害には、こうした自然災害だけではなく、突然の事故による災害もございます。ことし八月十四日には、航行中のクレーン台船が東京電力の高圧ケーブルを切断する事故がありました。首都圏一帯に停電を引き起こしまして、さらには交通機能まで麻痺するという、こういう状況になりましたが、このときの水門管理は、各水門などに設置されております自家発電機が稼動し、非常時にも事なきを得たと聞いております。  そこで、これら水門管理を支えているシステムの現状と課題についてお伺いいたします。

高橋河川部 現行のシステムでは、船舶航行の安全性を確保する必要があることから、現場状況を確認しながら、水門で直接操作する現場操作方式を採用しております。また、木下川センターで各水門の水位情報を収集し、監視及び緊急閉鎖などのバックアップを行っております。  しかしながら、このシステムは昭和六十二年に導入され、二十年近く運用しているため、設備の老朽化が進んでおります。加えて、部品類が製造中止になるなど、維持管理に苦労しております。

上野委員 非常にこれは大事な話だと思います。こうした災害への対応を、老朽化したシステムで努力していただいているということですが、技術革新が日々進んでいる中で、私はより高い安全性を目指す必要があると考えます。  水門管理を的確に行うためには、水門管理システムが重要な役割を担っているわけですが、先ほどのご答弁によりますと、整備されてから約二十年経過している。設備の老朽化など、故障時の対応が困難になってきているとのことでありました。  ご承知のとおり、昨今の情報通信技術の発展は著しいものがございます。我が公明党はこれまでも、最新のIT技術を活用したシステムの構築が必要であると主張してまいりました。建設局では、こうした主張を受けまして、水門管理システムの再構築に取りかかっていると聞いております。  そこで、これらシステムの再構築の考え方と整備の進捗状況、また今後の予定について所見をお伺いいたします。

高橋河川部長 ただいまお話がありましたとおり、技術革新の成果を水門管理システムに取り入れ、再構築を進めることが重要であると認識しております。  このシステムにつきましては、IT技術の発達により、迅速かつ大量の画像などが送れるようになりましたことから、センターにおいて各水門の監視や操作を行う、より効率的な集中監視方式を採用することとしております。  各施設を結ぶ光ファイバーケーブルの設置につきましては、平成十五年度より着手し、十七年度に完了しております。引き続き、今年度から、各水門などにおいて監視や制御の設備を順次整備し、二十二年度までの完成を目指してまいります。  今後とも、東部低地帯の高潮などに対する安全性の一層の向上に努めてまいります。

上野委員 二十二年度の完成を目指していくとの力強いご答弁をいただきまして、大変うれしく思っております。ぜひとも一層の推進を願うものでございます。  東京の都市基盤、都民の生活の利便性、快適性を向上するために、今、多様な施設整備が行われるようになってきております。  一方で、埼玉のプール事故に見られますように、管理運営に十分な配慮がなかったことが痛ましい事故の発生原因であったということがわかって、そのことが今、社会的な問題となっております。社会全体の安全・安心は、整備された施設が期待された機能を的確に果たすよう、着実に運用されていくことで確保されるものでございます。  高潮防御施設の整備において、たとえ立派な耐震護岸が整備されたとしても、水門管理を一歩間違えば、ゼロメートル地帯と呼ばれる低地は、たちまちに浸水被害の危険にさらされるわけでございます。  東部低地帯には、多くの都民が生活しております。その安全・安心をしっかり確保するために、適切な水門管理を確実に行っていくことが極めて重要でありますので、今後とも水門管理に万全を期していただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。


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