■東京都議会各会計決算特別委員会質疑(港湾局)
  平成18年10月18日/水曜日

上野委員 私からは、海岸保全施設の整備について、六点ほどお伺いいたします。
ここ数年、たび重なる台風の上陸などによりまして、全国各地で激甚な水害や高潮災害が発生しております。また、都民の大きな不安であります首都直下地震の切迫性も高まっておるところでございます。  こうした状況を踏まえまして、我が公明党はこれまでも、高潮や津波を防御する防潮堤や水門などの海岸保全施設につきましては、その重要性と整備推進の必要性を訴えてきたところでございます。東京都におきましても、これまで海岸保全施設の整備に、十七年度では重点事業として取り組むなど、その積極的な推進について、私は高く評価しているところでございます。  そこで、十七年度決算説明書の海岸保全施設建設費を見てみますと、約六十六億円の予算現額に対しまして、約十五億円の不用額が出ております。事業は着実に進められているものと思いますけれども、確認の意味で、なぜ不用額が発生したのか、その主な理由についてお伺いします。

尾田港湾整備部長 不用額発生の主な理由としましては、三点ございます。 一つ目は、晴海地区で実施しました防潮堤設置につきまして、工法検討によりコスト縮減を図ったこと、二つ目は、低入札などによる大幅な落札差金が生じたこと、三つ目は、都予算で当初予定しておりました国庫補助に決定減があったことなどから、一部護岸の整備を打ち切ったということがございます。 以上のことから、不用額として約十五億円を計上しておりますが、十八年に再度計上して実施します、打ち切った内部護岸を除きまして、着実に事業は実施しております。

上野委員 ご答弁で安心しました。不用額の発生の理由というのが未執行によるものではない、ほぼ予定どおり進捗しているということで安心したところでございますけれども、また、設計の工夫によりましてコスト縮減を図ったことについては、私は評価したいと思います。  ところで、今、低入札による落札差金が増加したとの答弁がありましたが、私自身、以前、技術の仕事に携わっていた経験からも、低入札による工事というのは、ややもするとずさんな工事施工になりやすいということで、非常に私も不安があります。そこで、この十七年度に施工された低入札の工事では、品質はしっかりと確保されたのかお伺いします。

尾田港湾整備部長 低入札工事であるがために、品質の低下を招いたり、安全管理がおろそかになることがあってはなりません。このため、東京都では、低入札があった場合は落札決定を保留し、低入札価格調査制度に基づきまして、履行能力、経営状況、信用状態などの調査を行った上で、低入札価格審査委員会の審査を経て、最終的に落札者を決定しております。  現場におきましては、請負者が施工計画に基づいた施工能力を有しているか、また、請負関係が下請契約書に基づき適正であるかなど、現場の品質、安全確保にかかわる請負者の施工体制について厳しく確認し、指導を行っております。  また、材料搬入時や工事の最盛期には、担当監督員と主任監督員が必ずペアで現場立ち会いを行うなど、通常工事以上に品質管理、安全管理に重点を置き、監督体制の強化を図ってきました。 また、局事業の厳正な執行と公共工事の品質を確保するために設置しました港湾局工事執行点検委員会におきまして、関係書類をチェックするとともに現場の実査などを行うなど、現場事務所のみならず、局として施工状況の確認及び指導を行ってきました。その結果、所定の品質を確保しております。

上野委員 十七年度の工事には問題がなかったようでありますが、近年、低入札がふえてきております。安かろう悪かろうでは困りますので、今後とも、低入札の工事につきましては特に注意を払っていただいて、品質の確保にこれからも努めていただきたいと思います。 本題に戻りますが、これまで整備を進めてきたことにより、既に高潮に対する安全性は確保されていると思いますが、具体的に防潮堤、水門、排水機場などの海岸保全施設がどの程度でき上がっているのか、高潮に対する安全性は確保されているのか、あわせてお伺いいたします。

尾田港湾整備部長 多摩川河口から荒川に至る東京港の臨海部は、南西部に開口部を持つ比較的水深の浅い東京湾の最奥部に位置するため、高潮の影響を受けやすい地形になってございます。このため、東京市の時代、昭和九年から高潮対策に努めてきました。昭和三十四年の伊勢湾台風を契機に、同規模の台風を想定し、本格的に海岸保全施設の整備に着手しております。 これまで、高潮を最前線で防ぐ外郭防潮堤約三十三キロメートルと水門十九カ所、排水機場四カ所が完成しており、高潮に対する安全性は確保されております。

上野委員 一応施設は完成し、高潮に対する安全性が確保されているといいますけれども、こうした防潮堤などの施設というのが、昭和三十四年の伊勢湾台風を契機に整備されたということでございますので、その多くは老朽化していると考えられます。 したがいまして、こうした施設の老朽化対策を図るとともに、耐震性を強化することが重要でございます。このことは、既に我が党の藤井一議員が、昨年の予算特別委員会で指摘しているところでございます。これに対して東京都は、経年劣化の著しい護岸の改修を進めるとともに、液状化防止などの耐震性の強化もあわせて実施しているとの答弁がございました。 そこで、具体的に、老朽化対策や耐震対策についてはどの程度完了しているのかお伺いいたします。

尾田港湾整備部長 東京都では、昭和三十五年から本格的に海岸保全施設を整備してきており、四十年以上経過している施設は、外郭防潮堤の二三%、水門の三六%、排水機場の五〇%に上ります。 このため、東京都では、こうした施設を中心に、鋼管矢板の防食や水門、門扉の交換といった老朽化対策を随時進めております。また、液状化対策など耐震対策は昭和五十五年から進めてきており、現在は、平成七年の阪神・淡路の大震災を契機に見直された最新の基準により、鋭意整備を進めております。 この結果、外郭防潮堤につきましては、現在完成している約三十三キロメートルの九四%に当たる約三十一キロメートルについて耐震性が確保されております。また、水門につきましては、十九カ所のうち四カ所が対策を完了しております。なお、四カ所ある排水機場につきましては、今後耐震対策を進めていく予定でございます。

上野委員 老朽化対策や耐震対策が必要な施設がまだ残っているようでございますが、真っ先に危険にさらされるのは、区部の二〇%にも及ぶゼロメートル地帯であります。この地域はいち早く整備が進められました。そのため、施設の老朽化が進み、地震に対する強度も不足しているのではないか、このように思います。私は、この地域の対策は特に大切であると考えております。 そこで、全体のうちゼロメートル地帯の施設の老朽化、耐震対策の状況はどうなっているのか、お伺いいたします。

尾田港湾整備部長 ゼロメートル地帯につきましては、ご指摘のとおり、高潮に対する危険度が高いことから、過去五年間を見ますと、海岸保全施設建設事業の七割以上の事業費を重点的に配分し、整備を実施してきております。特にゼロメートル地帯の水門につきましては、地盤が軟弱なため、耐震対策に多大な経費と時間を要しますが、この地域内の五水門のうち三水門の対策を既に完了しているところであります。 現在、曙水門において対策工事を実施中であり、残り一水門を実施すれば、ゼロメートル地帯のすべての水門の耐震対策は完了し、地震に対して、より盤石なものとなります。

上野委員 ご答弁を伺いまして、ゼロメートル地帯を重点的に整備しているということを確認することができましたが、引き続きしっかりと、この耐震対策などの整備を進めていってもらいたいことを強く要望いたします。 さて、最後になりますが、都としては、今後どのような海岸保全施設の整備を進めていくつもりなのか、お伺いいたします。

津島港湾局長 海岸保全施設の整備についてでございますけれども、東京都はこれまで、この整備を重点事業として位置づけまして、鋭意高潮対策に取り組んできたところでございまして、現在の高潮に対する安全性というのは、それなりに十分だというふうに考えてはおります。 しかし、やはり整備後四十年以上経過している施設や耐震対策の未了箇所もまだございますので、高潮に対する安全性をより盤石なものとするためには、早急な対策が必要であると認識しております。  具体的には、先生おっしゃる、特にゼロメートル地帯における水門、外郭防潮堤の耐震対策をまず最優先に実施いたします。あわせて、この外郭防潮堤の内側のいわゆる運河筋の護岸につきましても、地震による倒壊等を防止するための補強等を積極的に行ってまいります。  それから、そういったハード面ばかりではなくて、やはり危機管理体制、これをしっかり強化することが必要で、水門の遠隔監視や制御システムの再構築を今計画しているところでございます。 こういったさまざまな対策を盛り込みまして、これは本年の三月の予算特別委員会でも触れさせていただきましたけれども、こういった対策を入れ込んだ向こう十年間程度の緊急整備計画、これを現在策定に取りかかっておりまして、早期整備に向けて重点的な取り組みを進めてまいります。 また、国に対しては、予算の重点配分などを積極的に働きかけを行ってまいります。

上野委員 力強い局長のご答弁をいただき、ありがとうございました。 海岸保全施設の整備には、多くの費用と時間を要すると聞いております。都民の大事な生命、財産を守り、東京の首都機能を確実に維持するためには極めて重要な事業であります。一日も早い完成を望むものでございます。 十七年度の海岸保全施設建設費は約六十六億円であり、事業の重要性を考えますと、今後はもっと事業費を確保する必要があると思います。この事業は、主に国の補助金を得て整備が進められております。したがって、国に対して、国家的見地から予算の重点配分がなされるよう要請していくことが重要、肝要であります。 私も、この事業の推進には積極的に支援をしていきたい、このように強く感じております。この事業を着実に進めることで、より高い安全性を確保し、都民が真に安心して暮らせる東京が実現することを切に願いまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。


前のページへ戻る



Copyright(C) Kazuhiko Ueno All Rights Reserved.