■東京都議会文教委員会(生活文化局)
  平成17年10月27日(木曜日)

上野委員 私の方から芸術文化の振興について何点かお伺いしたいと思います。
 東京都は、我が党の強い主張によりまして、昭和五十八年に制定されました東京都文化振興条例に基づきまして、さまざまな芸術文化振興策を講じておられるところでございますけれども、都が実施している芸術文化振興策の中に、都民が毎年楽しみにしている都民芸術フェスティバル、こういう事業がございます。
 まず初めに、改めてこの事業の目的についてお伺いいたします。

山本文化振興部長 都民芸術フェスティバルは、舞台芸術の振興を図るとともに、低廉な料金で質の高い舞台芸術を都民に提供することを目的といたしまして、昭和四十三年度から開始し、毎年一月から三月にかけて開催しております。

上野委員 質の高い舞台芸術を提供するということでございますが、舞台芸術にはいろいろな種類がございます。都はどのようなジャンルを提供されているのか、平成十六年度の実施内容と十七年度の予定についてお伺いします。

山本文化振興部長 平成十六年度の都民芸術フェスティバルの実施内容でございますが、音楽、舞踊、演劇、伝統芸能の四ジャンルで七十三公演実施いたしまして、入場者数は述べ六万四千四十四人でございました。平成十七年度についても、ほぼ同規模の内容を予定しております。

上野委員 わかりました。この都民芸術フェスティバルにつきましては、実は平成十六年度の包括外部監査におきまして幾つか意見や指摘を受けているということでございますが、意見としては、例えば補助事業の硬直化を防ぎ、補助金等交付団体の固定化を避けるため、公演内容の公募等による分野別の競い合いを導入すること、あるいは事業のPRが限定的で余り効果がなく、都民への周知が不十分であるため、より積極的なPR活動の実施、こういった内容でございますし、また、指摘といたしましては、事業の評価手法の確実性を高めるため、客観的な事後評価を行う体制の構築といったことなどがあるようでございます。そこで、こうした意見や指摘に対してどのように対応されるということでございましょうか、お伺いいたします。

山本文化振興部長 まず、分野別の競い合いを導入することについてでございますが、今年度から、現代演劇の分野におきまして公募制を試行的に導入いたしました。
 また、積極的なPRの実施につきましては、平成十六年度から新たにヤフーのホームページにバナーによる広告を実施し、PRの強化に努めているところでございます。
 さらに、事後評価を行う体制を構築することという指摘につきましては、職員によります現地調査や会場でのアンケートのほか、平成十六年度から新たに外部の専門家による評価を導入しまして、客観的な事後評価に努めております。
 東京都は、今後とも、この監査結果を踏まえまして、都民芸術フェスティバルの質的な向上を図り、ほかの事業も含めて舞台芸術施策全般の見直しに取り組んでいるところでございます。

上野委員 今のご答弁では、都民芸術フェスティバルも含めて、舞台芸術施策全般の見直しに取り組んでいくということでございますが、当然、よりよくするために、見直すべきところは見直す、これは結構でございます。ただ、芸術文化というものは、教育と同様、費用がかかるから削るといったような金銭的な価値観だけで判断できるものではないと私は考えております。ぜひともこの見直しが事業の縮小につながらないようにお願いしたい、このように要望いたします。
 また、見直しに当たりましては、各芸術文化団体に対して十分な説明をしながら進めていくことが必要であると思いますが、どのように進めようとされているのか、お伺いいたします。

山本文化振興部長 都民芸術フェスティバルの見直しに当たりましては、委員ご指摘のとおり、芸術文化団体の協力が不可欠でございまして、各芸術文化団体の意見も聞きながら、見直しを進めているところでございます。
 今後とも、各芸術文化団体へは十分な説明を行い、理解を得ながら適切に対応してまいりたいと存じます。

上野委員 ぜひとも今後そのように進めていただくようお願いいたします。
 続きまして、子ども向け舞台芸術参加・体験プログラム事業についてお聞きしたいと思います。
 まず、平成十六年度からの新規事業ということですが、その内容はどういうものか、お伺いいたします。

山本文化振興部長 子ども向け舞台芸術参加・体験プログラム事業は、子どもたちが単に鑑賞するだけではなくて、体験を通じて芸術文化に親しんでいただくことを目的といたしまして、平成十六年度に従来の鑑賞教室事業を再構築したものでございます。学校や児童館など子どもたちの身近な施設に芸術家が出向きまして、子どもたちとの共演、体験、創作型のワークショップ、吹奏楽などの実技指導などのアウトリーチプログラムを実施いたしまして、その成果を発表会で披露しております。

上野委員 子どもたちが直接芸術家と触れ合うことができるということですけれども、大変すばらしい内容だと思っております。
 実際に十六年度の実施状況及び十七年度の実施予定はどのようになっているか、お伺いいたします。

山本文化振興部長 平成十六年度は、東京芸術劇場でのクラシックを中心といたしました成果発表等が二千三百二十人、発表会の準備でございますアウトリーチが二千二百七人、次に、江戸東京博物館での児童演劇中心の成果発表等が二千二百三十三人、事前準備のアウトリーチが八百十九人、東京芸術劇場での能楽の成果発表は六百五十六人、事前準備のアウトリーチが六百六十人となってございます。
 平成十七年度は、十二月に江戸東京博物館で児童演劇、三月に東京芸術劇場でクラシックと能楽、それぞれの成果発表会を行うとともに、その二、三カ月前から事前準備のアウトリーチを行う予定でございます。

上野委員 この事業につきましては、都が実施していく上で都立文化施設を使っていらっしゃる。当然のことだと思いますけれども、アウトリーチも都立の文化施設、その周辺が多く使われている。ただ、せめてアウトリーチだけでも、都内全域で、そういった都立の文化施設だけじゃなくて、それは偏ってしまいますので、都内全体で皆さんがそういった形で触れ合うことができるような、そういった形でぜひとも進めていただきたいと思います。
 実は、国におきましては、このような事業へのさまざまな助成制度があります。例えば、子どもたちがすぐれた舞台芸術を鑑賞したり、芸術文化団体などによる実技指導やワークショップを内容とする本物の舞台芸術体験事業、また、すぐれた活動を行っている芸術家や伝統芸能を保持されている方々を出身地域の学校に派遣して、講話や実技披露などを行う学校への芸術家等派遣事業、こういったことを実施しているようでございますが、このような助成制度を活用して、多くの地域でこうした事業を行われるよう、区市町村に働きかけていく必要があると思いますが、これらについてのご見解をお伺いいたします。

山本文化振興部長 子ども向け舞台芸術参加・体験プログラム事業について、平成十六年度は、事業開始初年度でもございましたために、多くの地域での実施ができなかったという経過がございます。今後は、各区市町村とも連携をしながら、できるだけ多くの子どもたちが芸術家と触れ合う機会を持てるよう努めてまいります。
 また、ご指摘の本物の舞台芸術体験事業など、国の助成制度の活用につきましては、今後さらに区市町村に活用を働きかけるなど、身近な自治体が芸術鑑賞等の機会を提供する仕組みを支援してまいります。

上野委員 ぜひともお願いしたいと思います。
 文化とは英語でカルチャー、その意味に耕すとありますけれども、心を豊かに耕していく、思いやりの心を育てる、文化にはそうした力があると思います。青少年健全育成が叫ばれております。幼児虐待や凶悪殺人事件など殺伐とした事件が多い中で、芸術文化が子どもの教育に果たす役割は大変重要であると私は思っております。幼児期や青少年期にさまざまな文化に触れ、感動を得ることは、創造力の育成や人格形成に不可欠であると思います。都としてこの事業を充実させていくとともに、今、答弁されたように、国の助成制度の活用についても、区市町村に働きかけるなど、今後も着実に事業を実施されますようご要望いたします。
 次に、島しょ芸術文化振興事業につきましてお伺いいたします。
 平成十七年度の事業概要を見ますと、この事業の目的は、舞台芸術に親しむ機会の少ない島しょ地区の住民に舞台芸術の鑑賞機会を提供することにより、芸術文化の振興を図ることとなっております。この二月から、噴火により約四年半も全島避難で離れておりました三宅島の住民の方々が帰島いたしました。今まさに復興に向けて頑張っておられます。帰島して間もない時期ですけれども、三宅島の皆様に舞台芸術の鑑賞機会を提供することによりまして、島民に新たな希望を与え、復興を後押しすることができるのではないかと考えます。
 そこで、平成十七年度の実施予定はどのようになっているのか、お伺いいたします。

山本文化振興部長 島しょ芸術文化振興事業の平成十七年度の予定でございますが、三宅島につきましては、ことし二月の帰島を受け、明日、十月二十八日に三宅小学校で児童演劇を実施する予定でございます。
 平成十七年度には、三宅島のほかにも七島で、児童演劇、寄席を実施し、そのうち一島にはヘブンアーチストを派遣する予定でございます。
 今お話のございました三宅島につきましては、夏に帰島が完了したこともあり、三宅島の復興に少しでもお力添えができますよう、今後、三宅村と調整いたしまして、再度、芸術家等の派遣を検討してまいります。

上野委員 三宅島でも実施の予定がある、再度また実施をこれからも検討するという新たな答弁をいただきました。その前向きな、積極的なそういった取り組みを私は高く評価したいと思います。
 私も大島に三年ほど赴任したことがありました。三宅島に限らず島しょ地区の方々は、舞台芸術に親しむ、そういった機会が少ないわけでございます。舞台芸術に直接触れたいとの思いは本当に強いものがございます。今後とも島しょの芸術文化の振興にも努めていただくようご要望いたします。
 最後になりますが、芸術文化というのは、人々に感動、生きる喜びを与え、心を豊かにするものでございます。人間が人間らしく生きていく上で欠かせないものでもあります。そうした文化の交流をしていく、多様な文化の存在を知ることで、お互いに尊敬し合う心をはぐくんでいく、そうした文化の交流こそが平和の社会を構築していく基礎となるものであると私は思っております。
 そこで、都は芸術文化の振興に一層努めていくべきと考えますが、最後に局長のご決意を伺いまして、質問を終わらせていただきます。

山内生活文化局長  芸術文化の振興についてでございますが、委員ご指摘のとおり、文化は人々に感動を与え、心を豊かにするものでございます。
 東京都は、これまでも都立文化施設の整備や都民芸術フェスティバルの開催をするなど、さまざまな施策を展開してまいりました。
 また、ただいま部長の方から答弁いたしましたように、単に鑑賞するだけではなく、子どもたちが芸術家と直接触れ合うことによりまして、文化を生み出す心をはぐくむ子ども向け舞台芸術参加体験プログラム事業を新たに実施するなど、その内容についても適切に見直しをしてまいりました。
 さらには、お茶の水、渋谷に、これは知事も常々いっておることでございますが、東京ワンダーサイトを開設いたしまして、若手芸術家を支援する施策にも取り組んでおります。
 今後とも、心豊かな、質の高い生活を求める都民の期待に的確にこたえますよう、都民、芸術文化団体、区市町村などと連携をしながら、芸術文化の振興に一層努めてまいります。

村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。


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